掃除機
2008-09-15 | 雑記
うちの残念な愚妻が長年使っていた掃除機を二日前、オシャカにした。
なんだか大きめの布を吸い込んでしまい、それがホースの中間にぴっちり詰まって取れなくなったのだ。以前から靴下やらなんやらを吸い込んでは大騒ぎして、私に「取ってくれ」と命令していたのだが、今回のはかなりの大物でウンともスンともその場から動いてくれない。
「ギュモー!ギュモー!」と嫌な音をさせるばかりだ。
「だから、前から気をつけろ気をつけろって言ってただろ!」
普段なかなか優位にたてない私はここぞとばかりに妻を罵る。
「ごめんなさい・・・」
めずらしく殊勝な言葉を吐く妻。
私の口許は自然と微笑を浮かべてしまう。
それをどうやら許しのサインと受け取った模様の妻は「ねぇ、新しいの買ってもいい?」と気持ち悪くねだる。
すでに十年近く使っていた掃除機だ。しかも五千円かそこらの品、もとは充分とったであろう、なにより、布が抜ける見込みはない。
「しょうがなかろう・・・新しいの買うしか」
そう決めた私たちは次の日に家電量販店に足を運ぼうと言っていたのだが、いや、待て、ネットで探したほうが種類も豊富で安いんじゃないか?と妻が提案した。
それも、そうだな。わざわざ店まで買いに行くのも面倒臭いし、という訳で妻はせっせと掃除機検索をしだした。
そしたら、あるわあるわ、安いのから高いのまで。最新式のは、なんだかロボットみたいなのや、武器か?ってカンジのものまで多種多様。
これだけ多くあると選ぶのも大変だ。私はとりあえず「一万円以内な」と絞り込みを要求した。すると妻は「えー、ケチ」などとぬかす。
オイ、ちょっと待て!レトルトカレーを温めるのに湯を沸かしていたら「ガス代モッタイナイから電子レンジであっためてよ!」などとほざくオマエに「ケチ」とか言われたくない!
早くもいつものペースに持っていかれそうな私はそれでも頑なに「現代の進化した掃除機なら一万円以内でもかなりいいものが買えるだろ。それにこんな狭い家でそんな大そうな掃除機はいらん!」とキッパリ亭主の威厳を見せつけた。
妻はしぶしぶといった感じでどうやら目ぼしい品をいくつか見つけたようだった。
「どれにしようか?」
「うーん、まあ、コレならどれも似たり寄ったりだろ。オマエが選べ」
「じゃあコレにしようか」
と、一万円ジャストの品を選びやがった。送料を含めると一万円を少しオーバーするが、太っ腹な私は「よかろう」と頷いてやった。
翌朝、配送の確認をするためにメールを開いた妻は、「あっれぇ?メールきてないよぉ?」と呟く。
「日曜日だから、休みなんだろ」と私がもっともなことを言うと、「なんで電器屋が日曜休みなんだよ!」と理不尽なような、さりとてもっとものような愚痴を妻がこぼす。
「しょうがないだろ、明日来るって」
そう宥め透かすものの、イマイチ煮え切らない表情を見せる妻。まったく、鬱陶しい。
そして翌朝、つまり今朝、さっそくメールの確認をしたが、やはり音沙汰なし。
「なんでよっ!」
マズイ、なにやら不穏な空気が澱みつつある。
「あぁ、まぁ、祝日だしな」
目を合わせないように呟く私。
「ちょっと!それじゃあ二日も三日も掃除機かけられないじゃない!埃が溜まるよ!どうすんのよっ!」
大らかな私は別に二日や三日掃除なんぞしなくとも特に気にはならないのだが、病的なまでに神経質な妻は、どうやら狂いだしそうなイキオイである。
恐ろしさをこらえながら私は、禍々しき者に変容しそうな妻の説得にあたる。
「しょうがないじゃないか。元はといえばオマエが掃除機詰まらしたのが原因なんだし。それに、昔は掃除機なんてなくてもみんな箒(ほうき)や雑巾で掃除してたんだから、なんとかなるって」
すると、妻の変容はしだいに解かれ、何故だかみるみる笑顔にさえなっていった。そしてその不気味な笑顔で、
「それじゃあ、お掃除お願いね♪」
そう言い切って、妻は仕事に出かけた。
こういうの、なんて言うんだっけ?身から出たサビ?自分で自分の首を絞める?
