私はいま猛烈に怒(いか)り狂っている。これほど怒り狂ったのは、『マスコミに物申す』と題するブログを書き始めて以降、そう多くはない。だが、ジャーナリストが「怒る」気持ちを失ったら、世の中は真っ暗闇になる。
私がブログを書き始めたのは2008年4月27日だ。間もなくまる13年になる。このタイトルの意味について、リードでこう書いた(今もそのままブログのリード記事として必ずつけている)。
「第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか」
今はマスコミという表現はやめて「メディア」という表記に変えている。マスコミとは、言うまでもなく「マスコミュニケーション」の略。テレビや日刊新聞などの巨大メディアの総称だ。そういう巨大メディアに対して「ミニコミ」が出現した。狭い地域の情報紙が主だ。が、いまはSNSというインターネット・コミュニケーションが急速に拡大している。ブログはその走りといえよう。その後、フェイスブックとかツイッター、ユーチューブなど様々な情報発信手段が現れてきた。そうした状況下でマスメディアが生き残りのためかどうかは知らないが、あらゆる権力機構と癒着を始めている。その典型的ケースが、コロナワクチンの接種についての報道だ。
●ワクチン接種が遅れた政府の怠慢
政府の怠慢もあって日本のワクチン接種が世界の中で最も遅れている国の一つになっている。人口当たりのワクチン接種率は発展途上国にも劣る。中国が自国開発のワクチンを無償提供しているアフリカの「未開発地域」にさえ劣っているかもしれない。政府の怠慢には二つある。
一つは、ワクチン入手の手配の失敗だ。手配そのものは必ずしも遅れてはいなかった。が、ワクチンメーカーとの約束の取り付け方が甘すぎた。「買ってやるんだから、売る方は約束を守るのは当然だろう」と、勝手に思い込んでいた。が、あと出しじゃんけんに日本政府は負けた。ワクチンメーカーと口約束ではなく、契約書を結び、前金も払っていれば、ワクチンメーカーも日本政府との約束を簡単には反故にできなかったはずだ。あと出しじゃんけん組は大金をどんと積んで日本より先にワクチンを入手した。
次にワクチンの「安全性」にこだわりすぎた。薬は効果が高いほど副作用も大きい。副作用がまったくない薬は効果もほとんどない。ワクチンも同様で、効果が大きいワクチンは副作用も覚悟する必要がある。ただ効果も副作用もすべての人に一律ではない。個体差がある。厄介なのは、個体(ワクチンを接種した人)によって効果はほとんどなかったのに、副作用だけ大きかったというケースがままあることだ。当然、その逆もある。そういうことを国民に正直に説明して、接種するか否かは自己責任だということを国民に訴えることをためらい続けたことだ。場合によっては副作用によって死に至ることもありうる。 おそらくそう遠くない将来、国民の遺伝子情報の解析によって、リスクの個体差がある程度解明できる時期が来ると、私は思っている。いまの技術では総体としての確率しか明らかにされていない。つまりコロナ感染から免れる確率と副作用が生じる可能性の分析から、「あなたはワクチンを接種しますか、やめますか」としか言えない。遺伝子レベルでのリスク解明は先としても、早急にすべきことは少なくともこども・成人・高齢者の年齢差によるリスク度合いについて接種者に対する追跡調査を早急に行うべきで、場合によっては高齢者を最後にした方がいいかもしれないのだ。
ワクチン接種を受ける私たち国民が、接種を受けるべきか否かを選択するための基準にすべき最も重要な情報を政府は提供しようとしていない。これを怠慢と言わずしてなんと言う。
●ワクチン優先接種「医療従事者等」480万人はバラマキだった。
政府はワクチン接種の優先順位について、①医療従事者等 ②65歳以上の高齢者(横浜市の場合は80歳以上、70歳以上、65歳以上の3段階に分けている) ③65歳未満 という優先順位を付けている。
ワクチン接種最優先の「医療従事者等」とは、コロナ患者の治療に当たっている医師、看護師やコロナ患者が入院している病棟で仕事をしている方たちと誰でも思う。私も当初、そう思っていた。が、政府発表によれば、その対象者は約480万人だという。日本のコロナ患者数から考えて多すぎないかという疑問を持った。
で、厚労省が公表しているすべての診療科目の医療従事者数を調べてみた。データは2018年とやや古いが、医師数327,000人、歯科医師数105,000人、看護師1,219,000人、薬剤師311,000人(以上概算)である。合計で約196万2千人である。しかも、これらの医療従事者はコロナ患者の治療に携わっているだろう内科系の医療従事者だけでなく、整形外科、形成外科、脳神経外科、美容外科などの外科系や歯科、眼科、皮膚科、泌尿器科、神経内科、リウマチ科、産婦人科、耳鼻咽喉科などあらゆる医療行為の従事者を含めての数字である。ただし、なぜか厚労省は医療従事者の範疇に検査技師はいれていない。レントゲンやCT,MRI,心電図などの検査はロボットが行っていると思っているのだろうか。
この数字から生じる疑問が二つある。一つは全医療従事者196万2千人のうち、実際にコロナ患者の治療に携わっている人が何人いるかだ。4月17日現在、入院治療等を要する患者数は36,493人だ(うち重症者数は702人)。仮に患者一人当たりの治療に携わる医師・看護師などの医療従事者数を平均5人としても約18万人に過ぎない。ワクチン接種優先の「医療従事者等」480万人とのギャップについて、疑問を持たないメディアの記者は無能を通り越して「給料泥棒」と言わざるを得ない。現に私だけが日本人で初めて疑問を持った。
