雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

犯罪ホロスコープ〔Ⅰ〕 六人の女王の問題/法月 綸太郎

2008-05-30 | 小説
 ひねくれた読者を満足させるため、ひねくれたミステリ小説が蔓延している昨今、これほど正統な本格推理小説というのは、とても気持ちいい。

 正にパズラー魂!読者への挑戦魂!名探偵魂!と、いったところだ。

 ただ、星座や神話に関連させた語呂合わせ的な部分は、単なるオヤジギャグ的なカンジがしないでもないが、タイトルのつけ方などの有名推理小説作品のパロディなどは、「やっちまったなー!」法月、と思わずほくそ笑んでしまう。

 本書あとがきで法月氏が、
「どの話も殺人事件が起こって警察が捜査に乗り出し、それが行き詰ったところで名探偵が解決するという、ベタな本格ばかりです。今の時代、こういう小説がどれくらい求められているのか、正直言って心許ないのですが・・・・」
 と、記しておられるが、今の時代だからこそ、こういった本格が求められるのだと思う。
 もちろんそれは、みんながみんなではなく、法月綸太郎氏が、頑なに本格を描き続ける、その姿勢を求めているということでも、ある。

 ともあれ、この短編集は十二星座のうち牡羊座から乙女座まで六編が収録されており、この後、残りの星座六つも描かれてゆくらしい。

 希代の「遅筆作家」に、乞うご期待!である。
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