日本維新の会の中田宏衆院議員(元横浜市長)が、25日に開かれた衆院総務委員会でNHKに噛み付いた。『着信御礼 ケータイ大喜利』『コントの劇場』『七人のコント侍』の3バラエティー番組をやり玉に挙げて「NHKがわざわざ放送する必要があるのか」と苦言を呈したのである。
「誠にごもっとも」と、拍手を送りたい。
そもそもNHKは放送法に基づく特殊法人として1950年に設立された。その目的は「公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるように豊かで、且つ良い放送番組による国内基幹放送を行うと同時に放送およびその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送および協会衛星放送を行うこと」とされている。
確かにかつては、良質な娯楽放送をNHKが提供すべき時期もあった。戦後の貧しい生活にあえいでいた国民に、ほんのわずかな楽しみを与えることがNHKの重要な使命の一つであった時期があったことは否定できない。
が、今はどうか。日本全国に民放の娯楽番組が溢れ、そのうえ衛星放送のWOWOWやスカパーが映画やドラマ、スポーツなど大量の娯楽番組を放送し、都市部にはDVDのレンタル店も乱立している。
そうした中で、NHKは放送法が定めた目的を逸脱した放送局になってしまったのではないか、と思う。
たとえば『クローズアップ現代』。ニュースを除けば『NHKスペシャル』と並ぶNHKならではの良心的番組だが、1年365日のうち3分の1くらいしか放送していないのではないか。実際、現在も「春休み」中で、1月31日まで再開されない。では、その時間帯に『クローズアップ現代』に匹敵するような良質な番組を放送しているのかと言えば、中田氏が指摘したような民放が放送しているような娯楽番組ばかりだ。
衛星放送も、最初の目的は難視聴地域対策だった。テレビ電波がアナログの時代で、アナログ波は直進しかできない性質の電波だから、高い建造物などの障害物に遮られた住宅や山間の住宅には電波が届かないという弱点があった。高度経済成長期に大都市近郊に新興住宅地が開拓されていったが、東京タワーからの電波が届かないため、そうした地区では高台に中継用の共同アンテナ等を立ててテレビ放送を受信するようにしたくらいである。
だが、寒村などでは、いちいち高台に共同アンテナを立てていたら金がかかりすぎるという理由で、放送衛星(BS)が打ち上げられた。そのため難視聴地域はほぼ解消したが、テレビ放送がアナログ波時代を終えてデジタル時代になると、デジタル派の特質として高い建造物等の障害物があっても、電波が障害物を迂回して背後に届くようになったため、難視聴問題はほぼ解消した。
アナログ時代は、衛星放送は難視聴対策が目的だったから、放送内容もNHK
の総合番組とほぼ同じだった。したがってテレビ放送がデジタル時代に入ることによってNHKが衛星放送を継続する必要性は消滅したのである。にもかかわらずNHKはBS放送2局を維持している。目的は職員の仕事を維持するためとしか考えられない。
新聞が、紙媒体よりはるかに安上がりのインターネット版のほうを高い「購読料」設定にしているのは、既存の新聞販売店を守るためだが、NHKも職員の雇用を維持するため娯楽番組をやめられないのだ。歯に衣を着せずに言えば、NHKは「(NHK)職員の、職員による、職員のための放送局」に変質したのだ。NHKが「公共放送の使命」を逸脱した娯楽(エンターテイメント)番組中心の編成に移行していったのはそのためである。
今更NHKを解体しろ、衛星放送をやめろ、娯楽番組も辞めろ、と言っても所詮、無理な話であることは私も百も承知だ。
そこで、NHKを受信料だけに依存するのではなく、受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営する放送局に変えたらどうか。実際、欧米の公共放送は、そういう形態をとっている放送局のほうが多い。
ただし、欧米の公共放送局の多くは政治的圧力を排除するため、ニュースやニュースを補完するような番組(たとえばNHKでいえば『クローズアップ現代』のような)はコマーシャルを入れない。アジアでも韓国や台湾などは受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営資金を賄っている。そのような経営形態にすれば、NHKも娯楽番組は制作費を広告費で補えるようなものしか作れなくなるし、黙っていてもBS2局はスカパーに譲渡したり、余剰職員をリストラせざるをえなくなるはずだ。
NHKの使命は、視聴率を稼ぐことにあるのではない。くだらない視聴率競争を民放と繰り広げてもらうために国民はNHKに視聴料を払っているわけでもない。民放がやらないような番組、やれないような番組で且つ公共的使命を果たす番組の制作に専念できないなら、欧米の公共放送の多くにみられるような経営形態、すなわち受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営資金を賄い、ニュースやニュースを補完するような番組には一切コマーシャルを入れないようにすればいいのではないか。
せっかくNHK批判の火ぶたを切ったのだから、中田議員は議員立法で放送法を改定し、多くの国の公共放送のような受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で経営を賄えるようにして、受信料(あるいは交付金)はニュースやニュースを補完するような番組の制作費に限定してコマーシャルを入れないという条件を付けることにしたらどうか。そうすればNHKの自主性もかえって高まり政府が関与する余地も減少することは疑いを容れないだろう。
