巷では赤江瀑『マルゴォの杯』(湯川書房 1977年刊 限定150部)のビロード貼り函の色が2種類(臙脂と金赤)あると言われています。
並べてみれば、確かに色味が違いますが、これは意図して作られたものではなく、途中で材料が不足したために似た色のビロードを使ったというのが真相のようです。
そのことをもって異装本があると言うのであれば、表紙の革の色味もこのように違っているし、函の内張りの草色のビロードも違います。
内張りのビロードの色違いと、函の外張りのビロードの色違いが組み合わせによって存在すれば、それだけでも4種類あることになってしまいますし、革の色味やシボは1冊ごとに違うわけですから、そこまで些細な違いをあれこれ言う必要はないように思います。
異装本というのは、制作者が何らかの意図をもって作成したものですから、この本に関しては異装本は存在しないというのが私の見解です。
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