<2013年夏・イギリス旅日記>
7月29日(月) 〜10日目〜

2泊したDalesgate Hotelを後に。

西ヨークシャーの「ムーア」へ、向かいました。
*
ムーア(moor)とは:
泥炭質の酸性土壌の原野で、ヒース(heather)などの低木や草ばかりが茂る土地のこと。
「荒れ地」とか、「荒れ野」とか、はたまた「湿原」とか「湿地」とか、訳されます。

こんな感じ。
『嵐が丘』の舞台:Haworthから程近い、“Wadsworth moor”、というところ。
見晴らしの良いところに車を停めて、ちょっと歩き廻ってみます。

まさに「嵐が丘」。
曇天と相俟って、荒涼と吹きすさぶ荒れ野原、、という感じ。

昨夜の雨の痕。

水はけが悪い泥炭質の湿地、という感じ。
そして、草。
広大な原っぱ。
見渡す限り、樹は無くて。
そして、

白い綿の花。

ぽつぽつ、点々と、辺り一面に。
荒涼としていて、物寂しいながら、幻想的な雰囲気。
辺りに人気も全然なくて、
車もほとんど通らない、電柱も電線も見当たらない、
音を立てるのは、びゅうびゅうと、うなる風ばかり。

昔からずーーーっとこの風景で、
昔からずーーっと、こんな風が吹く、こんな灰色の空の下で、
時に中世、映画で見るような恰好の騎士なんかが駆けていたり、したんだな、、、、
、などと想像してみると、不思議なタイムスリップ感に呑み込まれました。
先に訪れた廃墟の修道院と、同様に。

棄てられた柵。

花のまだ付いていない、ヒース。

赤く灼けた色の草。

はるか遠くに、風車。
そもそも、なんで「ムーア」に惹かれ、行きたかったのかというと:
現役の作家のうちで一番敬愛している文学者:梨木香歩さんが、何かの文献(たぶんエッセイ。失念。)で、
‘ムーアを歩きたいがためにトランクに長靴を詰め込み、、’ みたいなことを書いていて、、、、その内容はうろ覚えながら、そこに出てきた「ムーア」という言葉。その言葉の指し示す風景が、いったいどんなものなのやら、気になっていたのでした。
「ムーア」というその、イギリス独特の、イギリスらしい風景、とやらに。

だから、
ああ、これが、イギリスのムーアってやつか・・!と、
感無量だったのでした。
どうしても実感としてイメージしきれなかった未知なる風景に、ただ、今、立って居る、ということに。

*
どうやら、
ここらはもはや、どこまでも同じ風景っぽいので、ちょっと場所を変えてみたらどうだろう、と、
移動。

なだらかな坂道。

羊だけの国。

シンメトリカル羊。

草ばかりのムーア。
そして谷の川沿いに、緑がもこもこ。平らな畑。
*
ここは、西ヨークシャーデイルズの南端あたり、

“Holme moss”(ホルム・モス) の summit(山頂)。

細い塔あり。
ラジオのトランスミッターだそうです。

さっきのムーアよりも、緑が多め。

なだらかな曲線の丘が列なる、やわらかい風景。
これまた、イギリス独特の風景:dale(デイル)=谷です。

なだらか。
はるか峯の向こうまで、見通せます。
お、

kissing gate(キッシング・ゲート)。
遊歩道(foot-path)の入口です。
こっち側の階段とあっち側の階段が、一体となった、すこぶる機能的なデザインですね。
柵をまたいで、
ちょこっと、行ってみます。

草原。ふさふさ。
「あははは〜*あははは〜*」って、笑いながら駆け巡りたり、ときどき転げてみたりしたくなる感じです。ハタから見たら危ない感じです。

ヤナギラン。

ジギタリス(狐の手袋)。

石。

黒いナメクジ?

棄てられタイヤ。
ぴょんぴょん飛び跳ねたり、たまに寝転がって大の字になって、空を眺めたりしながら、
丘を転げ降りていきました。
が、
残した車が心配で、、、車が見えなくならないある程度まで行ったら、引き返します。

ムーア。荒れ野。
その植生から、「ヒース」と呼ぶ場合もあるらしいけど、ムーアとヒース、その違いがまだ、良く判らない、、、。
ロンドン郊外のHampstead Heath(ハムステッド・ヒース)も、そういえば、こんな感じの草原の丘が、ありました。
あそこも、とても気持ちよかった。
(※そのハムステッド・ヒースの巻[2日目・その2]は、こちら>>☆☆☆)

この、なだらかで、一面に広くて、目立ったものは何も無いし、花も少ないけど、
びゅうびゅうと、風が吹いている感じ。
一面に茂る草が、ただただ、吹かれている感じ。
余計なものが無い感じ。
「荒れ地」や「荒れ野」っていうのも、微妙にニュアンスが足りない気がするし、
ましてや「湿地」や「湿原」っていうと、全然イメージが違う。
“嵐が丘”とは、まさしく。言い得て妙だと思います。
ううむ。
好きです。
*