そうなると、次の疑問が自然に生じるはずだ。厚労省はワクチン接種を最優先した「医療従事者等」の範囲をどう指定しているのかという疑問だ。この問題については厚労省のホームページに「正確」に説明されている。優先接種の「対象となる医療従事者等」という項目でこう説明している。
以下の方々が、早期に接種する医療従事者等に該当します。ご自身が該当するかどうかご不明な場合は、お勤め先にご確認ください。
・病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員
さらに、具体的な優先接種対象者な範囲について、こう記している。
・ 業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者(注)と頻繁に接する業務を行うこと から、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと ・ 従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること ※ なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから、患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意(医療従事者等は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれ るものの、最終的には接種は個人の判断であり、業務従事への条件とはならない)
これだけではまだ範囲の特定が十分でないと考えてか、別サイトでこう付け加えてもいる。
○ 病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある 医師 その他の職員 ※ 診療科、職種は限定しない。(歯科も含まれる。) ※ 委託業者についても、業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、医療機関の判断により対象とできる。 ※ バックヤードのみの業務を行う職員や単に医療機関を出入りする業者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接することがない場合には、対象とはならない。 ※ 医学部生等の医療機関において実習を行う者については、実習の内容により、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する場合には、実習先となる医療機関の 判断により対象とできる。 ※ 訪問看護ステーションの従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 助産所の従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 介護医療院、介護老人保健施設の従事者についても、医療機関と同一敷地内にある場合には、医療機関の判断により対象とできる。 なお、介護療養型医療施設の従事者は、病院・診療所と同様に医療従事者等の範囲に含まれる。 ○ 薬局において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある薬剤師そ の他の職員(登録販売者を含む。) ※ 当該薬局が店舗販売業等と併設されている場合、薬剤師以外の職員については専ら薬局に従事するとともに、主に患者への応対を行う者に限る。 ○ 新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員等、海上保安庁職員、自衛隊職員 ※ 救急隊員等の具体的な範囲は、新型コロナウイルス感染症患者の搬送に携わる、①救急隊員、②救急隊員と連携して出動する警防要員、③都道府県航空消防隊員、 ④消防非常備町村の役場の職員、⑤消防団員(主として消防非常備町村や消防常備市町村の離島区域の消防団員を想定)。 (参考)「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種における接種対象者について」 (令和3年1月15日付け消防庁消防・救急課、消防庁救急企画室、消防庁国民保護・防災部地域防災室、消防庁国民保護・防災部広域応援室事務連絡) ○ 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者 ・ 患者と接する業務を行う保健所職員、検疫所職員等 (例)保健所、検疫所、国立感染症研究所の職員で、積極的疫学調査、患者からの検体採取や患者の移送等の患者と接する業務を行う者。 ・ 宿泊療養施設で患者に頻繁に接する者 (例)宿泊療養施設において、健康管理、生活支援の業務により、患者と頻繁に接する業務を行う者。 ・ 自宅、宿泊療養施設や医療機関の間の患者移送を行う者 ・ 自治体が新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の特設会場を設ける場合に、予防接種業務に従事する者であって、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接 すると当該特設会場を設ける自治体が判断した者
この説明文にしばしば書かれている「注 疑い患者」とは「新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうか分からない患者を含む」とされている。私は年のせいか、よくむせて咳をする。「疑い患者」なのかな?
