こ、これは素晴らしい。今までに、この吉村萬壱の著書は「クチュクチュバーン」、「ハリガネムシ」と二冊読んでいるのだが、そのどちらも吐き気を催すくらい(比喩ではない)の素晴らしさであったが、今作『独居45』に至っては、もう初っ端から素晴らしい。
≪脱走老人は万世橋の上で目脂(めやに)を指でこそぎ取り、口に運んでそれを食べた。≫
すこぶる気持ち悪くなる、最高の書き出しであった。もちろんこんなのは序の口で、話が進むにつれ耐え難い汚濁がわんさか流れてくる。はっきり言って今回ももれなく吐き気を催した。
にも拘らず、何故だ!? この充足感というか親近感というか、胸の裡に滞る昂揚感。もうこの人の小説って、一種のドラッグだな。快感を得る人もいれば、不快感に苛まれる人もいる、みたいな?
前回も書いたが、この人の小説が好き! というのは少々憚られる感じなのだが、なんか、今作はソレを超越したと思う。胸を張って「好き!」と言える、ようになったのは単に自分がすでに取り繕うものがなにもないからだろうか? ともあれ、この作家の世界は異常だ。読んでて痛々しくなる。いや、比喩ではなくて。あのカミソリの刃を見てたら「すぅーっ」て感覚が肌を過ぎるような、ってわかりにくいな。
だがそういった歪さや汚濁さばかりに目を取られていてはいけない。この作者の意図するところ、この作品の中に込められた真の意味には、まさに文学の根幹が貫かれている、ように思える……たぶん。
ともかく、この吉村萬壱なる作家の素晴らしさは、その禍々しさの中の清々しさという矛盾した気持ち悪さであろう。ハマる人はハマる。
≪脱走老人は万世橋の上で目脂(めやに)を指でこそぎ取り、口に運んでそれを食べた。≫
すこぶる気持ち悪くなる、最高の書き出しであった。もちろんこんなのは序の口で、話が進むにつれ耐え難い汚濁がわんさか流れてくる。はっきり言って今回ももれなく吐き気を催した。
にも拘らず、何故だ!? この充足感というか親近感というか、胸の裡に滞る昂揚感。もうこの人の小説って、一種のドラッグだな。快感を得る人もいれば、不快感に苛まれる人もいる、みたいな?
前回も書いたが、この人の小説が好き! というのは少々憚られる感じなのだが、なんか、今作はソレを超越したと思う。胸を張って「好き!」と言える、ようになったのは単に自分がすでに取り繕うものがなにもないからだろうか? ともあれ、この作家の世界は異常だ。読んでて痛々しくなる。いや、比喩ではなくて。あのカミソリの刃を見てたら「すぅーっ」て感覚が肌を過ぎるような、ってわかりにくいな。
だがそういった歪さや汚濁さばかりに目を取られていてはいけない。この作者の意図するところ、この作品の中に込められた真の意味には、まさに文学の根幹が貫かれている、ように思える……たぶん。
ともかく、この吉村萬壱なる作家の素晴らしさは、その禍々しさの中の清々しさという矛盾した気持ち悪さであろう。ハマる人はハマる。
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