そんなワケで、私の貴重な休日の予定に『古風な掃除』という項目が加えられたのであった。
なんだか大きめの布を吸い込んでしまい、それがホースの中間にぴっちり詰まって取れなくなったのだ。以前から靴下やらなんやらを吸い込んでは大騒ぎして、私に「取ってくれ」と命令していたのだが、今回のはかなりの大物でウンともスンともその場から動いてくれない。
「ギュモー!ギュモー!」と嫌な音をさせるばかりだ。
「だから、前から気をつけろ気をつけろって言ってただろ!」
普段なかなか優位にたてない私はここぞとばかりに妻を罵る。
「ごめんなさい・・・」
めずらしく殊勝な言葉を吐く妻。
私の口許は自然と微笑を浮かべてしまう。
それをどうやら許しのサインと受け取った模様の妻は「ねぇ、新しいの買ってもいい?」と気持ち悪くねだる。
すでに十年近く使っていた掃除機だ。しかも五千円かそこらの品、もとは充分とったであろう、なにより、布が抜ける見込みはない。
「しょうがなかろう・・・新しいの買うしか」
そう決めた私たちは次の日に家電量販店に足を運ぼうと言っていたのだが、いや、待て、ネットで探したほうが種類も豊富で安いんじゃないか?と妻が提案した。
それも、そうだな。わざわざ店まで買いに行くのも面倒臭いし、という訳で妻はせっせと掃除機検索をしだした。
そしたら、あるわあるわ、安いのから高いのまで。最新式のは、なんだかロボットみたいなのや、武器か?ってカンジのものまで多種多様。
これだけ多くあると選ぶのも大変だ。私はとりあえず「一万円以内な」と絞り込みを要求した。すると妻は「えー、ケチ」などとぬかす。
オイ、ちょっと待て!レトルトカレーを温めるのに湯を沸かしていたら「ガス代モッタイナイから電子レンジであっためてよ!」などとほざくオマエに「ケチ」とか言われたくない!
早くもいつものペースに持っていかれそうな私はそれでも頑なに「現代の進化した掃除機なら一万円以内でもかなりいいものが買えるだろ。それにこんな狭い家でそんな大そうな掃除機はいらん!」とキッパリ亭主の威厳を見せつけた。
妻はしぶしぶといった感じでどうやら目ぼしい品をいくつか見つけたようだった。
「どれにしようか?」
「うーん、まあ、コレならどれも似たり寄ったりだろ。オマエが選べ」
「じゃあコレにしようか」
と、一万円ジャストの品を選びやがった。送料を含めると一万円を少しオーバーするが、太っ腹な私は「よかろう」と頷いてやった。
翌朝、配送の確認をするためにメールを開いた妻は、「あっれぇ?メールきてないよぉ?」と呟く。
「日曜日だから、休みなんだろ」と私がもっともなことを言うと、「なんで電器屋が日曜休みなんだよ!」と理不尽なような、さりとてもっとものような愚痴を妻がこぼす。
「しょうがないだろ、明日来るって」
そう宥め透かすものの、イマイチ煮え切らない表情を見せる妻。まったく、鬱陶しい。
そして翌朝、つまり今朝、さっそくメールの確認をしたが、やはり音沙汰なし。
「なんでよっ!」
マズイ、なにやら不穏な空気が澱みつつある。
「あぁ、まぁ、祝日だしな」
目を合わせないように呟く私。
「ちょっと!それじゃあ二日も三日も掃除機かけられないじゃない!埃が溜まるよ!どうすんのよっ!」
大らかな私は別に二日や三日掃除なんぞしなくとも特に気にはならないのだが、病的なまでに神経質な妻は、どうやら狂いだしそうなイキオイである。
恐ろしさをこらえながら私は、禍々しき者に変容しそうな妻の説得にあたる。
「しょうがないじゃないか。元はといえばオマエが掃除機詰まらしたのが原因なんだし。それに、昔は掃除機なんてなくてもみんな箒(ほうき)や雑巾で掃除してたんだから、なんとかなるって」
すると、妻の変容はしだいに解かれ、何故だかみるみる笑顔にさえなっていった。そしてその不気味な笑顔で、
「それじゃあ、お掃除お願いね♪」
そう言い切って、妻は仕事に出かけた。
こういうの、なんて言うんだっけ?身から出たサビ?自分で自分の首を絞める?
そんなワケで、私の貴重な休日の予定に『古風な掃除』という項目が加えられたのであった。
それでも、もし、こういう関係を築きたいのなら、旦那さんに情け容赦はかけないようにすればよいのです。。。そんで時々、薄気味悪く優しくすれば・・・だいたいこんなふうに仕上がります