小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

アベさん、とうとうバレちゃったね。忖度と片想いは違うよ。そのくらいは常識!

2018-05-22 00:05:23 | Weblog
 NHKが昨夜(21日)7時のニュースで、愛媛県が参院予算委員会の求めに応じて国会に提出した新文書の内容をスクープ報道した。
 愛媛県や今治市の職員との面会を「記憶にない」と最後までしらを切り続けた柳瀬元総理秘書官は、今頃頭をかきむしっているかもしれない。柳瀬氏が「記憶になかった」ことを証明するためには、しかるべき医療機関の診療を受けて若年性認知症患者であることを明らかにするしかない。その場合、もちろん官僚の重職は務まらないから、自主退職を経産省に願い出る必要があるだろうが。
 柳瀬氏より、もっとピンチに陥ったのは安倍総理だ。野党は、安倍総理の証人喚問を要求すべきでは…。総理大臣の証人喚問は、おそらく前代未聞だろう。
 愛媛県は新文書を公開はしていないが、NHKは独自のルートで文書(すべてかどうかは不明)を入手したようだ。NHKが入手した文書には、愛媛県が加計学園側から受けた報告として「平成27年2月25日、理事長が首相と15分程度面談。理事長から獣医師養成系大学空白地帯の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントあり」と記載されているという。
 さらに、3月には学園と今治市が協議した結果として「加計理事長と安倍総理の面談を受けて柳瀬氏から資料を提出するよう指示があった」とも記載されているという。
 また4月2日に愛媛県と今治市の職員が加計学園責任者と一緒に柳瀬総理秘書官(当時)と面会した際、柳瀬氏から「獣医学部新設の話は総理案件になっている。何とか実現を、と考えているので、今回内閣府にも話を聞きに行ってもらった」との発言があったと記載されているという。

 安倍総理はこれまで国会答弁で「加計学園の獣医学部新設の計画を知ったのは、学園が国家戦略特区の事業者に選定された去年(17年)1月20日だ」と繰り返し説明してきた。この説明が、まったくの嘘っぱちだったことが、愛媛県が国会に提出した文書で明らかになった。
 今治市が最後の国家戦略特区に指定されたのは平成27年(15年)12月15日である。実は、この時指定されたのは広島県・今治市という広域であった。それが、何の説明もなく、いつの間にか広島県がすっぽり抜け落ちて今治市ONLYになった。内閣府とは不思議な世界だ。そもそも最初の広域指定のときの最大の目的は観光開発だった。周知のように、広島県尾道と愛媛県今治の間には、世界一風光明媚といわれる本四架橋(しまなみ海道)がある。私はIR法には必ずしも賛成ではないが、この地域に海外から観光客を呼ぶための目玉として観光事業を進めるのであれば、それなりに意味はあるかもしれないと、かつてブログに書いたことがある。
 が、内閣府は国民に何の説明もせずに、特区から広島県を外し、しかも事業目的も観光から獣医学部新設にすり替えた。総理の意向を忖度するためだったら、何でもあり、ということか。
 忖度があったかもしれない、と安倍総理が国会で初めて認めたのは柳瀬氏が今月10日に衆参予算委員会で15年4月2日に総理官邸で加計学園関係者と面会したことを認めた時、2月か3月にも、さらに今治市が国家戦略特区に応募した6月4日前後にも、やはり総理官邸で加計学園関係者と面会したことも明らかにした。
 読者が混乱するといけないので、時系列で整理しておく。
15年2月25日 安倍総理、加計氏から今治市に獣医学部新設計画を聞く。
  2or3月 柳瀬氏、1回目の面会。
  3月 今治市から愛媛県に報告書(柳瀬氏からの指示)。
  4月2日 柳瀬氏、2回目の面会。
  6月4日 今治市、国家戦略特区に応募。
       この前後、柳瀬氏、3回目の面会。
  12月15日 広島県・今治市が国家戦略特区に指定。
17年1月20日 加計学園、特区事業者の指定を受ける。
        安倍総理、加計学園の獣医学部新設計画を初めて知る。
 つまり、安倍総理は15年2月25日に、刎頚の友である加計氏から今治市に獣医学部新設の計画を打ち明けられ、「いいね」と賛意を示しておきながら、そのことをすっかり忘れていたようだ。かつて田中角栄氏は頼まれごとを持ち込まれると「よっしゃ、よっしゃ」と二つ返事で引き受け、ちゃんと覚えていて約束を守ったと言われているが、安倍さんは柳瀬氏と同様若年性認知症患者のようだ。あ、安倍さんはもう若年とは言えないか。

