小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

緊急事態宣言より集団免疫状況をつくるワクチン接種を!!

2021-04-26 00:56:41 | Weblog
昨25日から東京・大阪・京都・兵庫の4都府県に3度目の緊急事態宣言が発令された。期間は5月11日までの17日間。酒類を提供する飲食店や大型商業施設などに休業を要請し、コロナ禍を短期で封じ込めるつもりだ。
Go To トラベルが感染拡大をもたらしたというエビデンスはない、と、国民にではなく自民党・二階幹事長に寄り添う認識を示した菅総理。この対策で短期間にコロナ禍を封じ込められるエビデンスはおありなのだろうか。

●日本でPCR検査のハードルが高いのは保健所の既得権益保護のため
今回の緊急事態宣言を効果あるコロナ封じ込め対策にするためには1回目、2回目の緊急事態宣言でコロナ封じ込めができなかった理由の検証が欠かせない。
が、メディアの報道による限り、そうした検証がなされた気配はない。多くのメディアや専門家がすでに疑問を呈しているように、「5月11日までの17日間」という極めて中途半端な期間の設定も問題だ。ゴールデンウィーク中の人出を抑え込むというなら4月29日から5月9日まででもいいはずだ。
もともと日本の緊急事態宣言は中途半端だった。そもそも第1回目の緊急事態宣言を発令した安倍総理が「日本では法律上、ロックダウンはできない」と決めつけ、「コロナ対策と経済対策の両立を図る」ことを政策の基本に据えてきた。つまり、緊急事態宣言といいながら、その実態は経済活動への負荷を極力避けるという中途半端なコロナ対策だったという真摯な反省が、政府にはまったく見られない。
日本は民主国家だから、中国のように強権で経済活動を抑え込むことまではできないにしても、私は日本がコロナ禍に襲われた昨年春ころから「両立は不可能」とブログで主張し続けた。「両立不可能」論者はまだ少なく、ノーベル賞学者の山中伸弥氏などは「日本人にコロナ患者が少ないのはマスク習慣や遺伝子的要素、清潔好きなどのファクターXがある」と主張していたくらいである。
確かに欧米に比べて日本はコロナ感染者(無症状の隠れ感染者も含めて)が少ないことは確かだ。日本の場合、コロナ禍の来襲がインフルエンザの流行時期と重なったため、私はインフルエンザワクチンの接種がコロナ禍が欧米のようには拡大しなかった可能性があると考え、山中研究所や厚労省にも伝えたことがある。とくに厚労省には先進各国のインフルエンザワクチン接種率を調べるべきだとアドバイスもした。
が、インフルエンザもそうだが、ウイルスを撃退するワクチンが開発されれば、ウイルスも人工知能的に遺伝子改造を行ってワクチンを無力化してしまうようだ。このウイルスの能力解明は人工知能開発の参考になるかもしれない。
それはともかく、日本人にコロナ患者が少ないとされている大きな理由の一つにPCR検査のハードルが高すぎるという問題もある。4月22日現在のPCR検査最大能力は185,085件に対し、検査実施数は94,257人と、検査能力の半分しか活用していない。それでも最近は検査実施数は増えているようで、つい1か月ほど前までは能力の4分の1しか検査してこなかった。
なぜ、そんな「宝の持ち腐れ」のようなことが生じたのか。日本では保健所がPCR検査の実施権限を一手に握っており、既得権益にしがみついてきたからだ。ちなみに政府のコロナ対策は国民ではなく業者に寄り添ったものである。メディアに登場する専門家と称する連中も同じ穴の狢だから、業者寄り添いの政府方針をだれも批判しない。
保健所の既得権益問題だけでなく、欧米諸国に比べてコロナ感染者が圧倒的に少ないはずの日本で、なぜ医療崩壊状態が生じるのか。

