何とか年度内に工事完了いたしました。
*旦那さんの仕事ではありますが、記録用として栖風采ブログに概要をまとめております。
まず修理前の外観です。
こちらの建物は、調査報告書によりますと明治期の建物とされておりますが、
今日に至るまで何度か改造がなされており、現況はこのような形になっています。
屋根の形状ですが、切妻屋根+片流れ屋根=乗り越し屋根? と言ってよいのか悩む形状です。
令和3年度の保存修理工事(1期工事)では、この2階の屋根のみを修理するとのことでした。
昨年の10月、屋根板金の解体が始まりました
切妻屋根部分に関しては、
現状のカラー鉄板瓦棒葺きの下から、おや?
昔のトタン屋根が現れましたよ
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一方、正面の片流れ屋根からは 昔のトタンはなし。
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解体してみると野地板の状況が全般的に悪く、
加えて垂木が細過ぎて(垂木は現状保存)
屋根の上に乗って作業すると野地板を踏み抜き、垂木も折れる可能性が高く、非常に危ない!
という事で
野地板は全部取り替えとなったようです
ちなみに、この工事は補助金を頂いての保存修理工事ですので
市の委託設計事務所より修理方針並びに工事見積の積算がなされておりますが
委託設計事務所による積算書は、野地板の交換費用は屋根全体の20%止り
保存修理工事の積算数量ではまったく足りない
よって、修理内容は変更調整となったようです。。。
解体が進んでいくと、さらに様々な事が分かってきました。
なんと
扠首尻(さすじり)跡発見!
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扠首尻とは
茅葺屋根の扠首(さす)の梁に刺さる部分です。
と言っても一般の方にはよく分からないですよね、、、
参考までに茅葺屋根 小屋組の図
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(安藤邦廣「茅葺の民俗学」より引用 赤字加筆)
ということは、この建物、
元々は茅葺だったということになります。
垂木がとても細いのも、もしかすると茅葺の垂木を転用したのかもしれませんね
小屋梁の納めも不自然だったのも、
茅葺屋根から現行の切妻屋根に変える時に、改造が各所行われたためと思われます。
黒い煤くれたところは恐らく明治期当初のままで、
色の薄い材のところは、後世改造した際のものと考えられます。
(写真中の野地板は保存修理工事の新設材)
さて、これだけではありません!
正面片流れ屋根の解体中にこんな痕跡をも発見!
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垂木の断片跡。
恐らく折り返し屋根(招き屋根)があったと思われます。
この工事は、保存修理工事ですので復原することになったとの事です
折り返し屋根の復原
このように
解体した後で修理方針の変更が幾つもあり、今回の保存修理工事、なかなか大変だった模様です。。。
また保存工事とは別に、
折角、屋根の工事をするのですから、屋根の不陸調整をする過程を活かして(←ここポイント)
屋根に高性能断熱材(アルミ箔面材付硬質ウレタンフォーム 熱伝導率0.021W/(m・K))も入れました。
*断熱材は補助対象外工事なので費用はお施主さんの自己負担となります。
そんな訳で、工事は予定よりも結構、遅れてしまったようでしたけども、
なんとか年度内には終わりました
屋根板金工事終了
現況が瓦棒葺きだったということで、修理も瓦棒です。
令和3年度 2階屋根保存修理 後 外観正面です
令和3年度の工事はここまで。
引き続き、外壁など保存修理工事は続く予定です
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