最終回文庫 ◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されない不具合があります。ご容赦ください。

私のコレクション 星新一(20) 伊藤勇輔作品集

2011年10月18日 | 星新一





どうしてこの本が星コレクションに入るのかって? まあ、ちょっとご覧ください。

ケースです。


表紙。


奥付。私家版なので、住所等は画像処理しています。


この本に収められている作品名「崩壊するビル」

星ファンなら、見覚えがあるのでは?
そう、講談社から刊行された単行本『なりそこない王子』(1971年9月)の表紙になっています。

で、この作品集には、星さんが「伊藤さんと私」という一文を寄せています。

そのため、コレクションの対象になったというわけです。

「伊藤さんと私」には、このように書かれています。
案内状に印刷されていた絵が魅力的だったため、ほとんど個展というものに足を運んだことがなかった星氏が個展会場に赴き、伊藤氏ご本人と会い、その後、同人の画集を送ってもらった。
雑誌に作品を載せるときの挿絵は、編集担当者に任せていたが、「オール読物」に載った短篇「魅惑の城」を書き終えた頃にその画商が届いたので、担当者に画集を見せて、挿絵を伊藤さんに依頼しようとした。しかし、その時伊藤さんは闘病中で、描きたいけれども無理という返事に、その画集の中から絵を使わせてもらった。その挿絵を見たほうぼうの雑誌社担当者から、依頼したいので連絡先を知りたいという問い合わせがあった。
「魅惑の城」を含めた作品集『なりそこない王子』を上梓するにあたって、表紙を伊藤さんの絵で飾り、各短篇にも伊藤さんの絵を入れることとなった。

この一文は、次のように結ばれています。
「考えてみると、伊藤さんとは数分間の会話を一回しただけのつきあいである。それなのに、一生忘れられない印象が残った。私にとって伊藤さんは、異次元の世界からふとあらわれ、そして、たちまち異次元へと帰っていった人なのである。」

伊藤勇輔氏は、闘病の甲斐なく『なりそこない王子』が刊行された前年の1970年に他界されています。





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