「口中良薬 ホシ複方鹽剥散」とムズカシイ感じが並んでいて、なんと読むのか……。
「複方」は複数の薬剤を調合した薬のことで、「鹽」は「塩」の旧字。「剥」は剥離(はくり)の剥ですから「はがす」ということなんでしょう。「散」は「胃散」のように、不快感が去り爽快感が残るというような意味でしょうか。漢字に付けられたフリガナは「ホシ ウガイグスリ」となっています。
読み方の答は袋の上の方、英文表記部分にありました。HOSHI ENBOTSUSAN 「ほしえんぼつさん」と読むようです。
―星標漱口散― とも書いてあります。
星製薬の「星」、「標」は商標登録してあるということか、「漱」の字は夏目漱石の名の由来が語られるときに聞いたことがあると思います。「流れに漱(くちすす)ぎ石に枕す」……星ブランドのうがい薬で、使うとサッパリしますよ ということなんでしょうね。
袋の左側にはハングル文字での表記もあり、3包入りで定価は20銭。
「用法」「主治効能」は日本語・ハングル・中国語で表記してあります。
袋の裏側には1銭の収入印紙が2枚貼られています。
定価20銭の10%は2銭ですから、売薬印紙税制下の大正時代のものです。