雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

とんび/重松 清

2009-03-15 | 小説
≪つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。≫

 これほど、泣きながら読んだ本は今までなかった。もう、大変。一話ごとに胸が熱くなり、鼻の奥が「ツン」っていうより「ズビー」ときて、活字がかすむ。

 ヤスさんの不器用だけれど真っ直ぐな家族愛。それをちゃんと受け止められるアキラの素直さ。そして二人を見守るたえ子さんや照雲、海雲和尚たちの厳しくも優しい想い。

 本当に、ヤスさんの周りはいい人ばかりで、いくら昭和だからってここまで人情味溢れてたら嘘くさいだろ!なんて無粋なツッコミでもしなければ、涙が止まらなくなる。止まらない、止められない、止めなくても、いい。もう、心底、この父子、そして美佐子さん含む家族と、仲間たちの温かく優しさに満ちた物語に呑まれればいい。呑まれた。呑み込まれた。完全に。

 久々の重松清長編作は、とびっきりの愛に溢れていた。

 今、思い出しながらも涙ぐんでしまってる。とにかくもう、どうしようもなく、重松清に「やられた」。
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2 コメント

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Unknown (ノロモン)
2009-03-16 00:26:12
『とんび』きたね~!前半はウルウルきながらも秀みたいに涙は無かったけど、後半は前半のジャブが効いて我慢しきれずに不覚ながら幾つか涙してしまいました。重松!俺の我慢汁、お前にあ・げ・る♪
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Unknown ()
2009-03-16 22:57:26
オレはもう、アレだ。
潮吹きだ。
びしょびしょだ。(いやーん
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