小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

安倍総理はなぜオバマ発言に不快感を示さないのか?--白人警官による18歳黒人少年射殺事件。

2014-08-20 06:56:44 | Weblog
 安倍総理の靖国参拝。河野談話の作成過程の見直し。――アメリカからさんざん「不快感」を示され、ことごとくアメリカの言いなりになってきた安倍政府。が、アメリカの一大不祥事については「知らん顔」。

 今日はブログを休むつもりでいたが、そうもいかなくなった。
 今月9日、ミズリー州セントルイス近郊のファーガソンで18歳の黒人少年が白人警察官に射殺された事件だ。警官が発砲した弾丸の6発が少年の頭部や腕などに命中していたという。少年は武器を持っておらず、正当防衛とはとうてい言えない。その警察官はいまだ逮捕すらされていない。
 警察は、黒人少年が警察官の拳銃を奪おうとしたと主張しているらしい。また警察は黒人少年がコンビニで万引き強盗した映像をネットで公開して、白人警官の射殺行為の正当性の裏付けにしようとしたらしい。しかし射殺事件と少年の犯罪とは直接の関係はなく、少年がワルであったことを証明したかったようだ。明らかに白人社会の組織的な人種差別である。ファーガソンの黒人たちが警察に対して抗議デモを起こしたのは当然だ。
 少年がワルであったとしても、警察官による射殺の正当性は裁判で争われるべきで、無抵抗で両手を挙げている少年を問答無用と射殺した行為は、間違いなく殺人行為だ。その殺人行為が正当防衛に当たるかどうかは、警察が決めることではない。日本だったら間違いなく警官は逮捕されている。
 この町で生じた収拾がつかない大混乱の原因は、白人警察官による黒人少年射殺行為ではない。白人警察官が大多数を占める地元警察署が、殺人警察官を逮捕せず、少年が別の日に犯した犯罪行為の映像をネットで流して、警察官を擁護しようとしたことが、かえって地元黒人たちの怒りに火をつけたことによる。さらに黒人たちが起こしたデモ行動に対して警察署が力で対抗しようとし、大混乱が生じた。
 黒人初の大統領オバマ氏もこの混乱には頭を痛めたようだが、18日、ホワイトハウスで記者会見して、デモ行動について「略奪や警察への襲撃などは緊張を高め混乱を深めるだけだ」と述べて自粛を要請した。自粛を要請するべき相手が違うのではないだろうか。
 オバマ大統領とは違って国連のパン・ギムン事務総長は18日、声明を発表し「アメリカの捜査当局が少年の死の真相を究明し、正しい裁きがなされることを期待する」としたうえで、「治安当局は、平和的なデモや表現の自由が保証されるよう、アメリカの法律や国際的な基準にのっとり自制して行動すべきだ」と述べ、治安当局に厳しい注文を付けた。なおパン・ギムン氏は韓国人である。
 東京都議会で問題視された「女性差別」ヤジとは、はっきり言ってレベルが違う。それでもアメリカなどのメディアから「日本は女性蔑視の国だ」と烙印を押され、何の関係もない日本の男性まで後ろめたい気分にさせられた。いまファーガソン事件によって、アメリカはいまだに19世紀時代の人種差別を温存
している国だという印象が世界中に広まろうとしている。オバマ大統領の、白人社会からの支持を最優先したデモ隊への自粛要請発言は、地元警察擁護のためと見られても仕方あるまい。
 そうした事態に対して、安倍総理はなぜ沈黙しているのか。自らの執念でもあった靖国参拝や河野談話否定も、オバマ大統領の恫喝に屈して放棄したことに、屈辱感すら感じないほどのマゾヒストに成り下がったのか。
 せめてオバマ大統領の記者会見での発言に「失望した」くらいのことは言ってほしかった。それすら言えないようでは、日本の恥としか言いようがない。
 靖国問題と河野談話問題について私の立ち位置を改めて言っておく。
 靖国問題は、当時の政府と政府に協力したマス・メディアによってマインド・コントロールされ、「次は靖国で会おう」と誓い合って戦場に向かった若者たちに対して、「哀悼の念を捧げる」ためではなく、「心からの謝罪を表明する」ために政治家だけでなく、マス・メディアのトップも参拝すべきだと思っている。靖国参拝の目的がそうであったら、国際問題になったりはしない。
 河野談話については、20万人ともいわれる慰安婦の中の16人の「証言」をもって「軍の強制」としたことが正しいとされるなら、現代でも不祥事を起こす警察官は年間16人では済まないはずだ。日本国民が不祥事を起こした警察官の行為について「警察庁の強制によるもので、警察庁の長官に責任をとらせろ」と裁判所に訴え出たら、果たして裁判所はその訴訟を受理するか。河野談話とはそういう性質のものだ。