●朝日新聞のデタラメ記事
今どのクリニックでも、必ず非接触型の検温器や消毒液は置いてある。在宅治療中の軽症患者でも、よほどのことがない限り外出はしない。しかも、「疑い患者」がたとえば歯科クリニックや眼科クリニックに「頻繁に」行くだろうか。仮にそういう患者がいたとしても、発熱症状があればよほどの緊急性がなければ、まず断られる。むしろリスクが高いのは消毒液はあっても自由に客が出入りできるスーパーなどの小売業だ。
さらにクラスターがしばしば発生する老人ホームは、病院と同じく一種の密閉空間だ。入居者の外出規制は病院の入院患者ほど厳しくはないが、それでも今のような状況で頻繁に外出する入居者はいないと思う。コロナウイルスが自然発生するわけはないから、老人ホームでクラスターがしばしば発生するのは外部からの侵入しか考えられない。そう考えると、ウイルスを持ち込む可能性が高いのは老人ホームに勤務する従業員だ。老人ホームに入居しているような高齢者は免疫力も低下しているから、外部からウイルスが持ち込まれた場合、クラスターは容易に発生するだろう。が、厚労省の指定によれば、「医療機関と同一敷地内」にない場合は優先接種の対象にならない。「ああ おかしいね」という童謡があるようだ。たぶん、厚労省の省歌なのだろう。
私に言わせれば、歯科医や耳鼻咽喉科などのクリニック勤務者(医師や看護師だけでなく窓口の受付係も含む)より、医療機関と同一敷地内ではなくても老人ホームの従業員をワクチン接種優先者にした方が、よほど理にかなっている。医療機関と同一敷地内だと感染リスクが高いというエビデンスがあるのか。「ああ おかしいね」。
じつはワクチン優先接種の問題についてNHK、朝日新聞、テレビ朝日『モーニングショー』には伝えてある。NHKは『日曜討論』で、『モーニングショー』でも河野太郎ワクチン担当相が生出演した絶好のチャンスに、肝心の「ワクチン優先順位の医療従事者等の対象を教えてください」といった爆弾質問をしなかった。とくに『モーニングショー』については日ごろ舌鋒を振るっている玉川氏に、メールでこの情報を伝えたが、河野大臣のご機嫌取りばかり。視聴者から寄せられた質問のなかでも取り上げなかった。あらかじめ、質問内容について、局側が官邸に伝え、優先接種問題についての質問はしないでほしいとの要請を受け入れたのかもしれない。なにせNHK『ニュースウォッチ9』のキャスターをしていた有馬氏が、ガースー総理へのインタビューで、あらかじめ官邸側に伝えていた質問に含まれていなかった「学術会議会員の否認問題」について質問をしたことで、ガースーが「説明できることとできないことがあるじゃないですか」と色を成したことがあり、のちに山田広報官からNHKに「総理、怒ってますよ」との苦情が入ったことがあり、玉川氏も官邸にはへりくだることにしたのかもしれない。
朝日新聞に至っては、17日朝刊でワクチン接種問題を大きく取り上げながら(記事タイトル「医療従事者、接種完了14% コロナワクチン、現場に不満も」)、まるでトンチンカンな記事を書いている。さわりの記事を無断転載する。まず朝日の記事を読む前に、朝日の記事タイトルでは「医療従事者等」ではなく「医療従事者」としている。最初から独断と偏見をもって書いた「誤報記事」であることを明らかにしておく。
政権が「切り札」と位置づけるワクチンは高齢者への優先接種が始まった。だが、最優先の医療従事者で2回の接種を終えたのは1割程度にすぎない。
「重症者の診療を始めて1年以上経つのに、まだワクチンがうてていない」。東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)の感染対策室長、織田錬太郎医師はそう漏らす。
センターは県内に24あるコロナの重症者受け入れ施設の一つ。だが、医療従事者約950人への接種は、19日以降の予定だ。「いまもスタッフは最前線で診療を続けている。(患者の診療で)実績のある病院は優先してほしかった」
千葉県によると、ワクチンは超低温の冷凍庫がある病院の医療従事者から接種され、そこから地域の病院へ運ばれる。同センターは超低温の冷凍庫をもたない。県の担当者は「コロナ患者を受け入れる施設でも接種が遅れているところがあると承知しており、申し訳なく思う」と話す。
病院の勤務医だけではない。自宅療養中の新型コロナ患者を診ている東京都内の診療所院長は「1回目の接種は最短で5月中旬になると聞いている」。発熱外来を設置し、コロナ患者も診る都内の別の地域の診療所院長も「1回目は4月末以降のようだ」と語る。
首相官邸のホームページによると、15日時点の医療従事者への接種回数は約185万回。1回目は対象の約480万人の24%にあたる約117万人。2回目まで終えたのは14%にあたる約68万人。4分の3は1回も受けていない計算になる。
朝日の記者は政府が優先接種対象とした480万人は「医療従事者」ではなく「医療従事者等」であることすら気が付いていない。すでに述べたように、医療従事者はコロナ患者治療に関与していない医師・歯科医師・薬剤師・看護師まで含めても総数で196万2千人。コロナ治療従事者は大目に見ても18万人。政府が優先者とした「医療従事者」「等」の480万人の実態は「等」に重点配分したバラマキ接種だったのである。せっかくコロナ患者の治療に当たっている現場の声をくみ上げながら、なぜ現場のコロナ患者の治療に当たっている医療従事者にワクチンが行き渡らないのかという疑問を持たないようだ。この記事は現場取材した記者と編集委員が書いているが、朝日は頭の悪い編集委員を9割減らして私を社外特別編集委員にしたら、紙面が見違えるほどよくなる。
