1938年春。車を持ち上げる赤いマントの男が表紙のコミックブックが出版されます。
これが「スーパーヒーロー」の始まり、であり、
「アメリカンコミックス」の新時代の始まりでした。
そこから80年。
アメリカンコミックスの中心はすっかりスーパーヒーローものになり、
スーパーヒーロー映画はシリーズを重ね、世界中で愛される存在に。
そしてその間ずっと、このヒーローはすべてのヒーローの代表であり続けました。
「スーパーマン」というすでに固有名詞を超えた存在であるヒーロー。
その初登場誌であり、基幹誌である「アクションコミックス」。
基本は月刊誌ですが、途中週刊化していた時期もあり
号数をリセットしていた時期もカウントして、1000号。
(0号と1000000号があるので実際は1002号ですけど)
今回邦訳されたのは、その記念の1000号、プラス創刊号でございます。
記念号に集ったクリエイターたち。
マーヴ・ウルフマン、ジェフ・ジョーンズ、リチャード・ドナー、
スコット・スナイダー、トム・キング、ポール・ディニ、
ブライアン・マイケル・ベンディス、ジム・リー・・・
アメリカンコミックスの歴史に残る一流クリエイターたちが描いたのは
「スーパーマンとはいったいどんなヒーローなのか?」という原点。
犯罪と戦い、恐ろしい脅威を迎え撃つだけでなく、
人を救い、犯罪者にも更正の道を与えようとする。
そして、時には宿敵とすら心を通わせる。
それ故に彼は「愛される」ヒーローであり、
愛する妻と息子が待つ家へと戻っていく「父」である、という
そんな側面を描く、短編の数々。
過去の名作の名場面を引用しての本質をあらわす作品あり、
ヴィランや救われる人にスポットをあてた作品あり、
今後の展開の予告となる作品あり、と
読めば「スーパーマン」というヒーローとその世界が好きになれる1冊。
「ヒーロー」とはどんなものなのか、原点に立ち返るための1冊、なのかもしれません。
そして今年はDC、いやアメコミを代表するもう一人のヒーロー・・・
バットマンの80周年、そして1000号達成が予定されています。
来年の今頃に「ディテクティブコミックス#1000」も邦訳されますように。