というわけで(山の話Vol.1からの続き)、赤城山に取り憑かれた私は、次は東から攻めることにした。すなわち、東武伊勢崎線に乗って伊勢崎に行って、そこから山々を拝もうという算段をしたのである。
途中、電車は羽生駅を過ぎて利根川を渡る。
この鉄橋は、葛西用水を巡る旅のとき、土手から見たものである。
ここを渡ると栃木県である(現在地は、下図の右下の赤丸の辺り)。
栃木県に入った東武伊勢崎線はなお北上を続け、足利を目指す。すると、低い山並みの向こうに日光男体山が見えてきた。
日光男体山は、関東平野のかなり南の方からも見えるが、その手前を低山が大きく遮るのは近くに来た証し。低山歩きを趣味とする者(私を含む)にとっては興味津々である。
ただし、低山は情報が少なく山座特定は困難だ。ここら辺は足利の手前である。
さらに北上し、足利駅の近くになると、線路は渡良瀬川と併走する。橋の下を流れるのが(水流は写ってないが)渡良瀬川である。
川シリーズでずいぶんとりあげた川である。
さて、足利駅を過ぎると、一転、路線は南西に向きを変え、一路群馬を目指すことになる。すると、低山越しに赤城山が見えてきた。
赤城山は、群馬では平野に直接面していて遮るものがないのだが、栃木からだとかように低山越しに見ることになる。
さらに進むと、低山はもはやなく、でーんと田園風景が広がったところに(一応駄洒落である)見えてきた山塊こそ赤城山と榛名山である。
もはや遮るものはなにもない。まさに「平野に直接面している」。
そうして伊勢崎駅に到着。事前に収集した情報に従って、広瀬川(利根川の支流)の土手に行く。すると、進行方向(上流)の真正面に富士山ぽい山と榛名山が見える。
富士山ぽい山は浅間山である。
「え?なんでこんなところに富士山があるの?」と不思議がる人がいるというから「富士山ぽい」は言いすぎではない(ズーラシアで、シマウマを見てオカピ!と叫ぶ人もいると聞く)。そして、そのすぐ右側の榛名山の各峰も形がくっきり見える。
Vol.1で、真東から見た時あんなに尖って見えた水沢山も、関東平野から見るとかように台形だ。浅間山は、実際は榛名山よりずっと遠くになるが、この位置からだと並んで見える。
そこから目を右にぐるっと転じたところに鎮座ましましてるのが赤城山である。
Vol.1で、ずいぶん北に回り込んだところから真っ正面に尖って見えた鈴ヶ岳の頂きがちょろっとだけ見える。長ーい裾野は赤城山ならではである。
方角的には、赤城山は、ここからだと真北にあたる。
これで、お目当ての山々は全部見た。余は満足じゃ……ん?ふと南西に目をやると、そこに知らない山塊があった。
調べたら、東御荷鉾山、西御荷鉾山、オドケ山(以上が広義の御荷鉾山)と赤久縄山だそうだ。群馬県の南西部の藤岡市等にある山々だそうだ。そのすぐ南は埼玉県である。
この中の最高峰の赤久縄山の標高は1523メートルだというから、高さから言えば赤城山に引けを取らない。「知らない山」だなんてとんだ失礼をしちまったもんだ。おみそれしましたー、ってところである。
これだけ山を見れば、この日はお腹いっぱいである。きびすを返して駅に向かった。途中、アオサギに出会った。
よく歩いたご褒美のようであった。私は川沿いをよく歩くから、カモとサギにはよく会う。幸いなことに、人間の詐欺犯に遭ったことはない。
なお、今回の取材日は痛風発症前である。一刻も早く、このようなブラブラ歩きができるように痛風がひっこんでくれることを願う日々である(そのくせ、お酒はやめてない)。
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