小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

橋下徹氏――大阪市長選には再選されたが、「大阪都構想」は崩壊した。

2014-03-24 07:52:17 | Weblog
 大阪出直し市長選が昨日(23日)行われた。地域政党「大阪維新の会」公認(「日本維新の会」推薦)の元タレント弁護士・橋下徹氏が「圧勝」した。
 橋下氏が「勝つ」ことは最初から分かっていた。結果がわかりきった選挙に6億円もの公金をかけて行った選挙である。
 橋下氏が敢えて市長をいったん辞任して再選挙に打って出たのは、氏の政治信条である「大阪都構想」を実現するためだった。選挙には勝ったが、市民は「大阪都構想」には「NO」を突きつけた。選挙結果は、そう判断せざるを得ない。
 まず投票率が圧倒的に低かった。大阪市長選としては史上最低の23.59%だった。橋下氏の得票数も前回(2011年)の75万813票から37万7472票に半減した。
 橋下氏の主張である「大阪都構想」は、大阪市を中核に周辺の都市を「合併」して東京都に匹敵する大阪都を再編しようというものだった。だが、「大阪都」の設計図が決まらない。で、設計図を夏までに大阪市議会で可決したいというのが今回の出直し再選挙の理由である。
 だが、すでに「大阪都構想」は、昨年の堺市市長選で堺市市民から拒否されている。大阪維新の会公認候補が市長選で負けたからだ。それまでは橋下氏の「大阪都構想」に一応前向きだった自公民共産の方針が一変した。設計図が決まらなかったのはそのせいである。堺市民が「NO」と言っているのに、堺市を大阪市議会の決議で合併して「大阪都構想」を実現することは事実上不可能である。
 それでも敢えて「大阪都構想」を実現したいのなら、大阪府知事に返り咲いて、府議会の決議で「大阪都構想」の実現への道を探るべきだった。そのことは前にブログで書いた。
 橋下氏は、何か勘違いしているようだ。大阪市長選で勝利すれば、「大阪都構想」が市民から支持されたと言いたいのかもしれないが、有力な対抗馬がいなかったため、勝つには勝ったが、橋下氏が得た得票数は前回に比べ半減している。つまり橋下氏の「大阪都構想」を支持する市民は半減した、とみるのが合理的であろう。
 もともと橋下人気のベースはタレント活動にあった。とくに関西で大きな人気を得ていた故たかじん氏の番組(『たかじんのそこまで言って委員会』)にレギュラー出演し、全国放送で視聴率が高かった島田伸介氏司会の『行列ができる法律相談所』にもレギュラー出演して、知名度は抜群に高かった。大阪人は横山ノック氏を府知事に選んだくらいで、「おもろいやんか」で投票するお国柄なのかもしれないが、府知事になった橋下氏が大阪府と大阪市の二重行政の無駄をなくそうとしたことには大阪市民だけでなく広く国民からも大きな支持を
得た。
 だが、二重行政の無駄をなくすということと、大阪都構想がどう結び付くの
か、正直私にもよくわからない。現に大阪都構想の設計図なるものも、単純に大阪市を中核に周辺と都市を合併して大「大阪市」にするくらいの意味しか分からない。そうやって拡大した大都市を、単に「大阪都」と都市名変更するだけのことではないかとしか思えない。
 二重行政は大阪だけでなく、あらゆる都道府県にある。また同じ都道府県でありながら、各市町村によって住民税(都道府県税プラス市町村税 ※東京都23区は特別区民税)も違えば、福祉政策も異なる。それを都道府県別に統一して、各市町村には都道府県の出先機関(出張所のようなもの)を置くようにすれば、大阪府と大阪市の二重行政をなくせるだけでなく都道府県単位の行政一元化が行える。市町村議会も必要なくなれば(当然市町村長も不必要になる)、庁舎も大幅に縮小できる。仮に道州制への移行を考えるにしても、まず現在の都道府県と市町村の二重行政を廃止して行政を都道府県に一本化することから始めるべきだろう。
 いずれにせよ、橋下氏が大阪市民の民意を問うた「大阪都構想」は、選挙によって大阪市民から拒否されたと考えるべきだろう。そうした場合、橋下氏がとる道は一つしかない。それが信念に生きる政治家がとるべき道であろう。
「どんな道?」――そこまで私に言わせるな。
 

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