Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

肩の力をぬいて

2009-02-12 23:34:46 | 日常
病院の待ち合い時間があまりにも長く、「風邪ですね。インフルエンザではないです。」と診断されるのにトータル2時間もかかった。ここのところずっと不調だったのだけど、今朝になって8度の熱が出た。インフルエンザだと困るので午前半休をとり、一応病院へ。検査は「陰性です」という診断。

しかし朝一番でいっていたのに、待ち合い時間がとても長く、9時に行って、順番待ち、検査待ち、診断待ち、会計やら薬やら全部終わったら11時。悪寒と熱とで居心地は悪くただじっと待つ時間はあまりにも苦痛で、病院の売店でしかたなく本を買った。(家出るときお財布と保険証しか持たなかったのね。)

いくつもの週末 (集英社文庫)
江國 香織
集英社


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こんなとき、読みたいのはエッセイ。

行間がひろく、文字も大きい。江國さんの作品はそういえば真剣に読んだことがない。なんとなく、私よりももっと若い世代にうけていそうな作家さん、というイメージだったから。でもこのエッセイは彼女の夫婦生活について書かれたもの。どちらかといえば性格も趣味も価値観も正反対の夫婦2人の生活を、それでも人生は美しいとでも言わんばかりに綴ってある。さらりと読めてしまうなんてことのない1冊だけど、この本いま読んでよかったなぁと思った。

「仲なおりというのはつまり、世の中には解決などというものはないのだ、と知ることで、それを受け容れることなのだ。それでもそのひとの人生から出ていかない。そのひとを自分の人生からしめださない。コースアウトしないこと。」

ある章では、けんかの終着点をキープレフトにたとえる。まるで、車を運転していて何かあったときに、ともかく左に寄り、落ち着いて、スピードを出しすぎずに徐行してみる、というように。そうして、ものごとをやり過ごすこと。
「キープレフト」か。。ちょっと前の自分なら、どうでもいい人とならともかく、なんで自分のパートナーと「キープレフト」なのよ、と思ったかもしれない。まっこうから対峙し、向かい合うことこそ大切じゃないの、と。

でも最近思うのだ。
まっこう対峙する情熱や誠実さよりも、お互いに並走してゆるやかに人生を進めていけることが大切なんじゃないかと。分かり合えないことがあっても、2人して流れにのること。時に徐行してやり過ごすこと。このエッセイには、まったく違う2人でも生活が成り立っているという風景がいろいろなスケッチのように描かれていて、なんだか元気をもらった。フィクション、かもしれないけど(笑)。

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薬の力は偉大で、8度8分まであがった熱が、今は7度ジャスト。だいぶ楽になった。結局、仕事は休み。