※誤解を招くといけないので、私は「等」の人たちを優先接種対象から除外すべきだと主張しているわけではない。コロナ患者、とくに重症者を受け入れている病院では、コロナ患者の治療に当たっている医師や看護師などの医療従事者だけでなく、その病院で仕事をしている人たち(受け付け、食堂、コンビニなどの従業者など)や救急車担当の消防職員は新たな感染源にさせないためにワクチンを優先接種すべきだと考えている。
要は、厚労省の発想は感染リスクの高い人を優先接種するということしか考えていないことに、私は疑問を呈しているのだ。もちろん感染リスクの高い人への優先接種は行うべきだが、少なくとも感染リスクの低い「医療従事者等」より、クラスターの感染源になりかねない人たち(老人ホームの従業員や飲酒が主目的の飲食業従業員、フィットネス・クラブの従業員やインストラクター)などを、コロナ患者の治療に当たっている病院の「医療従事者等」に次いで優先接種すべきではないかと考えている。ま、政府も厚労省も日本医師会や日本歯科医師会の下請け組織だから、私のような考えが生まれないのは仕方ないか。
さらに、高齢者の接種については前期高齢者は優先的に接種すべきだと思うが、コロナワクチンは副作用もいろいろ報告されている。後期高齢者は個人差はあるが、常識的には免疫力がかなり低下していると考えられ、ワクチンの副作用率も高くなるリスクがある。しかも私自身そうだが、ほとんど外出しないし、友人との会食も控えている。「巣ごもり生活」で感染リスクを極力回避する努力をしている。とくに単身の後期高齢者は自宅内感染はほぼあり得ないから、むしろ会食機会が多い人たちへのワクチン接種を優先すべきではないかと思う。前回のブログで提案したように、会社や役所が午後7時以降は会議室を会食用に開放して、飲食店での感染リスクを回避する手段を講じるべきだと思う。現に「花見宴会」などは自分たちで場所も用意し、飲食物の用意や後片付けも自分たちでやっている。同じことを会議室を利用して行えばいいだけの話だ。
現にイギリスではロックダウン作戦とワクチンの有効接種によって、現在はほぼ通常生活を取り戻しているようだ。
日本にはいいことわざがある。
「転ばぬ先の杖」だ。
先人たちが残してくれた格言を、日本の政治はすっかり忘れているようだ。
「転んでからの杖」になってしまっている。
福祉政策も厚労省の担当だが、高齢者に対する福祉政策も典型的な「転んでからの杖」だ。
認知症は40代から始まる、という説がある。自分の名前や家族の顔まで忘れてしまうような重症者にならないような「転ばぬ先の杖」対策をなぜ講じようとしないのか。
体力にしても同じだ。私も昨年80歳になったが、コロナ禍になるまではしょっちゅうカラオケを楽しんだり、ほぼ週1のペースでゴルフもしていた。が、コロナ禍による「巣ごもり生活」で運動をする機会が皆無になり、家での生活は椅子とベッドだけという状態になって、ごく最近「要支援1」の認定を受けることになった。デイサービスでストレッチや軽い筋トレをこれまで2回して、1年間でこれほど体力が低下していたことにショックを受けた。私は数年前までフィットネス・クラブにも通っていたが、フィットネス・クラブのレッスンにはついていけなくなってやめたのだが、フィットネス・クラブが比較的すいている時間帯に限定して高齢者向けの軽い運動ができるように国や自治体が支援してくれたら、それこそ「転ばぬ先の杖」になる。その結果、高齢者の健康生活が送れるようになれば、医療費の軽減で元もとれる。
「転ばぬ先の杖」
私たち日本人の祖先は、いい教訓を残してくれたのだが…。
【追記】 このブログを書き終えて、再び新たな疑問が生じた。ワクチン接種優先に入れている老人ホームと、入れていない老人ホームの差別についてである。厚労省の指針では、差別の基準は「医療機関の敷地内設置」である。敷地内に設置されていれば、老人ホームの従業員は優先接種の対象になるが、敷地外の施設は対象外ということだ。非常に明確な基準であり、そしてその基準が科学的に正しいということであれば、医療機関敷地内の老人ホームは医療機関から何メートル(あるいは何キロメートル)離れていてもコロナ感染リスクにさらされているということになる。しかも厚労省基準の「優先接種を受けるべき医療機関」の明確な基準はない。「疑い患者」の基準も科学的ではないし、「頻繁に接触する」という「頻繁」の基準もまったくない。
実際、私が住んでいる地域は首都圏の住宅街である。200メートル以内に医療機関(すべてクリニック)は数か所あるし、老人ホームも1か所ある。老人ホームの設置場所は医療機関の敷地内ではない。クリニックの「医療従事者等」はすべて優先接種の対象になっているが(確認済み)、老人ホームの従業員は対象外のはずだ(未確認)。
ただし、老人ホームの所在地から200メートル以内にクリニックや調剤薬局は数か所ある。わたしが住んでいる住宅街でコロナ患者が発生したという話は、クリニックや調剤薬局の方に聞いても「そういう話は聞いたことがない」という。それでもクリニックや調剤薬局の勤務者は全員優先接種の対象になっており、勤務者(優先接種資格者)の名簿も提出している(すでに接種を受けたか否かは未確認)。
医療機関の敷地内にある老人ホーム勤務者は優先接種の対象になり、ごく近くに医療機関や調剤薬局が数か所あっても、医療機関の敷地外(つまり医療機関が経営していないことを意味する)の老人ホーム勤務者は優先接種の対象外になる。
老人ホームの問題だけではない。医療機関の敷地内に設置されている老人ホームの勤務者は優先接種の対象になるということは、感染リスクにさらされているからのはずだ。では優先接種の対象になっている「感染リスクが高い」クリニックの近辺にある一般商店や一般住居は感染リスクにさらされていないという科学的根拠があるのか。