「誠にごもっとも」と、拍手を送りたい。
そもそもNHKは放送法に基づく特殊法人として1950年に設立された。その目的は「公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるように豊かで、且つ良い放送番組による国内基幹放送を行うと同時に放送およびその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送および協会衛星放送を行うこと」とされている。
確かにかつては、良質な娯楽放送をNHKが提供すべき時期もあった。戦後の貧しい生活にあえいでいた国民に、ほんのわずかな楽しみを与えることがNHKの重要な使命の一つであった時期があったことは否定できない。
が、今はどうか。日本全国に民放の娯楽番組が溢れ、そのうえ衛星放送のWOWOWやスカパーが映画やドラマ、スポーツなど大量の娯楽番組を放送し、都市部にはDVDのレンタル店も乱立している。
そうした中で、NHKは放送法が定めた目的を逸脱した放送局になってしまったのではないか、と思う。
たとえば『クローズアップ現代』。ニュースを除けば『NHKスペシャル』と並ぶNHKならではの良心的番組だが、1年365日のうち3分の1くらいしか放送していないのではないか。実際、現在も「春休み」中で、1月31日まで再開されない。では、その時間帯に『クローズアップ現代』に匹敵するような良質な番組を放送しているのかと言えば、中田氏が指摘したような民放が放送しているような娯楽番組ばかりだ。
衛星放送も、最初の目的は難視聴地域対策だった。テレビ電波がアナログの時代で、アナログ波は直進しかできない性質の電波だから、高い建造物などの障害物に遮られた住宅や山間の住宅には電波が届かないという弱点があった。高度経済成長期に大都市近郊に新興住宅地が開拓されていったが、東京タワーからの電波が届かないため、そうした地区では高台に中継用の共同アンテナ等を立ててテレビ放送を受信するようにしたくらいである。
だが、寒村などでは、いちいち高台に共同アンテナを立てていたら金がかかりすぎるという理由で、放送衛星(BS)が打ち上げられた。そのため難視聴地域はほぼ解消したが、テレビ放送がアナログ波時代を終えてデジタル時代になると、デジタル派の特質として高い建造物等の障害物があっても、電波が障害物を迂回して背後に届くようになったため、難視聴問題はほぼ解消した。
アナログ時代は、衛星放送は難視聴対策が目的だったから、放送内容もNHK
の総合番組とほぼ同じだった。したがってテレビ放送がデジタル時代に入ることによってNHKが衛星放送を継続する必要性は消滅したのである。にもかかわらずNHKはBS放送2局を維持している。目的は職員の仕事を維持するためとしか考えられない。
新聞が、紙媒体よりはるかに安上がりのインターネット版のほうを高い「購読料」設定にしているのは、既存の新聞販売店を守るためだが、NHKも職員の雇用を維持するため娯楽番組をやめられないのだ。歯に衣を着せずに言えば、NHKは「(NHK)職員の、職員による、職員のための放送局」に変質したのだ。NHKが「公共放送の使命」を逸脱した娯楽(エンターテイメント)番組中心の編成に移行していったのはそのためである。
今更NHKを解体しろ、衛星放送をやめろ、娯楽番組も辞めろ、と言っても所詮、無理な話であることは私も百も承知だ。
そこで、NHKを受信料だけに依存するのではなく、受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営する放送局に変えたらどうか。実際、欧米の公共放送は、そういう形態をとっている放送局のほうが多い。
ただし、欧米の公共放送局の多くは政治的圧力を排除するため、ニュースやニュースを補完するような番組(たとえばNHKでいえば『クローズアップ現代』のような)はコマーシャルを入れない。アジアでも韓国や台湾などは受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営資金を賄っている。そのような経営形態にすれば、NHKも娯楽番組は制作費を広告費で補えるようなものしか作れなくなるし、黙っていてもBS2局はスカパーに譲渡したり、余剰職員をリストラせざるをえなくなるはずだ。
NHKの使命は、視聴率を稼ぐことにあるのではない。くだらない視聴率競争を民放と繰り広げてもらうために国民はNHKに視聴料を払っているわけでもない。民放がやらないような番組、やれないような番組で且つ公共的使命を果たす番組の制作に専念できないなら、欧米の公共放送の多くにみられるような経営形態、すなわち受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で運営資金を賄い、ニュースやニュースを補完するような番組には一切コマーシャルを入れないようにすればいいのではないか。
せっかくNHK批判の火ぶたを切ったのだから、中田議員は議員立法で放送法を改定し、多くの国の公共放送のような受信料(あるいは交付金)プラス広告収入で経営を賄えるようにして、受信料(あるいは交付金)はニュースやニュースを補完するような番組の制作費に限定してコマーシャルを入れないという条件を付けることにしたらどうか。そうすればNHKの自主性もかえって高まり政府が関与する余地も減少することは疑いを容れないだろう。
仕事をしてホテルに戻ると
日本のチャンネルで観られるのはNHKのみ
という場合が殆ど。
最近は娯楽番組を増やしてくれたお陰で
辛い日々にも、笑う時間がたくさん出来た。
国内でヌクヌクしてる人間には
理解が及ばないんだろうな。
離島の方々、海外駐在の方々。
全ての日本人に多チャンネルの選択肢があるわけでは無いという視点が欠落していると思います。