さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

古民家リノベーション計画

2024年11月14日 | 現場26 東御市 古民家リノベーション計画

久しぶりの古民家新規案件、はじめます

 

昨年から今年に掛けて、恐らく開業以来、最もお問い合わせが多く驚いています。

そうは言いましても、全てを受注することはできませんので、いいような悪いような

 

実は、今、動いている栖風采案件は全てコロナ前に受注した案件だったりします

その他に、海野宿の保存修理工事が毎年何かしら関わっていたり、

自宅の保存修理工事が3年前から始まっていたり

そう易々と新しい案件を請けることが出来ない状況が続いておりました。

 

そのような状況でもお問い合わせを頂きましたら

一先ず初回無料相談だけはやるように心掛けておりましたので

毎月何かしらお問い合わせがありタダ働き

そんなことで今年は少々大変でした。

 

その中で珍しくも相見積もりのお問い合わせがありました。

古民家を購入して手を入れて(リフォーム等)、暫くは別荘、週末住宅のように使いつつ、ゆくゆくは移住したい、

そのようなお考えの方が以前から多く、よくお問い合わせを頂きます。

 

相見積もりのお問い合わせをいただいた方もそのような感じで

古民家は空き家バンクで見つけ購入されたそうです

(空き家バンクで古民家を購入されて当方にお声が掛った案件はこれで3件目になります)

 

古民家を購入される方がまず気にされるのは

古民家の状態はどうなのか(白蟻にやられてないかとか、土台など腐って無いか等)

どのくらいの費用でリフォームできるのか

でしょう。

 

検索ではよく

「古民家 リフォーム 費用 相場」

「古民家 リノベーション 費用 ブログ」

「リフォーム費用 古民家」

といったキーワードが多くみられます。

 

ですので、勢い、幾らでリフォーム出来ますか? 

みたいなお問い合わせになりがちなのですが(お客様だけでなく不動産屋さんとかも)


工事の内容が定かでないものには見積もりは出来ませんし

工事の見積もりをするためには事前に古民家なら劣化状況をある程度把握して

その上で計画がなされてないといけませんし

なによりも私の仕事は設計事務所ですので

古民家調査やリフォーム改修プランを計画することが仕事になります!

と、ご説明をして

リフォームの見積もりではなく計画料の見積もりを速攻でご提示し

相見積もりの建築相談は終了いたしました

 

まぁ、こんな対応をしてしまったので

まず私にはご依頼は絶対来ないと思っておりました。

しかも、お客様は私以外にも数社同時にお問い合わせされてましたので、尚更です。

内心、今回の建築相談もサービス業務だわ~ と思いつつ

それでも古民家をリフォームしたいという人に、何かしら大雑把でもアドバイスが出来れば

それが私のささやかな社会貢献  という体なのでそれはそれでいいのです。

はい。

 

ただこのお問い合わせ下さったお客様はとても誠実な相見積もりを依頼されていました

事前に他社にもお問い合わせしていること

他社と比較検討してお返事すると伝えてくれてましたし、

そこは逆に明確で好感が持てたところです

 

あと後日、不意に海野宿の当事務所へ奥様と一緒にご挨拶に来られたりもして

それがまたご夫妻のご様子(相手からしますと私の普段の様子?)を感じる事ができて良かったです

 

そうこうしてお問い合わせ頂いてから2ヶ月あまり経ったところで

計画業務の依頼を頂くことになりまして

久しぶりの新規古民家案件となりました

 

そのような訳で、

本格的に寒くなる前に、古民家の測量だけはやっておきたいので10月頃より測量開始

とはいえ、今はスタッフもおらず、私一人で取りあえず測量しなければなりません

もちろん夫に手伝ってもらう事も出来るのですが、夫は現場が慌ただしいので

一先ず、一人で頑張ります

 

小屋裏 

構造材の感じからしてもしかすると明治期かもしれません。昭和の民家ではなさそうです。

ただ、昭和時代の改造は結構されておりましたね。

一応、アスベスト調査者の資格もありますので、

アスベスト含有建材の事前調査もついでにやっておこうと思ってます。

 

 
 
 
 
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伝統的建造物一般公開、無事に終了~第30回 海野宿ふれあい祭り~

2024年11月05日 | こんな設計事務所です(^^)

伝統的建造物群保存地区『海野宿』の第30回になる海野宿ふれあい祭り

今年も無事に終わりました!

 


2024.11.3 快晴

 

祭り前日は大雨で、、、建物公開のためのお掃除や街道に面しているガラス戸10枚のガラス磨きが出来ない

と焦っておりましたが、

雨が収まってきた夕方から夜にかけて旦那さんがガラス磨きを手伝ってくれ、

何とか室内も整い、お祭りを迎えることができました!

 

昨年2023年のふれあい祭りから協力している建物公開

今年で2回目となります。

 

江戸時代の建物の風情を出すためにお祭り限定大戸を出しました

 



来場者にはくぐり戸から出入りして頂きます

 


くぐり戸 頭上注意

 

さて、今年の来場者は111名でした!