はっきり言えば、厚労省は医師会や歯科医師会の下請け機関であることが、このワクチン優先接種基準で明確になった。私たちの健康は、悪魔の手に委ねられている。
私がブログを書き始めたのは2008年4月27日だ。間もなくまる13年になる。このタイトルの意味について、リードでこう書いた(今もそのままブログのリード記事として必ずつけている)。
「第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか」
今はマスコミという表現はやめて「メディア」という表記に変えている。マスコミとは、言うまでもなく「マスコミュニケーション」の略。テレビや日刊新聞などの巨大メディアの総称だ。そういう巨大メディアに対して「ミニコミ」が出現した。狭い地域の情報紙が主だ。が、いまはSNSというインターネット・コミュニケーションが急速に拡大している。ブログはその走りといえよう。その後、フェイスブックとかツイッター、ユーチューブなど様々な情報発信手段が現れてきた。そうした状況下でマスメディアが生き残りのためかどうかは知らないが、あらゆる権力機構と癒着を始めている。その典型的ケースが、コロナワクチンの接種についての報道だ。
●ワクチン接種が遅れた政府の怠慢
政府の怠慢もあって日本のワクチン接種が世界の中で最も遅れている国の一つになっている。人口当たりのワクチン接種率は発展途上国にも劣る。中国が自国開発のワクチンを無償提供しているアフリカの「未開発地域」にさえ劣っているかもしれない。政府の怠慢には二つある。
一つは、ワクチン入手の手配の失敗だ。手配そのものは必ずしも遅れてはいなかった。が、ワクチンメーカーとの約束の取り付け方が甘すぎた。「買ってやるんだから、売る方は約束を守るのは当然だろう」と、勝手に思い込んでいた。が、あと出しじゃんけんに日本政府は負けた。ワクチンメーカーと口約束ではなく、契約書を結び、前金も払っていれば、ワクチンメーカーも日本政府との約束を簡単には反故にできなかったはずだ。あと出しじゃんけん組は大金をどんと積んで日本より先にワクチンを入手した。
次にワクチンの「安全性」にこだわりすぎた。薬は効果が高いほど副作用も大きい。副作用がまったくない薬は効果もほとんどない。ワクチンも同様で、効果が大きいワクチンは副作用も覚悟する必要がある。ただ効果も副作用もすべての人に一律ではない。個体差がある。厄介なのは、個体(ワクチンを接種した人)によって効果はほとんどなかったのに、副作用だけ大きかったというケースがままあることだ。当然、その逆もある。そういうことを国民に正直に説明して、接種するか否かは自己責任だということを国民に訴えることをためらい続けたことだ。場合によっては副作用によって死に至ることもありうる。 おそらくそう遠くない将来、国民の遺伝子情報の解析によって、リスクの個体差がある程度解明できる時期が来ると、私は思っている。いまの技術では総体としての確率しか明らかにされていない。つまりコロナ感染から免れる確率と副作用が生じる可能性の分析から、「あなたはワクチンを接種しますか、やめますか」としか言えない。遺伝子レベルでのリスク解明は先としても、早急にすべきことは少なくともこども・成人・高齢者の年齢差によるリスク度合いについて接種者に対する追跡調査を早急に行うべきで、場合によっては高齢者を最後にした方がいいかもしれないのだ。
ワクチン接種を受ける私たち国民が、接種を受けるべきか否かを選択するための基準にすべき最も重要な情報を政府は提供しようとしていない。これを怠慢と言わずしてなんと言う。
●ワクチン優先接種「医療従事者等」480万人はバラマキだった。
政府はワクチン接種の優先順位について、①医療従事者等 ②65歳以上の高齢者(横浜市の場合は80歳以上、70歳以上、65歳以上の3段階に分けている) ③65歳未満 という優先順位を付けている。
ワクチン接種最優先の「医療従事者等」とは、コロナ患者の治療に当たっている医師、看護師やコロナ患者が入院している病棟で仕事をしている方たちと誰でも思う。私も当初、そう思っていた。が、政府発表によれば、その対象者は約480万人だという。日本のコロナ患者数から考えて多すぎないかという疑問を持った。
で、厚労省が公表しているすべての診療科目の医療従事者数を調べてみた。データは2018年とやや古いが、医師数327,000人、歯科医師数105,000人、看護師1,219,000人、薬剤師311,000人(以上概算)である。合計で約196万2千人である。しかも、これらの医療従事者はコロナ患者の治療に携わっているだろう内科系の医療従事者だけでなく、整形外科、形成外科、脳神経外科、美容外科などの外科系や歯科、眼科、皮膚科、泌尿器科、神経内科、リウマチ科、産婦人科、耳鼻咽喉科などあらゆる医療行為の従事者を含めての数字である。ただし、なぜか厚労省は医療従事者の範疇に検査技師はいれていない。レントゲンやCT,MRI,心電図などの検査はロボットが行っていると思っているのだろうか。
この数字から生じる疑問が二つある。一つは全医療従事者196万2千人のうち、実際にコロナ患者の治療に携わっている人が何人いるかだ。4月17日現在、入院治療等を要する患者数は36,493人だ(うち重症者数は702人)。仮に患者一人当たりの治療に携わる医師・看護師などの医療従事者数を平均5人としても約18万人に過ぎない。ワクチン接種優先の「医療従事者等」480万人とのギャップについて、疑問を持たないメディアの記者は無能を通り越して「給料泥棒」と言わざるを得ない。現に私だけが日本人で初めて疑問を持った。
