友だちの発案で昨夏からはじめたゲンコロ（原子力問題研究会）。
さまざまな観点から原発をみている人や
原発に関係なくとも自分のテーマ／現場をもつ人などが、
それぞれの知識・経験をもちよって話したら勉強になるし、
より大きな時空間の地図の中に自分の研究・問題意識を位置づけ
厚みのあるものにしていくことができるのではないかな？
というのが立ちあげの動機。
なんだか大仰に響きそうだけれど、簡単にいうとこんな感じ：
「おたがいの向上・刺激のために気軽な「場」があるといいね」
『＜原発＞を切り口に、それぞれの経験や知識からネタだしして
議論や意見・情報交換ができるような場をつくろうよ」
だから、メンバーのメインテーマは
原発・沖縄・米軍基地・風力発電・地域社会・日韓・
ポストコロニアル・「支援」・ダム計画などなど、多岐にわたる。
この多様性こそが財産。
そんなゲンコロは、これまで1－2ヶ月に1－2回の頻度で集まってきた。
特に昨年末以降はしばしば集まったので、
ちょうど気ごころも知れてきたころ（？）。
折しもこの春メンバーのひとりのプロジェクトが完成したので
ゲンコロ番外編としてささやかな打ち上げをすることに。
ここは言いだしっぺのわたしが幹事。
幹事特権で、自分が行ってみたい場所をセレクト可能だ。
とはいっても、行ってみたい未踏の地はいろいろある。
そのなかから、今回の参加メンバーの諸条件などを考え、
いつか行きたいと思っていた新宿の思い出横丁に決定。
思い出横丁とは、新宿駅西口と青梅街道のあいだ、
JRの線路わきの小路沿いにのびる飲食街のこと。
先の戦争のあと、焼け野原となったこのあたりには露天商が林立、
けれどあるとき火事がおきて露店はほぼ消滅してしまう。
再興のためテキ屋の親分がつくった闇市、その名も
「ラッキーストリート」―板でくぎった露天商マーケット―が
思い出横丁の始まりだとか。
…で、やってきました、思い出横丁の「鳥園」。
２階にあがると、壁を飾るレトロなポスターが迎えてくれた。
こころなしか床が傾いているような？ でもそれも味のうち。
そんなことを思いつつ席に着く。
喉が渇いていたので、ひとり先に生ビールを注文。
実はゲンコロメンバーは20代が最多。
あとは30代で、しかもわたしが最年長だ。
自分が最年長という場がこれまでほぼなかったので、
どう振る舞えばいいのかよくわからない。
仕方なく、諸先輩方の見よう見まね、あとは好きに振る舞ってみる。
そんなわたしに、ときとして面食らうこともあるだろう。
ゲンコロメンバーは実に忍耐強い、ありがたい人たちだ。
その「忍耐強い人たち」は、
時差をともないボチボチあらわれた。
そのたびに「完成おめでとう」の乾杯をくり返すのも楽しい。
メンバーには台湾からの留学生ウィさんもいるので、
「彼が食べたことのないもの」をテーマに食事を注文。
刺身はもちろん外せないし、
馬刺し（牛レバ刺しだったか？）も、ためす価値あり。
なにかと物議をかもすクジラも、一度ためしてみたら？
ハナさんのお勧めは竜田揚げ、というわけで
クジラの竜田揚げを注文。わたしにとっても初挑戦だ。
みんなで生ビールを飲みほしたあとは、焼酎「黒霧島」へ。
牛筋煮込み・塩辛・焼き鳥など、もりもり食べる。
「ウィさんが食べたことがないもの」というテーマには
必ずしも当てはまらないけど、やっぱり美味しいから。
話題は、台湾の社会運動のこと、上関原発計画のこと、
祝島（いわいしま）や珠洲（すず）のこと、「自立」概念のこと。
ハラさんが勧めてくれたのは『自立支援の実践知』（似田貝香門・編）。
阪神・淡路大震災以来１２年間もの支援経験をもつ団体に
密着調査をした研究者たちがあらわした書だという。
原発問題とは関係なさそうにみえるかもしれないけれど、
通底するものがあるとわたしには思える。
なぜって、この本が「自立とは支えあい」と言っているというから。
「自立」という概念は、この文脈でも再考を迫られているようす。
９０年代以降わたしたちの暮らす社会に蔓延してきた
新自由主義（ネオリベ）的「自己選択・自己決定＝自己責任」が
再検討を必要とすることは、あらためて言うまでもなさそう。
この日はほかにも、絵文字・顔文字の使用や恋バナなど、
話題は何でもあり。だって番外編だし、打ちあげだし。
みんな酔っぱらって、ご機嫌で帰路についた。