●なぜ日本では感染症専門医しかコロナ治療が行えないのか?
政府は「コロナ患者を受け入れない一定規模の病院名を公表する」と、あたかも患者寄りのようなことを舌先では言っているが、実は日本には感染症の専門医がそんなに多くはいない。その少ない感染症の専門医も大学病院や公立病院に偏っており、一般の総合病院にはほとんどいない。しかも、日本では専門医の棲み分けが強く、専門外の治療が行えないという、つまりそれぞれの専門医の既得権益の壁が厚すぎるのだ。
 日本は欧米先進国に比して人口当たりの医療機関数も医者や看護師数もかなり多い。が、専門分野の壁が分厚いため、感染症の専門医がいない総合病院はコロナ患者を受け入れられない。そういう事情を知っていながら、政府はコロナ患者を受け入れない総合病院は病院名を公表するという。
 実は、そうしてくれた方が、コロナ患者を受け入れない総合病院やコロナ感染以外の病人にとっては「あの病院ならコロナ感染しないから安心して入院できる」と、かえって喜ばれている。つまり、病院にとってもコロナ以外の病気で入院せざるを得ない患者にとっては、政府がわざわざ宣伝してくれているようなものなのだ。
 日本が欧米に比べて本当にコロナ患者が少ないなら、コロナ禍を抑えることはそれほど困難なことではない。
 まず、感染症の専門医は学閥系病院の壁を取っ払って重点地域(感染者数が多い地域)の病院に集中し、コロナ専門病院にする。その病院に入院しているコロナ以外の患者は、コロナ患者を受け入れていない病院に転院してもらう。そうすることで、院内感染も防げるし、専門病院化することによって治療の効率化もできる。全国各地にはがん専門病院があるが、そのような体制をとる。
 そのうえで全国からインターンの学生をコロナ専門病院に集中的に配備して、専門医が過重労働にならないような対策を取る。他の総合病院からの応援医師や看護師、インターンの学生たちの宿泊場所として近くのホテルを確保する。病院とホテルのあいだは専用バスで結び、通勤過程での感染を防ぐ。
こうした対策を取れば、現在公表されている程度の患者数なら医療崩壊を起こさずに治療が行える。ただ問題はPCR検査実施数が圧倒的に少ないことだ。たとえばアメリカの場合、一時の感染者数30万人(1日当たり)から、いまは6万人強まで減っている。仮に陽性率5%としても、アメリカでは感染者数が減少しつつある今日でも、毎日120万人にPCR検査を実施している計算になる。人口比で換算すると日本だったら毎日50万人をPCR検査していることになる。だが日本ではすでに述べたように第4波が襲来しているというのに、PCR検査の最大能力が20万弱、検査実施数は10万人にも満たない。
実はPCR検査そのものは、それほど感染リスクが大きい作業ではない。実際、PCR検査を独占してきた保健所(今は保健所だけでは対応できず外部の医療機関にも検査を委託しているが)の検査担当者から感染者が出たという話は聞いたこともなければ、保健所でクラスターが発生したという事実もない。はっきり言えばPCR検査のリスクはインフルエンザ検査のリスクとそう変わらないのだ。インフルエンザ検査も鼻奥から綿棒のようなもので粘液採取する必要があるが、インフルエンザ検査もコロナ検査も検査対象者がくしゃみでもしなければ検査担当者がウイルスを含んだ飛沫を浴びる可能性はほぼない。いまはPCR検査は唾液でもできるから、はっきり言えば私にでも検査できる。
だから日本がアメリカ並みの検査実施率を基準に、毎日50万人をPCR検査した場合、いまの感染者数(日本全国で約5000人)で、果たして済むだろうか。仮に陽性率を5%と低めに見ても、2万5000人の新規感染者が見つかる計算になる。政府は最大検査能力を増やしているというが、いったい何を基準に増やしているのかの説明は一切ない。まさか検査キットがせいぜい1日当たり20万セットしか手に入らないとでも言うのか。
実態は保健所(および保健所が外部委託した医療機関)の検査体制に合わせて最大検査能力を増やした格好にしているだけで、保健所の既得権を損なわない範囲が政府の言う最大能力なのだ。

