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【小倉百人一首】19:伊勢

2014年06月11日 01時24分35秒 | 小倉百人一首
伊勢

難波潟 短かき蘆の 節の間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや

父は藤原北家の伊勢守藤原継蔭。伊勢はこの父の官職名に由来。
前にも書いたとおりこの時代は女性の名前は史書に記載される皇族を除いて、人に知られることはないため、基本的に父親や夫の官職名で呼ばれるのが当たり前である。
例えば後で登場する和泉式部も、和泉は夫の官職に由来している。

百人一首に収録されている女流歌人は19人。その2人目となる。
実は女流歌人はもう少し時代が下った後、歌の番号でいえば50~60番台に集中する。これは平安時代中期の貴族の女子は宮中で仕えるために子供の頃から教育を受けているためで、日本における空前絶後の女流王朝文学の興隆もこれに起因している(それだけが原因というわけではないが)。例えば伊勢より少し時代は下るが、藤原師尹(時平の弟・忠平の五男)の娘・芳子は村上天皇に入内するが『古今集』20巻、全1100首をすべて暗記しており、実際に村上天皇がテストしたところ完璧に暗誦したエピソードがある。

この伊勢という女性歌人は恋愛相手が豊富なことで有名で、時の権力者である時平、その兄弟の仲平、芥川などが小説に登場させた平貞文(桓武天皇の玄孫)などと交際をし、宇多天皇(59代)の寵愛を受けて皇子を生んだが早世した。もしその皇子が即位していたら伊勢の本名も後世に残っただろう。
その後は宇多天皇の皇子敦慶親王と結婚して娘(中務)を生む。