豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

ホルモー!

2007年03月09日 | Weblog
「ホルモ~~~~~~ッツ!!」と悲痛な雄たけびをあげることが、敗者のペナルティという競技に加わることになった主人公たちの物語。
探しにいった本は見当たらなくて、”変な題名!”と思った本を結局購入して読み始めてしまいました。
「鴨川でホルモン」ではなくて「鴨川ホルモー」。(作者は、万城目学さん。)

ああ、でも競技に負けなくても「ホルモ~~~~~~~~ッッツ!!」って叫びたいときもありますね。思い切りすっとするかも。ちょっと煮詰まり気味の時には、気分転換に格好の楽しい読み物かもしれません。

それはともかく・・・。
開いたページの京大青竜会・・・という文字が、なんとなく危なそうな感じがしたのですが、心配するほどのことはなく、京都を舞台にした青春学園ものなお話なのでした。

京都は学生に特別優しい町だと聞いていますが、確かに、ここで送る学生生活は四季折々の行事に彩られるだけでも実り多いものだと想像されます。
この物語に登場する各大学の面々も、そんな古都ならではの大学生活を満喫しているであろう人たちです・・・ちょっと風変わりな、でもとても京都らしい過ごし方で。

ある不思議な競技を競い合う各大学の集団。葵祭の巡行のバイト明けに、その競技を行うサークルに勧誘される、二浪して京都大学に入学したばかりの「俺」(=安倍くん)が物語の主人公です。新歓コンパで出会ったひとめぼれの彼女に会えることが目的でそのサークルに所属することにした安倍くん。次第に競技にまつわるさまざまなことも明かされていき、荒唐無稽ながら、古都という土地柄もあいまって読み手を離さない展開になっていきます。吉田神社、百万遍、四条烏丸、丸太町橋、岩倉・・・。土地勘のある人ならその風景も文字から立ち上ってくるのでしょうね。

キャッチコピーをつけるなら、「ちょっと軽めの熱血学園もの、多少ロマンチックコメディ路線、でも映像的にはかなりホラーかも?」と言う感じでしょうか。

出てくる人物はとても個性的。
中でも、一番気に入ったキャラは、青竜会の紅二点の一人、楠木さんです。
彼女は、主人公とその友人から凡ちゃん(大木凡人さんですね)とひそかに呼ばれるような、いわゆるダサーイ女の子。でも、下宿のコンピューターは数式の解を求めるために常時起動させているという、さすがにさすがな女の子でもあります。その彼女が、縁の下の力持ちという立場から、最後には軍師としての恐るべき才能を発揮するという展開は、とてもわくわくします。
彼女の言葉は、非常に省エネ。男子も平気で呼び捨てですし、的確に指示を与え、ビシバシ命令を下してしまいます。なんて、爽快なのでしょう!

お話は、やがて最大の山場を向かえ、それも乗り越えられるか乗り越えられないかの瀬戸際で微妙な裁定を待つことになるわけですが、なんと凡ちゃんも実は主人公に○○○○○だったという、意外だけどありそうなお話も明かされたりして、実にほのぼのとしたりもします。

続きや番外編も出来そうな物語。TVドラマや映画にしても面白そうです。配役を想像してみるのも楽しそう。本に目を落としているときには、すっかり私も京都の町を自転車で走っている気分でした。
しかし、現実に学生生活を送るのは、もはやわが娘なのでした。とほほ。
京都で学生時代を送った人なら、懐かしい地名やさもありなんな描写に懐かしさを覚えるのかもしれませんね。羨ましいことです。


読後に残った疑問
①楠木さんと安倍くんが遊びにいったとこはどこ?
②芦屋くんの雄たけびの後に失われたものは?
③安倍くんと「べろべろばあ」のご主人のご先祖さまは、やはりあの方?


おまけ: ○○○○○には、文章中の五文字の言葉が入ります。