●ワクチン優先接種の恩恵を受けたのは医療従事者だけではない
政府の業界に寄り添うコロナ対策は、前回のブログでも明らかにしたように、ワクチンの最優先職業者を「医療従事者等」(医師や看護師などの医療従事者だけではない)としたことでも明らかである。政府の小汚いやり方は優先接種の対象を「医療従事者 等」としたことで、ほとんどの国民は「医療従事者」に付け加えられた「等」によってどれだけ優先接種の対象が膨らんだかわからなかったはずだ。
騙されたのは国民だけではない。メディアもすべて騙された。優先接種の対象は「コロナ患者の治療に従事数医療従事者、すなわち医師及び看護師」と思い込んだ。政府の仕掛けた罠に見事にはまったのだ。
私が前回のブログ『コロナワクチン接種で厚労省にコケにされたメディアの無能さを追求する』で、そのことを明らかにした日のNHK『ニュース7』でアナウンサーも字幕も「等」を抜かして「医療従事者」と表現した。私は直ちにNHKに電話し、「誤報だ」と伝えた。その日の『ニュースウォッチ9』では「医療従事者など」と表現を改めた。が、「など」によってどれだけ対象が膨らんだかは説明しなかった。そうするためには、それまでの誤報をまず明らかにして訂正しなければならなくなるからだ。
私のブログが長くなる理由の一つとして「切り取り批判」つまり「揚げ足取り批判」は一切しないことにしているからだ。そのため前回のブログでは、あえて厚労省ホームページに記載された優先接種に関する公開文書をすべて転載することにしたというわけだ。
公文書ほど退屈な文書はなく、読者には申し訳ないことをしたと思っているが、政府のやり方の小汚さと、それにまんまと引っかかったメディアの無能さを明確にすることがこのブログの目的なので。今日はもう一度、骨子の部分だけ引用して政府のやり方の小汚さを明らかにしておく。
コロナワクチン優先接種対象の480万人についての政府発表はこうだ。「病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナ感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員」、「自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、(以下同文)」、以下略。
この優先対象者の規定で問題になる箇所は二つある。一つは「疑い患者」をだれがどうやって認定するのか。政府説明によれば「疑い患者」とは「新型コロナ感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感染症患者かどうかわからない患者を含む」とされている。私は年のせいで、しばしばむせて咳をする。紛れもなく「疑い患者」だ。
もう一つ問題があるのは「疑い患者」にも「頻繁に接する業務を行う職員」は医療機関でどういう仕事をしている人を指定しているか。私はこの1年余り、友人とも接する機会がないが、2,3か所のかかりつけクリニックにはせいぜい月1回、かかりつけの調剤薬局でも月2~3回がいいところだ。が、食料品などは買わないわけにいかないからスーパーやコンビニにはほぼ毎日行く。私は「疑い患者」だが、私と最も頻繁に接する人はスーパーやコンビニの店員だが、彼らは医療機関の従業員ではないから、リスクは大きいのにワクチン接種優先対象ではない。どうやって「疑い患者」と頻繁に接触する医療機関を決めるのか。
実際には各自治体は管轄地域のすべての医療機関(歯科医や産婦人科、美容整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、肛門科、泌尿器科なども含む)やすべての調剤薬局に優先接種の接種券をばらまいている。つまり、日本医師会、日本歯科医師会、日本保険薬局協会に属する病院・診療所・クリニック・調剤薬局の職員は「特権階級」なのだ。あるいは池袋で悲惨な自動車事故を起こした元通産省工業技術院長と同様の「上級国民」なのだ。そう解釈する以外に、怒りの持っていきどころがない。
さらにひどいのは、老人ホームの勤務者には差別待遇があることだ。病院の敷地内に設置されている老人ホーム(つまり病院が経営している老人ホーム)の従業員は優先接種対象者だが、病院の敷地外に設置されている老人ホームはスーパーやコンビニ店員と同じ扱いなのだ。
他にもある。政府はこれらの「上級国民」向け最優先接種に次いで「基礎疾患のある高齢者」「高齢者」「一般」と接種の優先順位を付けている。実は24日に私にも市役所から接種券が送付されてきたが、受付開始日は5月3日、接種開始日は5月17日で、担当部署に問い合わせたが「基礎疾患の有無は受付開始や接種開始について配慮していない」という。考えてみれば当たり前で、全市民の「基礎疾患の有無」を市が把握しているわけがなく、基礎疾患がある人はかかりつけ医などに診断書などを書いてもらう必要が生じるし、そうなるとその診断書が正確か否かを市は保険金支払い記録などを調べる必要が生じる。「医療従事者等」のケースも同様で、政府の発表では「頻繁に接する」ことが条件になっているが、そんなことを自治体が調べようがなく、すべての医療機関や調剤薬局などに接種券を最優先交付しているのが実態だ。
さあ、エビデンスが大好きな菅さんよ。これらの差別が合理的であることのエビデンスを明らかにしてもらいたい。私もエビデンスが大好きだから、菅さんとは「同好の士」のつもりなので、ぜひエビデンスについての菅基準をご教示いただきたいと願っている。

