![]() | 赤ひげ [DVD]東宝 このアイテムの詳細を見る |
夜、UCバークレーのアートミュージアムシアター(BAM/PFA)へ。
黒澤明監督の生誕100年を記念して、6月~8月まで頻繁に黒澤映画を上映しているのね。この日は『赤ひげ』。アメリカにいると、私が日本人と言うだけで黒澤映画が話題にあがることがあるのだけど(特に初対面の人とか)、はっきり言って『七人の侍』と『羅生門』を、高校と大学の時に授業で見たというぐらいで特に思い入れもなかった私。これは一度しっかり見てみようと思い、この生誕100年記念を機にシアターへ足を運ぶ。
今やネットフリックスのおかげで家でいくらでも映画が見られる時代だけど、やっぱりシアターへ行ってよかった!『赤ひげ』は3時間という大作なのに、あっという間だった。ひとの一生を思って泣いたり、人の優しさやおかしさに笑ったり、ただただスクリーンから流れてくる心地よい日本語と赤ひげ先生のまっすぐな気持ちよさ。基本中の基本、というものに触れた気がして、心の中をさわやかな風が吹き抜けたような3時間。
劇場にアジア人の姿はほとんどなくて、白人が多かった。劇場で観ることの楽しみは、みんなの笑い声。「あ、こういうところで笑うんだねー」というささやかな気づきがあって、リアクションを隠さないこちらの映画館は楽しい空間なのでした。あまりに日本語の映画に感情移入していたせいか、映画が終わってパッと場内が明るくなってまわりがガイコクジンだったことに少しだけ違和感。おっと、ここは外国だったっけ、みたいな。
『赤ひげ』みたいな大作を観たら、自分がとってもちっぽけに感じる。自分はなんてたくさんのかさぶたがついていたんだろう、とか。原点に戻ろう、原点に、と思う。何が大切で、何が余分だったのだろうか、と。
来週は『生きる』を観に行く。