>>続く。>>
7月29日(月) 〜10日目〜

2泊したDalesgate Hotelを後に。

西ヨークシャーの「ムーア」へ、向かいました。
*
ムーア(moor)とは:
泥炭質の酸性土壌の原野で、ヒース(heather)などの低木や草ばかりが茂る土地のこと。
「荒れ地」とか、「荒れ野」とか、はたまた「湿原」とか「湿地」とか、訳されます。

こんな感じ。
『嵐が丘』の舞台:Haworthから程近い、“Wadsworth moor”、というところ。
見晴らしの良いところに車を停めて、ちょっと歩き廻ってみます。

まさに「嵐が丘」。
曇天と相俟って、荒涼と吹きすさぶ荒れ野原、、という感じ。

昨夜の雨の痕。

水はけが悪い泥炭質の湿地、という感じ。
そして、草。
広大な原っぱ。
見渡す限り、樹は無くて。
そして、

白い綿の花。

ぽつぽつ、点々と、辺り一面に。
荒涼としていて、物寂しいながら、幻想的な雰囲気。
辺りに人気も全然なくて、
車もほとんど通らない、電柱も電線も見当たらない、
音を立てるのは、びゅうびゅうと、うなる風ばかり。

昔からずーーーっとこの風景で、
昔からずーーっと、こんな風が吹く、こんな灰色の空の下で、
時に中世、映画で見るような恰好の騎士なんかが駆けていたり、したんだな、、、、
、などと想像してみると、不思議なタイムスリップ感に呑み込まれました。
先に訪れた廃墟の修道院と、同様に。

棄てられた柵。

花のまだ付いていない、ヒース。

赤く灼けた色の草。

はるか遠くに、風車。
そもそも、なんで「ムーア」に惹かれ、行きたかったのかというと:
現役の作家のうちで一番敬愛している文学者:梨木香歩さんが、何かの文献(たぶんエッセイ。失念。)で、
‘ムーアを歩きたいがためにトランクに長靴を詰め込み、、’ みたいなことを書いていて、、、、その内容はうろ覚えながら、そこに出てきた「ムーア」という言葉。その言葉の指し示す風景が、いったいどんなものなのやら、気になっていたのでした。
「ムーア」というその、イギリス独特の、イギリスらしい風景、とやらに。

だから、
ああ、これが、イギリスのムーアってやつか・・!と、
感無量だったのでした。
どうしても実感としてイメージしきれなかった未知なる風景に、ただ、今、立って居る、ということに。

*
どうやら、
ここらはもはや、どこまでも同じ風景っぽいので、ちょっと場所を変えてみたらどうだろう、と、
移動。

なだらかな坂道。

羊だけの国。

シンメトリカル羊。

草ばかりのムーア。
そして谷の川沿いに、緑がもこもこ。平らな畑。
*
ここは、西ヨークシャーデイルズの南端あたり、

“Holme moss”(ホルム・モス) の summit(山頂)。

細い塔あり。
ラジオのトランスミッターだそうです。

さっきのムーアよりも、緑が多め。

なだらかな曲線の丘が列なる、やわらかい風景。
これまた、イギリス独特の風景:dale(デイル)=谷です。

なだらか。
はるか峯の向こうまで、見通せます。
お、

kissing gate(キッシング・ゲート)。
遊歩道(foot-path)の入口です。
こっち側の階段とあっち側の階段が、一体となった、すこぶる機能的なデザインですね。
柵をまたいで、
ちょこっと、行ってみます。

草原。ふさふさ。
「あははは〜*あははは〜*」って、笑いながら駆け巡りたり、ときどき転げてみたりしたくなる感じです。ハタから見たら危ない感じです。

ヤナギラン。

ジギタリス(狐の手袋)。

石。

黒いナメクジ?

棄てられタイヤ。
ぴょんぴょん飛び跳ねたり、たまに寝転がって大の字になって、空を眺めたりしながら、
丘を転げ降りていきました。
が、
残した車が心配で、、、車が見えなくならないある程度まで行ったら、引き返します。

ムーア。荒れ野。
その植生から、「ヒース」と呼ぶ場合もあるらしいけど、ムーアとヒース、その違いがまだ、良く判らない、、、。
ロンドン郊外のHampstead Heath(ハムステッド・ヒース)も、そういえば、こんな感じの草原の丘が、ありました。
あそこも、とても気持ちよかった。
(※そのハムステッド・ヒースの巻[2日目・その2]は、こちら>>☆☆☆)

この、なだらかで、一面に広くて、目立ったものは何も無いし、花も少ないけど、
びゅうびゅうと、風が吹いている感じ。
一面に茂る草が、ただただ、吹かれている感じ。
余計なものが無い感じ。
「荒れ地」や「荒れ野」っていうのも、微妙にニュアンスが足りない気がするし、
ましてや「湿地」や「湿原」っていうと、全然イメージが違う。
“嵐が丘”とは、まさしく。言い得て妙だと思います。
ううむ。
好きです。
*

>>続く。>>
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