新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

虫を調べる たぶん、クロスジチャイロコガネ2

2020-06-04 21:40:19 | 虫を調べる
昨日の続きで、クロスジチャイロコガネかもしれないと思う個体を検索表で確かめている途中です。昨日は族まで到達したので、今日はその続きの属と種の検索です。



対象としたのは5月30日にマンションの廊下で見つけたこの甲虫です。検索表には「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っているものを用いました。昨日はコフキコガネ亜科のビロウドコガネ族まで達したので、その続きの属の検索です。この部分からは図鑑では絵解きになっています。

⑦中基節間は狭く、中腿節幅の半分以下
⑧後基節の中央にゆるい横凹線 チャイロコガネ属(触角片状節は柄部の1.3倍以上)

検索の結果、チャイロコガネ属になったのですが、必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。これを写真で調べていきたいと思います。



最初は中基節間が中腿節幅の半分以下という項目なのですが、これがなかなか分かりませんでした。しかし、中基節の間の部分をよく見ると、両側から細くなっていき、中央で一番細くなります。この部分の長さを測り、中腿節のもっとも広い部分との比を取ると、0.39となり、⑦の要件を満足します。しかし、何となく幅を測って比を取ると、0.52となり、検索表ではミゾビロウドコガネ属になってしまいます。しかし、この属の日本産は1種で西表島産だけなので、たぶん、違います。従って、やはりこの細くなった部分を測らなければいけないのかなと思っています。



次の項目は後基節中央にある横凹線の有無ですが、これは明確で、白矢印で示した部分がそうです。これでチャイロコガネ属に到達します。



この写真はチャイロコガネ属の特徴として括弧内に書かれた特徴を調べたものです。触角の節数は全部で9節で先端の4節が片状節になっています。残りの5節が柄部なので、その部分の長さを測ってみました。すると、片状節の長さは柄部の1.22倍となり、1.3倍以上にはなりません。片状節の一番基部の長さが短いので、ひょっとしたら、あまり発達していないのではと思っています。チャイロコガネ属の説明で、♂の片状節は4節、♀は3節と書かれているので、これは♂かなと思っています。実は最後の亜種の説明で、♂では1.8倍の長さと書かれているので、まだ、悩んでいるところです。

次は種の検索です。チャイロコガネ属 Sericaniaには25種2亜種が記録されているそうで、それの検索を絵解き検索表で調べていきます。

⑨上翅は点刻の状態によって鈍い、もしくは強い光沢がある
⑩背面は金属光沢を帯びる
⑪跗節爪の基方は直角に分岐
⑫頭楯に横溝がある
⑬腹節はほぼ全面に光沢がある  クロスジチャイロコガネ
⑭頭楯前縁は湾入せず、横溝は不明瞭で後方も高まらない 本州・四国亜種

やはり必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。検索の結果、クロスジチャイロコガネ本州・四国亜種になったので、それを写真で調べていきます。ただし、項目の中に光沢の有無を聞く項目が⑨、⑩、⑬と三か所もあり、たぶんに主観的なので若干怪しいです。通常は照明を拡散光にするため、試料をトレーシングペーパーの筒で囲んでいるのですが、光沢の度合いを見るときはこの筒を外して撮影しています。



最初は上翅に光沢があるかないかですが、この写真からは光沢があるといってもよいのではと思います。⑩の金属光沢があるかどうかは微妙で、もし金属光沢がないとすると、オオタケチャイロコガネになるのですが、片状節の数が合わないために今回は除外しました。でも、もう少し検討する必要があるかもしれません。



これは跗節爪の内歯の生える角度ですが、直角ではないにしろ、直角に近いのではこれでよいのではと思っています。





頭楯には前縁に沿って横溝がありますが、頭盾後方があまり高くなっていないので、それほど目立つような横溝ではありません。



腹節に光沢があるのは間違いなさそうです。ということで、一応はクロスジチャイロコガネ本州・四国亜種になったのですが、光沢の解釈でちょっとはっきりしないところがあります。







ついでに撮った写真を載せておきました。

今回はチャイロコガネ属の検索を行いました。たぶん、チャイロコガネ属までは確かでしょうが、その先の種の検索については若干怪しいところがあります。光沢の度合いについてはもう少し数を当たらないと駄目かもしれません。