歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

今年も金木犀が

2013年10月05日 | 徒然 -tzure-zure-
10月3日(木)

突然、金木犀が香り始めた。



びっくりしたのは、
あっちの町のもこっちの町のも、一斉に始まった、ということ。
去年までは、場所ごとのタイムラグがあったと思う。多少なりとも。
それが、一斉に。だ。

あっちもこっちも一斉に、って言ったって、
そんなに広くない自分の活動範囲内に限られた現象体感だったのかもしれないけども。

いずれにせよ、
前日の台風が運んできた 温かい雨のせいかもしれない。




朝、
家の扉を開けると、いきなり、ふわん。

一年ぶりのその香りに、
「あれ?」とひと呼吸意識が飛んでから、はっ!と、思い出す。

ブロック塀を隔てたお隣さんの庭、ちょうど扉を開けると目の前(というか斜め上の方)に、
金木犀の大きな木があった。

あったのだった。そういえば。

一年近く忘れていたことを、思い出す。



昼、
車で、あっちの現場からこっちの現場へ、移動する。すると、
開け放った窓に、ふわんふわん、風と一緒のまるいかたまりになって、飛び込んで来る。

ふんだんに。
惜しみなく。
絶え間なく。

ご褒美か何かのよう。


その日、
一つの小さな個人邸のお庭が仕上がり、

もう一つ、大きなアパートの庭の、ずっと気がかりだった箇所の手直しが完了した。

「無事、出来上がる。」
その瞬間は、とにかく、ほっとする。
着工からその瞬間まで、ずーっと、ピーンと張り詰めっぱなしなので。

庭の大小問わず、達成感の心地好さというのはまったく同等、
沁みる水のように、じわっと胸に来る。





夜、

夕方は一瞬で、
灰色の薄暮があっという間に廻り、ずいぶん暗くなった帰り路。目が翳(かす)む。
ついこの間までの暑い夏が、いつの間にやら はるか遠すぎて、
なんか、騙されてるみたい。


言わずもがな、
風を抜けて走る自転車に、ふわんふわん、ぶつかってくる。
右から、左から。優しい、甘い。
こんなにあちこちにたくさん植えられていたんだなと、感慨深く思う。
姿は見えねど、まさに其処彼処に。



大気中に、金木犀が満ち満ちている。

ふつうに呼吸をするだけで、幸せな心地になる。



、、なんて贅沢な季節だろう。



ふつうに呼吸をするだけで、ものすごく幸せな気持ちになれるなんて。

欲張って、いっぱい吸い込む。

どんなにいっぱい吸い込んでも、
おしみなく、
ふんだんに、
あふれるように。

なんて贅沢。

うっかり、
「うふ~~ん」みたいな、
必要以上に甘い吐息になって、漏れそうになっちゃったり、する。


夜が充分に暗くて 良かった。


それから、3週間ぶりのバレエ・レッスンへ。

集中して出来た。哀しいかな、まだ全然かたちにならないものの、
心地好い達成感。




帰宅して、
部屋の窓を、さらに大きめに開く。
願い通りに、あの香りが漂って来る。朝とは別のお隣の、これまた立派な金木犀から。





とにかく、
今年はちょっとびっくりしたのだった。

突然に、
あっちもこっちも一斉に、香り出したから。




秋なんですね。もう。





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