そうなると、次の疑問が自然に生じるはずだ。厚労省はワクチン接種を最優先した「医療従事者等」の範囲をどう指定しているのかという疑問だ。この問題については厚労省のホームページに「正確」に説明されている。優先接種の「対象となる医療従事者等」という項目でこう説明している。
以下の方々が、早期に接種する医療従事者等に該当します。ご自身が該当するかどうかご不明な場合は、お勤め先にご確認ください。
・病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員
さらに、具体的な優先接種対象者な範囲について、こう記している。
・ 業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者(注)と頻繁に接する業務を行うこと から、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと ・ 従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること ※ なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから、患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意(医療従事者等は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれ るものの、最終的には接種は個人の判断であり、業務従事への条件とはならない)
これだけではまだ範囲の特定が十分でないと考えてか、別サイトでこう付け加えてもいる。
○ 病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある 医師 その他の職員 ※ 診療科、職種は限定しない。(歯科も含まれる。) ※ 委託業者についても、業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、医療機関の判断により対象とできる。 ※ バックヤードのみの業務を行う職員や単に医療機関を出入りする業者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接することがない場合には、対象とはならない。 ※ 医学部生等の医療機関において実習を行う者については、実習の内容により、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する場合には、実習先となる医療機関の 判断により対象とできる。 ※ 訪問看護ステーションの従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 助産所の従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。 ※ 介護医療院、介護老人保健施設の従事者についても、医療機関と同一敷地内にある場合には、医療機関の判断により対象とできる。 なお、介護療養型医療施設の従事者は、病院・診療所と同様に医療従事者等の範囲に含まれる。 ○ 薬局において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある薬剤師そ の他の職員(登録販売者を含む。) ※ 当該薬局が店舗販売業等と併設されている場合、薬剤師以外の職員については専ら薬局に従事するとともに、主に患者への応対を行う者に限る。 ○ 新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員等、海上保安庁職員、自衛隊職員 ※ 救急隊員等の具体的な範囲は、新型コロナウイルス感染症患者の搬送に携わる、①救急隊員、②救急隊員と連携して出動する警防要員、③都道府県航空消防隊員、 ④消防非常備町村の役場の職員、⑤消防団員(主として消防非常備町村や消防常備市町村の離島区域の消防団員を想定)。 (参考)「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種における接種対象者について」 (令和3年1月15日付け消防庁消防・救急課、消防庁救急企画室、消防庁国民保護・防災部地域防災室、消防庁国民保護・防災部広域応援室事務連絡) ○ 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者 ・ 患者と接する業務を行う保健所職員、検疫所職員等 (例)保健所、検疫所、国立感染症研究所の職員で、積極的疫学調査、患者からの検体採取や患者の移送等の患者と接する業務を行う者。 ・ 宿泊療養施設で患者に頻繁に接する者 (例)宿泊療養施設において、健康管理、生活支援の業務により、患者と頻繁に接する業務を行う者。 ・ 自宅、宿泊療養施設や医療機関の間の患者移送を行う者 ・ 自治体が新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の特設会場を設ける場合に、予防接種業務に従事する者であって、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接 すると当該特設会場を設ける自治体が判断した者
この説明文にしばしば書かれている「注 疑い患者」とは「新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうか分からない患者を含む」とされている。私は年のせいか、よくむせて咳をする。「疑い患者」なのかな?
