静かな炎天(若竹七海/文春文庫)
女探偵、葉村晶が登場する短編集第3弾。
前回紹介した『依頼人は死んだ』の後、シリーズの作品としては『悪いうさぎ』と、『さよならの手口』がある。が、短編推理を紹介するという趣旨から、長編作品はとりあえずパスしておきたい。
これらの作品と本書の間の葉村晶の消息については、作品集『暗い越流』に、2つの作品が掲載されている。(文庫版は光文社文庫で出ているようだが、私が読んだのは図書館で借りた単行本。)
「蠅男」では、相変わらずタフで運の悪い37歳の主人公が登場し、「道楽者の金庫」では、書店でアルバイトをしている40歳を過ぎた主人公が、古書がらみの事件にまきこまれる。
で本書は、「白熊探偵社」の探偵として本格的に活動する作品集で、6つの作品が収められている。
四十肩の発症に悩まされながらも、脂の乗り切った探偵として依頼をこなす主人公に、次々に襲いかかる不運。心の中で毒づきながらも、クールに乗り越えていく主人公。これはもう、本格的なハードボイルドと言わざるをえないだろう。
吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト兼務という設定で、さまざまなミステリが登場するのも、その方面のファンには楽しみだろう。私にも、『血の収穫』や『深夜プラス1』などは覚えのあるタイトルだ。
葉村晶の 作品集としては、もう2冊の存在を確認しているので、発売順に読んでいこうと思っている。
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