吉祥寺の呉服屋さん「ふじや」さん
「ふじや」さんは、わたしが漫画家になり、1990年(25歳)ごろにはじめて住んだ小金井から近い、吉祥寺にありました。
当時お金もなく、知り合いは編集者だけ。月に一度漫画を書き終わると、吉祥寺にいきちょっとした買い物をするのが楽しみ。ふじやさんの前を通るたびに「着物、綺麗だなあ、でも手がでない世界」と、諦めていました。
でもついに、浴衣をきっかけにふじやさんとのお付き合いが始まりました❗ 27-28さいだったから、ちょうど30ねんまえ。すぐに槙村さとる先生に紹介くださり、槙村先生とも、以来ずっとのお付き合い。生活が大変で買えないときも、「気分転換に」と着物を試着させてくださり。色々着物のいろはもご指導くださいました。
2013年に結婚したときはお祝いにと、素晴らしい振袖を安く譲ってくださり、おとうさまのようでした。
でもコロナ以降の呉服業界縮小の流れのなか、ついに店舗はしめることに。28さいではじめて浴衣を作り、素敵な着物を、たくさんつくっていただき、いま58さい。ちょうど30年です。
相変わらずダンディーなご主人ですが、「店もしめるし、最近はちょっと体調か優れないから、会いに来て」と連絡が。
うかがうと、「再会できて嬉しい」と、涙を浮かべてよろこんでくれました。
わたしにとって、ふじやさんは商売抜きのお父様とお母様。実の親とうまくいかなかったぶん、わたしは目上のかたに本当にめぐまれました。今度はご自宅に遊びにいきます、秋には紅葉をみに、箱根にみんなでいきたいね、と、約束をしました❗
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