最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

私のコレクション 赤江瀑『マルゴォの杯』 湯川書房 に異装本は存在するのか?

2014年03月05日 | 赤江瀑





巷では赤江瀑『マルゴォの杯』(湯川書房 1977年刊 限定150部)のビロード貼り函の色が2種類(臙脂と金赤)あると言われています。

並べてみれば、確かに色味が違いますが、これは意図して作られたものではなく、途中で材料が不足したために似た色のビロードを使ったというのが真相のようです。


そのことをもって異装本があると言うのであれば、表紙の革の色味もこのように違っているし、函の内張りの草色のビロードも違います。


内張りのビロードの色違いと、函の外張りのビロードの色違いが組み合わせによって存在すれば、それだけでも4種類あることになってしまいますし、革の色味やシボは1冊ごとに違うわけですから、そこまで些細な違いをあれこれ言う必要はないように思います。

異装本というのは、制作者が何らかの意図をもって作成したものですから、この本に関しては異装本は存在しないというのが私の見解です。


本書の詳細は、最初に紹介した記事をご覧ください。  →こちら