●朝日新聞のデタラメ記事
今どのクリニックでも、必ず非接触型の検温器や消毒液は置いてある。在宅治療中の軽症患者でも、よほどのことがない限り外出はしない。しかも、「疑い患者」がたとえば歯科クリニックや眼科クリニックに「頻繁に」行くだろうか。仮にそういう患者がいたとしても、発熱症状があればよほどの緊急性がなければ、まず断られる。むしろリスクが高いのは消毒液はあっても自由に客が出入りできるスーパーなどの小売業だ。
さらにクラスターがしばしば発生する老人ホームは、病院と同じく一種の密閉空間だ。入居者の外出規制は病院の入院患者ほど厳しくはないが、それでも今のような状況で頻繁に外出する入居者はいないと思う。コロナウイルスが自然発生するわけはないから、老人ホームでクラスターがしばしば発生するのは外部からの侵入しか考えられない。そう考えると、ウイルスを持ち込む可能性が高いのは老人ホームに勤務する従業員だ。老人ホームに入居しているような高齢者は免疫力も低下しているから、外部からウイルスが持ち込まれた場合、クラスターは容易に発生するだろう。が、厚労省の指定によれば、「医療機関と同一敷地内」にない場合は優先接種の対象にならない。「ああ おかしいね」という童謡があるようだ。たぶん、厚労省の省歌なのだろう。
私に言わせれば、歯科医や耳鼻咽喉科などのクリニック勤務者(医師や看護師だけでなく窓口の受付係も含む)より、医療機関と同一敷地内ではなくても老人ホームの従業員をワクチン接種優先者にした方が、よほど理にかなっている。医療機関と同一敷地内だと感染リスクが高いというエビデンスがあるのか。「ああ おかしいね」。
じつはワクチン優先接種の問題についてNHK、朝日新聞、テレビ朝日『モーニングショー』には伝えてある。NHKは『日曜討論』で、『モーニングショー』でも河野太郎ワクチン担当相が生出演した絶好のチャンスに、肝心の「ワクチン優先順位の医療従事者等の対象を教えてください」といった爆弾質問をしなかった。とくに『モーニングショー』については日ごろ舌鋒を振るっている玉川氏に、メールでこの情報を伝えたが、河野大臣のご機嫌取りばかり。視聴者から寄せられた質問のなかでも取り上げなかった。あらかじめ、質問内容について、局側が官邸に伝え、優先接種問題についての質問はしないでほしいとの要請を受け入れたのかもしれない。なにせNHK『ニュースウォッチ9』のキャスターをしていた有馬氏が、ガースー総理へのインタビューで、あらかじめ官邸側に伝えていた質問に含まれていなかった「学術会議会員の否認問題」について質問をしたことで、ガースーが「説明できることとできないことがあるじゃないですか」と色を成したことがあり、のちに山田広報官からNHKに「総理、怒ってますよ」との苦情が入ったことがあり、玉川氏も官邸にはへりくだることにしたのかもしれない。
朝日新聞に至っては、17日朝刊でワクチン接種問題を大きく取り上げながら(記事タイトル「医療従事者、接種完了14% コロナワクチン、現場に不満も」)、まるでトンチンカンな記事を書いている。さわりの記事を無断転載する。まず朝日の記事を読む前に、朝日の記事タイトルでは「医療従事者等」ではなく「医療従事者」としている。最初から独断と偏見をもって書いた「誤報記事」であることを明らかにしておく。
政権が「切り札」と位置づけるワクチンは高齢者への優先接種が始まった。だが、最優先の医療従事者で2回の接種を終えたのは1割程度にすぎない。
「重症者の診療を始めて1年以上経つのに、まだワクチンがうてていない」。東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)の感染対策室長、織田錬太郎医師はそう漏らす。
センターは県内に24あるコロナの重症者受け入れ施設の一つ。だが、医療従事者約950人への接種は、19日以降の予定だ。「いまもスタッフは最前線で診療を続けている。(患者の診療で)実績のある病院は優先してほしかった」
千葉県によると、ワクチンは超低温の冷凍庫がある病院の医療従事者から接種され、そこから地域の病院へ運ばれる。同センターは超低温の冷凍庫をもたない。県の担当者は「コロナ患者を受け入れる施設でも接種が遅れているところがあると承知しており、申し訳なく思う」と話す。
病院の勤務医だけではない。自宅療養中の新型コロナ患者を診ている東京都内の診療所院長は「1回目の接種は最短で5月中旬になると聞いている」。発熱外来を設置し、コロナ患者も診る都内の別の地域の診療所院長も「1回目は4月末以降のようだ」と語る。
首相官邸のホームページによると、15日時点の医療従事者への接種回数は約185万回。1回目は対象の約480万人の24%にあたる約117万人。2回目まで終えたのは14%にあたる約68万人。4分の3は1回も受けていない計算になる。
朝日の記者は政府が優先接種対象とした480万人は「医療従事者」ではなく「医療従事者等」であることすら気が付いていない。すでに述べたように、医療従事者はコロナ患者治療に関与していない医師・歯科医師・薬剤師・看護師まで含めても総数で196万2千人。コロナ治療従事者は大目に見ても18万人。政府が優先者とした「医療従事者」「等」の480万人の実態は「等」に重点配分したバラマキ接種だったのである。せっかくコロナ患者の治療に当たっている現場の声をくみ上げながら、なぜ現場のコロナ患者の治療に当たっている医療従事者にワクチンが行き渡らないのかという疑問を持たないようだ。この記事は現場取材した記者と編集委員が書いているが、朝日は頭の悪い編集委員を9割減らして私を社外特別編集委員にしたら、紙面が見違えるほどよくなる。
※誤解を招くといけないので、私は「等」の人たちを優先接種対象から除外すべきだと主張しているわけではない。コロナ患者、とくに重症者を受け入れている病院では、コロナ患者の治療に当たっている医師や看護師などの医療従事者だけでなく、その病院で仕事をしている人たち(受け付け、食堂、コンビニなどの従業者など)や救急車担当の消防職員は新たな感染源にさせないためにワクチンを優先接種すべきだと考えている。
