豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

武士の一分

2007年06月08日 | Weblog
 映画館で見逃してしまって残念だった木村拓哉さん主演の「武士の一分」を見ました。
夕方から数時間、一人で過ごすことになった昨日、片づけをさっと済ませて、お風呂にも入って、ゆっくり鑑賞いたしました。

 かなり長い間映画館で上映されていましたし、評判も良かったということなので、安心して見始めましたが、期待にたがわぬ作品でした。
山田監督の映画だったと思います。
完成披露や試写会で、監督とともに主演のお二人がテレビ出演されているときには、役者さん個人に注目が集まり、いまひとつ映画の内容と結びつかなかったのですが、本編を見ると、これは紛れもなく監督が作り上げた世界が描かれていると思いました。
いわゆるキムタクをフューチャーした映画ではなく、確かに木村拓哉という役者さんが、片田舎の一人の武士を演じていました。

 壇れいさん、宝塚出身と言うこの女優さんが実はなんとなく苦手でした。ノーブル過ぎるお顔立ち。単なるお姫様なのかなというイメージ。
でも、彼女はスクリーンの中では、本当に下級武士の妻と言う役割をきちんと把握されていました。選択されたアングルも彼女の整いすぎた美しさを際立たせることはあえてしないで、伏せ目がちの美しさを追っていたように思いました。
木村拓哉さんは、武士の末席に連なり、さしてやりがいのあるとは思えない役職についているしかない定めの下級武士をそのように演じておられました。かっこいいキムタクは、封印。垢抜けないけど、どこか飄々として可笑みもある人物に見えましたが、これがなかなか良いのでした。壇れいさんとの相性も良かったと思います。映画を見終わって、いつか彼女に好感を持っていました。

 毒見役の夫が毒にあたり、失明してしまう。それだけでなく、夫の上司に弱みに付け込まれて篭絡されてしまうという悲惨な運命。それに、反応しすぎることもなく、悲嘆にくれすぎることもなく、淡々と過ごしているように見える強さが好きでした。

 主演の二人にも増して心惹かれたのが、木村拓哉家に仕える中間役の笹野高史さん。いまや、この方から目が離せません。かねてから演技力には定評があり、脇役としては欠かせない方でしたが,このところの大活躍は本当に嬉しい限りです。出演作を一つ一つたどっていきたいくらいです。失礼ながら、随分なお歳だと思っていましたが、ちょうど10歳違いだと言うことにびっくりさせられました。黄色いポルシェにピアスって言う噂は本当なのでしょうか。それも素敵ですけど。

 そして、もうお一方。以前見た「隠し剣 鬼の爪」では、悪者の家老役だった緒方拳さん。今回は剣の達人の道場主の役でした。ひたすら悪い役の緒方さんは見たくなかったのですが、このたびは、果し合いに臨む主人公に稽古をつける頼もしい役でした。やっぱり、緒方拳さんはこうでなくちゃ。
師匠が与えた一言、「必死即ち生くる也」。覚悟のあるいい言葉でした。

しみじみ味わうことが出来て、良い時間を過ごせたこともうれしかったです。 
三部作の残りの一つ「たそがれ清兵衛」も見てみたくなりました。