投票率は52.61%で参議院選挙が終了しました。有権者の半分が自らの権利を行使しない選挙、議会制民主主義の危機です。その原因を作ったのが民主党元政権、公約違反の連続、選挙民を馬鹿にした民主党、自民党議員、小選挙区制度による国民の意思と議席数の乖離などが相乗して、政治不信、棄権行動の拡大を引き起こしています。その根底に自民党型政治への不信、深刻な行き詰まりがあることはあきらかです。
しかし、自民党が衆議院選挙、参議院選挙で過半数を獲得するという事実はどう考えたらよいかです。この結果は、小選挙制度という選挙制度による手品です。参議院選挙の選挙区の多くは1人区(29区)が多く、2位以下の議員、政党への投票はすべて切り捨てられます。これは衆議院における小選挙区制度と全く同じです。その恩恵を自民党が受けた。その結果として、自民党が参議院での単独過半数を獲得することになったのだと思います。衆参の選挙制度、選挙期間中の選挙運動のあり方も含めて国民、選挙民が声を上げる必要があります。宣伝カー、政策チラシ、立会い演説会、集会、政治行動の規制などを行うことで国民が選挙に関わる、関心を持つ機会を極端に減少させることで無関心層をさらに拡大しています。
参議院選挙の結果を受けて、各マスコミ、新聞社の報道評価は、ねじれの解消、自民党の暴走への心配、二院制が機能しなくなる問題などを論評しています。マスコミは参議院選挙の争点を衆参ねじれの解消としていましたが、実際に結果が出てみると安倍政権の暴走への懸念、二院制の危機など直面することは分かりきったことでした。
今回の選挙結果は自民党型政治が延命した結末でした。しかし、得票数、得票率、投票率の低迷、小選挙区制度の恩恵などを考慮すれば、自民党型政治を国民が圧倒的に支持している訳でないこともあきらかです。民主党の大敗と自民党型政策政党の伸び悩みは、日本の政治経済の閉塞感が自民党型政策では打開できないことも示しています。国民がそう感じていることをしめしています。東京都議選、参議院比例、選挙区で大きく伸びたのは共産党でした。自民党型政治、政策を掲げる政党が投票を伸ばせない中で、共産党が反自民党票の受け皿となったことは今後の国政に影響を与えると思います。
<北海道新聞7月22日朝刊>
昨年12月の安倍政権発足後初の大型国政選挙となった第23回参院選は21日、投開票された。自民党は65議席と改選34議席から倍増し、公明党は改選10議席を上回る11議席となった。非改選59議席を合わせて与党で過半数(122議席)を超え、与党に有利な委員会運営ができる「絶対安定多数」の135議席となり、衆参で多数派が異なる国会の「ねじれ状態」はなくなった。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」への有権者の支持が最大の勝因で、今後3年間は大型国政選挙がない可能性も高く、首相は長期安定政権の足がかりを得た。民主党は17議席と改選議席の半数以下に激減、1998年の結党以来の最低獲得議席となった。みんなの党、日本維新の会は各8議席にとどまった。共産党は改選3議席を倍増させ、8議席を獲得。社民党は比例代表で1議席を死守し、生活の党、みどりの風、新党大地は議席を獲得できなかった。
投票率(選挙区)は共同通信社の22日未明の推計で52・61%と、前回10年参院選の57・92%を5・31ポイント下回った。投票終了時間が午後6時から午後8時に延長された98年参院選以降、最低となる見込み。