ゾロ目

 

今年は息子も帰って来ず、ワンオペで来場者の対応をしていましたので

至らなかったところもあったかと思います

 

 

ご来場さま向けにこの建物のまつわる話を少しでも考えておけばよかったのですが

実は現在、屋敷内では上雪隠保存修理の工事中で、、、

祭り直前まで工事やら(祭り4日前にはコンクリート打ってました

工事資材の片付けやら掃除などでクタクタ


上雪隠保存修理工事中

 

疲労困憊なまま頭真っ白な状態で当日を迎え、、、

ご来場さまには建物にまつわるお話を殆どすることも出来ず、申し訳ありませんでした

 


今年も盛大に陶器展示を致しましたデス

 


逆に、私の方がごくごく普通の一般の方の古い建物に対する感想を聞けて

ある意味新鮮でした

 


来場された皆さまにまず聞かれたことは


ここに住んでいるのか?

ここは何やってるところなのか?」

でした



お答えは

ここには住んでおりません。離れで暮らしてます。

ここは事務所として使ってます。設計事務所をやってます。



また、ご意見としては

建物の貴重さを感じる

と仰る方が多かったですね。

 

一応、この建物は江戸末の建物とされています。

実際、材の状況をみてもそうだろうと私も判断しています。

ざっと見積もっても160年くらいは少なくとも経っていると思われますので

それだけでも貴重だと言えますね。

そしてこの建物一棟だけではなく、町並みとして古い建物が残っていることが何より貴重なこと。

だからこうして伝統的建造物群保存地区となっている訳です。



あと、

建物の維持は大変ではないのか

と聞かれることも多かったです。



維持の大変さに関しては

伝統家屋ならではの大変さは何と言っても

「掃除」でしょうか

気密性の低さによって、

土埃、虫、クモの巣、経年積もり積もった埃がどこからか落ちてきます

それらを清潔と感じるまで掃除するのは難しい

 

今回も建物公開するための掃除がとても大変でしたが、

こんな機会がなければ滅多に各所手を入れませんので

人の目に触れることは維持のためには欠かせないと思います(笑)

 

恐らく維持の大変さとして修繕費用のことなどを皆さん、心配されているのだと思いますが

それは現代の建築においてもいずれ修繕時期はやってきますので

基本的には大したことでは無いと私は建築屋ですので思っています。

 

あと、殆どの来場者が吹抜け部分(天井を取っ払っている部分)を見上げて

茅葺きの裏を見るのは初めて

と仰ってましたね

 

私にとって茅葺は大学時代から調査等で馴染みがありすぎて

最早、一般的な感覚を忘れてしまっておりました。

皆さんのお陰で初心に帰る気持ちです

 

本当はこの茅葺を葺き替えたかったのですが、保存地区であっても防火上、それが許されなかったので、

それならば古茅を撤去したい と思ったことも若いころはありました

ですが、撤去はしてはいけないという文化庁の保存に対する基本的な考えがありまして、

古い茅葺の上に板金屋根を被せ、茅葺をそのまま保存してに今に至るのですが

こうやって一般公開してみて、文化庁の考えは正しかったと分かります。

そう、若気の至りにならないためにも、年長者や経験者、文化を守る人達の意見を聞くことは大切です。

 

古い茅葺は保存はしますけど、しかしこの古茅からは煤埃が落ちてきて本当に困りもの

天井を張って埃止めにしたいところなのですが

それが今、来場者の皆さん、口をそろえて、茅葺が見れて良かったと仰るので

もう天井張るの止めようかな、という心境でおります

 


あと嬉しかったのは

いつも布(手拭い)飾ってますよね

とか

雛飾りされてますよね

とか

普段、海野宿を生活道路として使ってる方々がいらしてくれたこと

 


手ぬぐい額
季節に合わせて手ぬぐいを入れ変えています

 

趣味のようにやってる年中室礼のコンセプト

海野宿を行き交う人達に町並みや建物の美しさを感じてもらいたい

日本の伝統文化の一つとして五節句をテーマに季節の室礼をやる

というもので

ホント苦行でしかなかった今回の建物公開の準備も

来場者の皆さんのお言葉によってに報われました😌

 

 

と言いましても

うちは飲食店や物売り屋じゃないので

この祭りに協力したところで収益ゼロ

むしろ準備の時間を考えるとマイナスです。

 

正直、祭りなんかやってられない❗という苛立ちがあります。

 

売ろうと思えば売ることの出来る物もありますが、

慣れない事をやるには、またそれにも準備が必要で

どっちにしても手と時間と頭をとられ

何をやろうにも本業の妨げになってしまいます。

 

しかし昨年より建物公開という機会をいただいて

収益は無くても、人との「ご縁」が出来るという手応えを感じています✨

ですので、祭りに割いた時間は

営業経費と思えばいいのかなーと勝手に納得しております

(いやそれでも割には全くあってませんが❗)

 

このさいふうさいブログをご覧になってお祭りに来て下さった方もいらっしゃいました!

それも我が家と同じく江戸時代の茅葺民家に暮らされてる方です。

家のお悩みがいろいろあり、建物公開を機会に建築相談も兼ねてお越し下さいました

それだけで私としてはこのお祭りに協力した甲斐があったと思いましたですね。

 

さてお祭りの後は、

以前、厨房工事をさせてもらった海野宿上州屋さんでお疲れさん会☆

お疲れ様でーす!

 

上州屋さん、まだ海野宿に移住されてませんので

箱根から駆け付けてお団子を販売されてました☆(お煎餅屋さんなんですけどね)

上州屋さんも今回は私と同じくワンオペだったみたいです(笑)

 

看板犬 白柴のハクが可愛い~

 

怒涛のお祭り準備の疲れも

ハクに癒されて元気でました~(笑)


あ~可愛い

 

さてこれでやっと平常に戻れます。

今年もあと2ヶ月弱

焦りしかありませんが頑張っていきたいと思います

 

 

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