小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

森友学園問題で昭恵夫人の直接的関与はあったのか?

2018-03-23 00:29:04 | Weblog
 今日のブログは、ちょっと遊んでみたい。あくまで遊びだから、確実な事実に基づいた推論ではない。読者の皆さんも、同様に論理力を働かせて論理のゲームに挑んでみてもらえたらと思う。
 私の推理ゲームの前提は、すでに前回のブログ(16日投稿)で書いた。
 忖度…という意味についてである。
 忖度という言葉が昨年の流行語大賞を受賞したことは皆さんもご存じだと思う。この年の流行語大賞には「忖度」と一緒に「インスタ映え」も選ばれた。インスタ映えはまったくの新語だが、忖度は国語辞書なら必ず載っている日本語だ。ほとんど死語になっていた忖度という言葉が一気に流行語になったのは、森友学園の籠池理事長(前)が国会の証人喚問(昨年3月23日)で昭恵夫人の関与について語った証言の中で使ったからだ。
 すでに明らかになっているように、籠池氏は昭恵夫人との関係の深さを、財務省官僚との国有地払い下げ交渉でフルに利用した。籠池氏は、昭恵夫人が国有地払い下げ交渉の過程でどういう役割を果たしたかについては何も言っていない。ただひたすら昭恵夫人が新学校創設にどんなに力を入れてくれているかを、様々の手段で財務官僚に思い込ませることに成功しただけだ。だから籠池氏は、官僚が「忖度を働かせてくれたのだろう」と証人喚問の場で語ったのだ。
 実はこの時期、私は大きな病を抱えてブログ活動を休止している。私の手元にある記録によれば、ブログ活動を休止する前の直近のブログは1月30日である。休止期間はかなり長く、再開したのが6月6日だ。その再開第1号のブログで私はこう書いている。


  再開第1回のブログは、やはり今国会やメディアで大問題になっている加計学園問題を取り上げることにする。
「権力は必ず腐敗する」とは言い古された格言だが、今まさに日本でそういう事態が現在進行形の真っ最中と言っても過言ではないだろう。
 なぜ権力は腐敗するのか。
 今年の流行語大賞の有力候補と目されている、「忖度」が機能するからではないだろうか。安倍総理が直接「腹心の友」である加計孝太郎氏のために「一強」と言われる権力を行使したのかどうかはわからない。私自身は、安倍総理がそんなリスクを冒すほどのバカではないと思っている。
 だが、安倍総理と加計氏の関係は官邸では早くから知れ渡っていたようだ。総理夫人の昭恵氏が二人の親しさをうかがわせる写真をSNSで明らかにし「男たちの悪巧み!」などという冗談交じりのコメントを付けたくらいだから、官邸が「安倍総理の加計氏に対する心情」を忖度しただろうことは想像に難くない。

 私は前回のブログで「忖度」について、こう書いた。

 そもそも財務省は官庁中の官庁と言われ(予算を握っているため、他の官庁は財務省に頭が上がらない)、財務省官僚はそれなりの矜持を持っていると言われる。その財務省官僚が、なぜ森友学園のために常識的にはあり得ない便宜を図ったのか。また決裁文書を改ざんしてまで、累(るい)が権力に及ばないような忖度をしたのか。実際財務省OB(旧大蔵省も含め)はメディアで全員「あり得ないこと」と発言している。現職の自民党議員もだ。
 そもそも忖度というのは、忖度した相手に、その意が伝わらなければ意味をなさない。当然財務省が誰かのために格別の配慮をしたのであれば、その意を相手に伝わるようにしていたはずだ。ひとりよがりの片思いで、ストーカーまがいの「忖度」をするほどのバカ集団ではありえない。

