骨董関連の書籍を読むと、昔は元禄までが古伊万里で、古九谷や柿右衛門は伊万里とは別扱いだった、という記述を目にします。
元禄以降の品は「幕末の雑器」とひとくくりになっていたかどうかは知りませんが
そういった点では今回の品は、以前は「幕末の雑器」扱いだった可能性はありそうです。
「染錦牡丹唐獅子文七寸皿」
宝暦~中期末あたりによく見られる、染錦手で大きく牡丹が描かれた品です
牡丹の輪郭を金彩で描いているあたりに、この時代の特長が見られるように感じます。
唐獅子文は金彩で描かれており、赤と金の水玉模様というのが面白い点でしょうか
整形は縁の立ったちょっとだけ手のかかったものになっており、金縁となっています
裏面は典型的は中期古伊万里で、落款も一般的な大明成化年製、唐草はそこそこ丁寧に描かれています。
この手のお皿も以前はそれなりの値段がしたんですが、最近では数千円で買えるケースもあり
中期古伊万里に出世したのに、「幕末の雑器」に戻ってしまったような状況です。
最期に参考のために、盛期の可愛い唐獅子文を紹介します
この唐獅子君は横サイズ3cmほどで絵付けされており、盛期の技術力の高さを感じさせるものです。
赤や金が使われていても、大牡丹に圧倒されています。
これだけ牡丹にウェイトが置かれたか唐獅子牡丹図も珍しいですね。
ただ、骨董の世界では、そのように取り扱われ、それ以降の伊万里は相手にされなかったということでしょうか。また、書籍でも取り扱われなかったということですね。
古伊万里ブームの到来で、この年代のこの手のものは真っ先に古伊万里に昇格しましたが、古伊万里ブームが去るとともに、値段は、かなり安くなってしまいましたよね(~_~;)
でも、この時代の優品は、暴落はしていないように思います。
これも、その内の一つではないかと思います(^_^)
牡丹が大きく描かれている場合が多いように感じます。
正直なところ、唐獅子くんはイマイチ目立たないんですが、赤と金の水玉というのは面白いように感じます。
個人的には宝暦期の染錦手は好きなんですが、不思議なもので
安く買えるようになると欲しくなくなるんですよね~
(どうせ買うならもっと時代のある品という思いが働くんでしょうか?)
この皿などは複数枚あったら使い勝手の良い生活骨董になるのかも知れません。