少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

時間は存在しない

2019-10-14 10:29:55 | 読書ブログ
時間は存在しない(カルロ・ロヴェッリ/NHK出版)

著者は、「すごい物理学講義」の著者で、ループ重力理論の研究者。相対性理論、量子物理学、そしてループ理論から得られた知見に基づき、時間の本質を思考する内容。時間は変化の指標であるが、普遍的でも連続的でもない。そして、過去と未来を分かつ「時間の矢」は、熱力学第二法則にしか根拠を持たない。

本書の内容を十分に理解したと主張するつもりはないが、エントロピーは、細部を区別できない曖昧さの指標であり、それは人間の視点からくる一種の錯覚だと、著者は主張しているようだ。

「すごい物理学講義」は、内容は理解不能なのに、非常に読みやすい本だったが、この本にも同様の趣きがある。時間は人間の存在が生み出す、という、これは一種の人間原理なのかもしれない。