雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

邪魔/奥田 英朗

2008-06-26 | 小説
≪この小さな幸せは、誰にも壊させない
 2002年版「このミステリーがすごい!」第2位
 第4回大藪春彦賞受賞
 及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供2人と東京郊外の建売り住宅に住む。 スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に 足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広が る。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。≫

 と、本の紹介文ではこんなふうに書いてありますが、これだけではなく(たぶんこれだけでも相当優れた話になると思うが)この放火事件を追いかける刑事『九野』の苦悩(ダジャレではない)や、中途半端な悪(ワル)を気取る高校生『裕輔』の大人たちの都合でどんどん深みに流されてゆく様など、それぞれの日常が絡み合い、重なり合い、そしてやがて崩壊してゆく、その情景描写はまさに圧巻!もちろん心象描写も、読んでいて息苦しくなるほど伝わってくる凄まじさ!
 
 確かに、これは傑作だ!と、言いたいところですが、これより前に同氏の『サウスバウンド』を読んでしまってるので、まぁ、『最悪』や『邪魔』やその他の短編集が礎となって、その結果『サウスバウンド』が奥田文学の完成形なんだろうなぁ、と思ったりしてます。

 いや、なんにせよ、やっぱ奥田作品は長編だろうが短編だろうが、とにかく全部、最後まで飽きずに読めることは間違いないです。ホント、面白い、ってか、凄いです☆

 
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