巡りあわせが悪い本というのがあります。まあ、本に限ったことではないのでしょうが、一生懸命探したつもりでも、古書展や古書店で出合えないのです。何十年年探しても、その姿に一度も出合えない本というものが何冊もあります。
世に稀覯本と言われるものは、高価ゆえにとても手が届かなくても、その姿をショー・ケースの中で見ることは出来ますが、ふつうに出版されて、ふつうに流通していたはずのものが、どういう塩梅なのか、姿を一度も見た事がないとなると悔しいものです。
今回は姿を二度見て、二度とも購入している本ですが、一冊は奥付は3刷、もう一冊も4刷です。「おっ、あった!」と手に取り、まず奥付を見るのが習性のようになっていて、初版ではないと、ちょっとがっかりします。やはり初版という、出版された時の最初の姿で持っていたいと思うからなのでしょう。
それを二度経験し、古本屋巡りをほとんどしなくなってからもネット上で初版があるかどうかを検索しても、見つからなかったものです。
こう書くと、とてもめずらしい本のように思われてしまいますが、古本屋の棚に並んでいれば、200円か300円ほど、店頭の100円均一の箱に入っていてもおかしくない新書判の本なのです。
昭和48年6月発行の3刷本の表紙。並製で表紙は袖付。うしろ見返しには鉛筆書きで「昭和48¥300.-」と古書店の値段が書いてあります。
ああ、あの古書店のオヤジだと分かる字でした。
次に昭和49年10月発行の4刷本の表紙。並製で三方断ち落としに変更になっています。
この本には星新一さんのエッセイが収録されています。
開いてみたら、見返しに星さんのサインをいただいていました。すっかり忘れていました(^_^;)
星新一さんのアンソロジーリストを作っている過程で、そういえばこの本、初版を見た事がなかったなと、久しぶりに検索してみたら「初版・帯付」がヒットしたのです!
注文しても「在庫切れ」の返信が届くこともときどきあるのですが、ちゃんと受注メールが届き、その数日後、手元に届きました(^o^)
表紙です。
裏表紙です。
持っているものとはデザインが違っていました。初版も同じようなデザインだと思い込んでいました。
沢山本が並ぶ古書展では、本の大きさとデザインなどを手掛かりに探すので、デザインがこうも違っていると、見逃していた可能性が高いです。
巡りあわせが悪かったのではなく、思い込みで、みずから道を閉ざしていただけだったようです(^_^;)