雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

龍神の雨/道尾 秀介

2009-06-18 | 小説
『少女』を読んだ後だからかもしれないが、すこぶる良かった。

 いや、それじゃなくても、やっぱり道尾秀介はイイ。

 これだよ、これが正統派ミステリだよ、ってつくづく胸を打たれる。登場人物たちの想いがひしひしと伝わってくる、切なさと哀しさを伴った「文芸ミステリ」は、貫井徳郎に通ずるものがある。

 人それぞれの好みもあるけど、やっぱオイラはこういうのが、読んでよかったなぁ、読めてよかったなぁ、って思えるんだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少女/湊 かなえ

2009-06-18 | 小説
 あんまり、他人様の書いたものを批判するのもどうかと思うのだが……これは、ヒドイな。

 なんか、ものすごく素人臭い。これで金とるのはどうかと思う。

 素人が「どう、うまくまとめたでしょ?」って自信満々で言っているような鼻持ちならなさを感じる。

 いくらデビュー二作目とはいえ、これならまだ『告白』のほうがいくらかマシ。

 もし次の作品もこんなふうなら、ちょっと、アレだろ……とか思ってたら、三作目、出てた。

 その名も『贖罪』。

 あー、なんか、無理に漢字二文字とかにしないほうがいいのに。しかもなにやら、また同じ文体らしい。もうこのスタイルを押してゆく気、満々なのか? それはそれで、まぁ、アリかもだけど。


 でもね、おもしろいことはおもしろいんだ。話の展開もサクサクと澱みなく進んでいくし、わりとイイ伏線も張ってあるし。暇つぶしにはもってこいなんだよ。

 ただ、前作と同様、いや前作以上に、心に打つものがない。しかもなんだか素人臭くなってるし。

 きっと「売るなら今のうち」っていう出版社の思惑で、あまり質にはこだわっていないんだろうな。なんか、最近の使い捨て若手芸人みたいな具合にされてるな。

 絶対に、センスと力はあるんだから、もっと期間を経て、腰をすえた長編を書いたほうがよいと思われる。

 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする