いつの頃かは定かではないのですが・・
6畳の部屋の畳に上、テーブルの上に小さな虫が出て来る・・
刺されるとか、痒いとか、そんな事も無い・・
ポツン・・ポツンと2~3㎜位の黒茶色の丸い小さな虫・・
見付ける度に、指先でつまんで、只、潰していたが・・
1日に一つ二つ見つかったり見つからなかったり・・
新聞紙を読み終わって畳むと・・
畳の上にポツリと又1匹・・
若しや新聞紙の間に紛れ込んで?・・
でも玄関で新聞をパラパラ振っても、虫がいた事も無いので・・新聞屋さんに疑いをかけて申し訳ないことをしたと、勝手に反省していたのですが・・
有る時、私が何気なくパソコンで小さな虫と検索してみたら・・
どうやらジバンムシ?
「オイオイ、チョッと見て見ろよ・・これじゃないか?ジバンムシって出てる・・乾麺とかにも発生すると出てるが・・」
「そうね~・・この虫、確かに・・」
然し、我が家、少なくとも私にはジバン虫の発生源は依然見当も付かなかったのである。
我が家ではそれから暫らくジバンムシの話は出て来なかった・・
高校野球とプロ野球とメジャーで大谷選手にホームランが出ないイライラと暑さでボケ~っとして寝そべっていた私の近くで、妻は台所で何やら店を広げているようだ・・台所に備わった物置棚の中味を片端から新聞紙の上に広げて、さっきから1時間余りゴソゴソと・・
手元には記憶にないうどんと書かれた白い箱が空けられていて・・
妻は小さな声で・・「これらしい・・」
確かに小さな虫が幾つか見えたが、妻は傍らの殺虫剤を剥き出しのうどん?そば?の上からシュ~っと一吹きさせて、素早く蓋をして・・
「そうか・・良く見つけたな~・・凄いよ・・」
「これかどうか分からないけど?・・麺が剥き出しの儘で・・」
新聞紙に並んだ缶詰や他の乾物などを、一つづつ元の棚に仕舞い込む後ろ姿にはホッとした安堵感と、自分の不始末でジバン虫を発生させた後悔とが背中からヒシヒシと伝わってきて・・
私は黙って、直ぐにTVの部屋に戻って野球を見続けていました・・