少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

空想居酒屋

2021-06-05 07:00:00 | 読書ブログ
空想居酒屋(島田雅彦/NHK出版新書)

料理に関する本を、たまに紹介したくなる。

この作品は、酒と料理好きの筆者が、自ら居酒屋を開くとしたら、という設定で、自由奔放に描かれた、酒と肴に関するエッセー。題名に魅かれて図書館で借りてきた。

理想的な居酒屋のあり方。そこで供されるべき肴として、揚げ物、豆腐と卵、寿司、尿酸値を度外視した珍味の数々。鰻、鍋、スープ、屋台料理などなど。最後は、自ら臨時の居酒屋を実演して見せる。それらの料理が食べたくなり、また、酒が飲みたくなること請け合いの一冊。

書かれた時期はコロナ禍に重なり、すべての居酒屋にエールを送る内容にもなっている。

作者は芥川賞の選考委員であり、かなり有名な文学者だと思うが、たぶん私は、この人の作品を1作しか読んでいない(たぶん、『夢遊王国のための音楽』中の一作)。そしてこれからも、エッセーはともかく、文学作品を読むことはないと思う。(少し趣味が偏っているもので。)

しかし、この1冊で、この作者に非常によい印象を持った。