 すでに書いたように今年5月14日、安倍総理は集中審議の答弁で「忖度があったかもしれない」と、初めて認めた。ちょっと読みにくいかもしれないが、その発言を文字化しておこう。
「忖度されたか否かは、される側にはですね、例えば私のことを忖度していると言われているんですが、される側にはわかりにくい面があるわけでありまして、私としてはなかったと、こう言い切ることは、もちろんできないわけであります」
 おい、忖度は片想いとは違うぜ。
 誰かを自分に片想いさせるなどということは、いかなる権力をもってしても不可能だが、忖度は意図的にさせることが出来るし、忖度する側も忖度したことを相手に分かってもらえなかったら、せっかくの忖度が意味を持たなくなってしまう。
 前回のブログでも書いたが、森友学園の籠池氏は財務省の官僚に忖度させるために、ことさらに昭恵夫人との関係を官僚に見せつけてきた。籠池氏は、あたかも財務省官僚が勝手に忖度したかのような言い方をしたが、そんなことはあり得ない。
 が、いかに忖度させようとしても、もっと大きな別の要因が作用していた場合には、相手の腹の内が全然読めないふりをして逃げる。外国メディアの特派員が「忖度」をどう英語に翻訳したらいいのか困ったようだが、これは日本人が外国人のブラフを本気にとってしまうのと同様、外国人に理解してもらうのは難しいかもしれない。
 ま、外国人に理解してもらわなくてもいいが、安倍さん、日本人だったら忖度と片想いの違いくらい分かってよね。いや、ほんとは分かっているんだよね。わからないふりをしておかないと、この場合やばいからね。
 だって、安倍さん、ことあるごとに加計氏との刎頸の仲であることを官僚たちに周知させてきたじゃないですか。奥さんの昭恵さんまで使ってSNSで仲のいいところをアップさせ、挙句に「男たちの悪巧み」などと、官僚に対して「悪巧み」への忖度を強要してきたじゃないですか。
 安倍さん、総理秘書官は5人くらいいるようですね。あなた、そう言ってましたから。5人もいる秘書官のうち、加計学園関係者や今治市と愛媛県の職員が、どうして柳瀬氏がキーマンであることを知ったのですか。誰が教えたのですか。 
 あ、そういえば、別荘でのバーベキュー・パーティ。確か安倍さんの説明では参加者は20数人でしたよね。ものすごく内輪のパーティですよね。
 そりゃまぁ、総理の仕事は大変だから、たまには気晴らしもしたいですよね。仲のいいお友達ばかり集めてね。籠池氏がいなかったのは残念ですが、加計さんはしっかり参加していましたよね。でも、その身内のパーティになぜ柳瀬氏を呼んだんですか。それとも秘書5人を全員、日ごろの労をねぎらうために呼びましたか? 柳瀬さんだけですよね。しかも、そういうパーティの写真を昭恵夫人にSNSで明らかにする。それを見て加計さんや柳瀬さんに忖度しない官僚なんかいませんよね。もちろん、加計さんや柳瀬さんに対する直接的忖度は、安倍さん、あなたに対する間接的忖度が最終的な目的だということくらいお分かりの上で、あれだけ手の込んだ演出をしたんですから…。
 それを「(忖度)される側にはわかりにくい面があるわけでありまして」とは、まぁ、おとぼけもお上手なこと。

【追記】安倍総理は22日朝、番記者の囲み取材で愛媛県の新文書で明らかになった加計学園の今治市での新しい獣医学部新設計画を15年2月25日には知っていたはずという「事実」を全面的に否定した。総理は「当日の官邸の記録を調べたが、加計孝太郎氏との面談は確認できなかった」と、全否定の根拠を述べた。自民党の二階幹事長も「総理を信用している」と援護射撃を行った。
 安倍総理が全否定したため、私も一応愛媛県の新文書で明らかにされたこの件に「事実」と鍵カッコを付けたが、総理の全否定にはやはり無理があると思う。
 まず愛媛県の新文書には、総理と加計氏との面談の場所が「官邸で」とは記載されていない。安倍総理は自身の行動予定について、手書きの手帳に記録しているのか、あるいはスマホなどに電子記録しているのかは不明だが、愛媛県の公式記録を全否定するなら自らの当日の行動予定記録をオフレコでもいいから記者たちに公開すべきだ。そうすれば、総理の全否定も説得力が生じる。
 また、二階氏が、この件で総理を支持するのも筋が違う。二階氏は自民党の幹事長であり、総理を援護するのは自民党内に動揺が広がるのを防ぐことが目的としか考えられない。実際、これだけ国民に疑惑をもたれ、自民党内どころか政府内にも「真実を明確な根拠をもって明らかにすべきだ」という声が広まりつつある現在、官邸の記録(おそらく訪問者が紙に記載する氏名・訪問相手・アポの有無・訪問目的など)をもって「証拠」と主張するには無理がありすぎる。そんな紙の記録はすべて電子化していない限り、現在残っているわけがない。国民を愚弄するのもほどほどにしてほしい。
 こういう総理援護の声もあった。「総理の番記者は四六時中交代で張り付いている。総理の自宅への出入りもチェックしており、番記者の目をくぐって総理が加計氏と会うのは不可能だ」というものだ。この主張もおかしい。総理が加計氏と面談したとされる15年2月ごろは、まだ今治市は国家戦略特区に指定されるどころか、国家戦略特区への応募すらしていない。番記者も総理が面会する人たちすべてに目を光らせているわけではなく、だいいち、柳瀬氏が官邸で3回も今治市職員・愛媛県職員・加計学園関係者と面談した事実も、メディアはチェックしていない。柳瀬氏が自ら明らかにしない限り、この事実も報道されることはなかった。
 さらにがっかりされたことは公明党・山口代表の総理応援コメントだ。公明党はかつて「もっともリベラルな党」として創価学会信者以外からも一定の支持を受けてきた。その面影は、いまは「初恋の人」になってしまったようだ。選挙のためなら、党の生命線すら投げ捨てるのか。そういうことが平然とまかり通ってしまうから、国民の政治不信がますます増幅するのだ。