要は、厚労省の発想は感染リスクの高い人を優先接種するということしか考えていないことに、私は疑問を呈しているのだ。もちろん感染リスクの高い人への優先接種は行うべきだが、少なくとも感染リスクの低い「医療従事者等」より、クラスターの感染源になりかねない人たち(老人ホームの従業員や飲酒が主目的の飲食業従業員、フィットネス・クラブの従業員やインストラクター)などを、コロナ患者の治療に当たっている病院の「医療従事者等」に次いで優先接種すべきではないかと考えている。ま、政府も厚労省も日本医師会や日本歯科医師会の下請け組織だから、私のような考えが生まれないのは仕方ないか。
さらに、高齢者の接種については前期高齢者は優先的に接種すべきだと思うが、コロナワクチンは副作用もいろいろ報告されている。後期高齢者は個人差はあるが、常識的には免疫力がかなり低下していると考えられ、ワクチンの副作用率も高くなるリスクがある。しかも私自身そうだが、ほとんど外出しないし、友人との会食も控えている。「巣ごもり生活」で感染リスクを極力回避する努力をしている。とくに単身の後期高齢者は自宅内感染はほぼあり得ないから、むしろ会食機会が多い人たちへのワクチン接種を優先すべきではないかと思う。前回のブログで提案したように、会社や役所が午後7時以降は会議室を会食用に開放して、飲食店での感染リスクを回避する手段を講じるべきだと思う。現に「花見宴会」などは自分たちで場所も用意し、飲食物の用意や後片付けも自分たちでやっている。同じことを会議室を利用して行えばいいだけの話だ。
現にイギリスではロックダウン作戦とワクチンの有効接種によって、現在はほぼ通常生活を取り戻しているようだ。
日本にはいいことわざがある。
「転ばぬ先の杖」だ。
先人たちが残してくれた格言を、日本の政治はすっかり忘れているようだ。
「転んでからの杖」になってしまっている。
福祉政策も厚労省の担当だが、高齢者に対する福祉政策も典型的な「転んでからの杖」だ。
認知症は40代から始まる、という説がある。自分の名前や家族の顔まで忘れてしまうような重症者にならないような「転ばぬ先の杖」対策をなぜ講じようとしないのか。
体力にしても同じだ。私も昨年80歳になったが、コロナ禍になるまではしょっちゅうカラオケを楽しんだり、ほぼ週1のペースでゴルフもしていた。が、コロナ禍による「巣ごもり生活」で運動をする機会が皆無になり、家での生活は椅子とベッドだけという状態になって、ごく最近「要支援1」の認定を受けることになった。デイサービスでストレッチや軽い筋トレをこれまで2回して、1年間でこれほど体力が低下していたことにショックを受けた。私は数年前までフィットネス・クラブにも通っていたが、フィットネス・クラブのレッスンにはついていけなくなってやめたのだが、フィットネス・クラブが比較的すいている時間帯に限定して高齢者向けの軽い運動ができるように国や自治体が支援してくれたら、それこそ「転ばぬ先の杖」になる。その結果、高齢者の健康生活が送れるようになれば、医療費の軽減で元もとれる。
「転ばぬ先の杖」
私たち日本人の祖先は、いい教訓を残してくれたのだが…。
【追記】 このブログを書き終えて、再び新たな疑問が生じた。ワクチン接種優先に入れている老人ホームと、入れていない老人ホームの差別についてである。厚労省の指針では、差別の基準は「医療機関の敷地内設置」である。敷地内に設置されていれば、老人ホームの従業員は優先接種の対象になるが、敷地外の施設は対象外ということだ。非常に明確な基準であり、そしてその基準が科学的に正しいということであれば、医療機関敷地内の老人ホームは医療機関から何メートル(あるいは何キロメートル)離れていてもコロナ感染リスクにさらされているということになる。しかも厚労省基準の「優先接種を受けるべき医療機関」の明確な基準はない。「疑い患者」の基準も科学的ではないし、「頻繁に接触する」という「頻繁」の基準もまったくない。
実際、私が住んでいる地域は首都圏の住宅街である。200メートル以内に医療機関(すべてクリニック)は数か所あるし、老人ホームも1か所ある。老人ホームの設置場所は医療機関の敷地内ではない。クリニックの「医療従事者等」はすべて優先接種の対象になっているが(確認済み)、老人ホームの従業員は対象外のはずだ(未確認)。
ただし、老人ホームの所在地から200メートル以内にクリニックや調剤薬局は数か所ある。わたしが住んでいる住宅街でコロナ患者が発生したという話は、クリニックや調剤薬局の方に聞いても「そういう話は聞いたことがない」という。それでもクリニックや調剤薬局の勤務者は全員優先接種の対象になっており、勤務者(優先接種資格者)の名簿も提出している(すでに接種を受けたか否かは未確認)。
医療機関の敷地内にある老人ホーム勤務者は優先接種の対象になり、ごく近くに医療機関や調剤薬局が数か所あっても、医療機関の敷地外(つまり医療機関が経営していないことを意味する)の老人ホーム勤務者は優先接種の対象外になる。
老人ホームの問題だけではない。医療機関の敷地内に設置されている老人ホームの勤務者は優先接種の対象になるということは、感染リスクにさらされているからのはずだ。では優先接種の対象になっている「感染リスクが高い」クリニックの近辺にある一般商店や一般住居は感染リスクにさらされていないという科学的根拠があるのか。
はっきり言えば、厚労省は医師会や歯科医師会の下請け機関であることが、このワクチン優先接種基準で明確になった。私たちの健康は、悪魔の手に委ねられている。
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