 つまり籠池氏が財務省との交渉で昭恵夫人との関係をこれでもか、これでもかというほどに強調したのは、財務省官僚に忖度を働かせることが目的だった。
 交渉は、政治の世界であろうとビジネスの世界であろうと、ある種ゲーム的要素を持っている。どうやって交渉相手を自分のペースに巻き込むかが、交渉ごとにおける勝負を決する。籠池氏と、国有地払い下げ交渉にあたった財務省官僚は、そうした籠池氏の交渉テクニックに見事に手玉に取られたというしかない。初心(うぶ)なのか、バカだったのかは、私の知ったことではない。
 おそらく昭恵夫人そのものは、この払い下げ問題に関して直接財務省に働きかけるなどの圧力をかけたりはしていないと思う。もし、していれば、それなりの証拠が残っているはずだ。いわゆる「森友文書」にも、昭恵夫人への忖度を伺わせる表現は盛り込まれているが、それは実際に昭恵夫人が直接何らかの働きかけをしたという証拠にはならない。官僚に忖度させようと、昭恵夫人の名前を頻繁に出したのは、交渉を有利に進めるための籠池氏のテクニックというべきだろう。
 なお、昨年の流行語大賞の受賞者は、この言葉を一気に広めた籠池氏ではなく、忖度という言葉が社会で広まった(一種の社会現象)後に、便乗商法で「忖度まんじゅう」を作って販売したヘソプロダクションの代表取締役・稲本ミノル氏だった。選考者は何を考えているのか。「忖度まんじゅう」を貰って、忖度したのだろうか。授賞式で稲本氏は「このたびは大きな忖度をしてくださり、ありがとうございます」(朝日新聞)と謝辞を述べたようだ。

 ついでに、財務省官僚がなぜ禁じ手を使ったのか。
 禁じ手とは、言うまでもなく決裁文書の改ざんである。決裁文書は30年間の保存が法律で義務付けられている。
 ちょっと気になったので裁判の判決文の保存期間をネットで調べてみた。死刑・無期などの重罪の刑事事件の場合は100年、民事事件は50年ということだった。もちろん判決後に、判決文を書き換えるなどということは想定外だ。
では官公庁の決裁文書の改ざんについてはどうなのか。公文書偽造は1年以上10年以下の懲役刑だ。決して軽い刑ではない。当然、元財務省理財局局長だった佐川氏は、公文書偽造の重罪性は熟知していたはずだ。
にもかかわらず、国会答弁で「記録は残っていない」と、公文書改ざんの事実の隠ぺいに奔走した。なぜか。
安倍総理が「もし森友学園問題に私や妻がかかわっていたら、私は総理も国会議員もやめる」と大見得を切ってしまったことにすべての原因がある。総理はこの発言で、自らの政治家としてのけじめのつけ方を表明することで、国民から拍手喝さいを貰えると考えたのかもしれないが、そういう結果にはならなかった。かえってこの軽はずみな発言が自らを窮地に追い込むことになる。
官僚が、ある日突然、国会に呼び出されるなどということはない。国会で答弁するときは、あらかじめ国会議員からどんな質問が浴びせられるか、百も承知で国会に出向く。
おそらく佐川氏が国会で答弁する前に、佐川氏は部下から交渉経緯についてはすべてを聞いていたはずだ。で、財務省として「交渉経緯は絶対に秘匿しなければならない」と考えたのだろう。安倍総理に対する忖度が働いた可能性が限りなく高い。そのため、決裁文書を改ざんして昭恵夫人や政治家の名前をすべで消去することにした。そう考えるのが自然だ。
朝日新聞がこの文書改ざんの事実をどうやってつかんだのかは私も分からないが(たぶん内部告発)、3月2日の朝刊1面トップでスクープした。それから次から次へと、財務官僚の悪巧みが明るみに出てきた。
安倍総理が、総理の重職にあるまじき、あまりにも軽はずみな答弁をしてしまったことが、すべての原因である。自らまいた種によって霞が関に大混乱を巻き起こし、国民の行政不信を極限まで招いた。その責任は、安倍さんや官邸が考えているほどには軽くない。
「官僚が、勝手に忖度した。オレ、知ーらない」などという言い訳は、この際通用しない。自分が蒔いた種は、自ら刈り取る…それが最高責任者としてのけじめのつけ方だ。最高責任者は、言うまでもないが、佐川氏ではない。