豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

啄木鳥の宿

2007年03月08日 | Weblog
 啄木鳥・・・・きつつきです。
四月から大学生になる次女竜子の住まいは、きつつきが決めてくれました・・・のだと思います。



受験日の合間に下見に行ったたったひとつの物件が、最終的に彼女の下宿となりました。

 帰ってからお父さんやお姉ちゃんに報告するのに都合がいいからと、その建物を背景に写真を撮ろうとしていたら、「おかあさん、あれは何?・・・きつつき?」。
振り返れば、隣の公園の桜の木の幹に何かがいます。手のひらに乗るほどの小さな鳥が、小刻みに幹をしきりにつついています。きつつきです!

 かなり大きな音で「コンコンコンコンコンコンコンコンコンコン・・・。」
音はものすごく熱心に長い間続きます。
あまりに面白いので、木の下に駆け寄り、しばし様子を観察してしまいました。
彼?彼女?は、それはそれは熱心に、全身の力を込めて幹に向かっていました。場所を変えながら本当に一心不乱です。彫刻家のような力強いエネルギーにすっかり感心してしまいました。
桜の木の、日当たりが良い側は、中に虫もたくさんいるのでしょうか、そこだけ皮がめくれ上がるほどになっていました。きつつきさんの会心作ですね。

 ここは、一応東京都です。
広島郊外にいてさえ、町中ではお目にかかることのできないきつつきに、こうして都内で出会うなんて、本当にびっくりしてしまいました。

目当ての建物は、それまでの用途を変えて、新しく学生会館になると言うことで改装中でした。工事の幕に覆われて中を覗くことはできませんでしたが、きつつきのお出迎えを得て、なんとなく心楽しくその場を後にした母娘二人組でした。

 今思えば、きつつきが「コンコンコンコン・・ココだよ、ココにおいでよ!」と教えてくれていたのかもしれません。
最後になって進路を迷い、宿探しも思うに任せなくなった後に、不思議なことにぽんと目の前に現われてきたのが、この啄木鳥の宿でした。
開けた道に背を向けて、新たに自ら道を切り拓く人もいるでしょう。でも、次女の竜子は、開けた道に進むタイプなのだと家族で納得しました。
開くべくして開けた道を素直に進むうちに、新しい経験や新しい出会いを得て何かを切り開いていくことも、これから学んで行って欲しいと願っています。