●集団免疫でコロナを撃退する方法
戦後、日本政府は国民を欺く詐欺的政策キャンペーンを少なからず行ってきたが、その最たるものは池田内閣の「所得倍増計画」だった。1960年は安保闘争で日本中が大騒動に巻き込まれた年だが、岸内閣の総辞職を受けて発足した池田総理が、「今後10年間で国民総生産を倍増する」という大風呂敷を広げたのである。世に言う「所得倍増計画」だ。ここではっきりしておくが、池田内閣が目指したのは国民総生産(現在は国内総生産が経済活動の指標になっているが、当時は国民総生産が基準だった)の倍増であって、国民所得の倍増ではなかった。「所得倍増」は巨大な錯覚キャンペーンである。
が、この夢のような計画は、結果的には計画より早く7年後には実現したのだが、相当ラッキーな偶然によって実現できたと言うしかない。というのは、池田内閣が行った所得倍増のための政策は減税・社会保障・公共投資の三本柱だけで、必ずしも有効性が保証されていたわけではない。
ただ、国民総生産倍増という壮大な政策目標が、「自分たちの所得が倍になる」と錯覚した国民に夢を与え、また1964年の東京オリンピックが予想をはるかに上回る大成功を収めて日本経済が活気づき、世界的な好況という偶然もあって日本製品の輸出が急増、国民総生産も急増、戦後の社会主義的色彩が濃厚なシャウプ税制によって国民所得も倍増した。
そういう偶然性に政府は期待しているのかどうかはわからないが、感染拡大を封じ込めるための最大の効果策は、専門家によれば「集団免疫状態」をつくることのようだ。
そのためには、不特定多数の人と接触する機会が多い職業に従事している人たちにワクチンを優先接種して、特に都心部での集団免疫状態をつくることではないか。
NHKが『ニュース7』での誤報を私が指摘し、その日の『ニュースウォッチ9』では修正したことはすでに書いたが、25日の『日曜討論』では井上アナやパネル表示では正確に「医療従事者など」としたのに、ゲストの田村厚労相や分科会の尾身会長が、ことさらに「医療従事者」と言い換えたのは、立場が立場だけに極めて悪質と言わざるを得ない。
なお、TBSの『サンデーモーニング』では局側は「医療従事者」と謝った位置づけをしていたのに対して、リモート出演していたゲストは「医療関係者」と言い換え、政府の「医療従事者等」にかなり近い発言をしたが、田村・尾身の両氏はワクチン接種の責任者的立場にあるだけに、言い間違いでは許されない。しかも二人の発言を引き継いだ伊藤アナまで「医療従事者」と発言したのはどういうわけか。すでにNHKは私の指摘により「医療従事者など」と医療従事者の後に「など」を付け加えるようにしているのに、伊藤アナは田村・尾身両氏の意図的な誤発言をカバーしたのは井上アナより劣る。『日曜討論』の司会を務める資格がない。
なお、わが国の医療従事者数は、医師、歯科医師、看護師、薬剤師まで含めて196万2000人。ワクチン優先接種対象の「医療従事者等」480万人の「等」がなんと284万人である。「等」の内容については前回のブログで書いたので繰り返さないが、許せないのは「老人ホーム」の従業員の扱いである。老人ホームはしばしばクラスターが発生して衛生管理が問題視されているが、医療機関の敷地内に設置されている老人ホームの従業員は優先接種の対象だが、一般の老人ホームの従業員は対象外である。優先接種の対象者は「新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員」と明確に規定されているから、政府は一般の老人ホームの職員には、コロナウイルスのほうから遠慮して近寄らないと判断しているようだ。であれば、クラスターが発生した老人ホームはすべて医療機関の敷地内に設置されている老人ホームだけだということを明らかにする必要がある。それがフェアなエビデンスというものだ。

● コロナ患者専門病院で患者を集中治療せよ
現在、日本では「医療崩壊」の危険性が重要視されているが、日本人よりはるかに患者が多い欧米でなぜ医療崩壊問題が生じていないのか。これは推測でしかないが、欧米では専門医の壁を超えて、専門病院で集団治療に当たっているからではないかと思われる。というのは、コロナ患者の場合、治療といっても長時間の重労働が強いられる高難度の外科手術は必要ない。ネットでコロナ治療法を調べたが、こう記してある。
「新型コロナウイルス感染症の治療法は、風邪のような症状の場合には対症療法(熱や咳などの症状を抑える治療)を行いますが、肺炎の場合は酸素投与、全身循環管理に加えて抗ウイルス薬やステロイド薬(炎症を抑える薬)の投与が奏効する場合があります。これらの治療を行っても改善せず、特に重症な場合には体外式模型人工肺(ECMO:人工肺とポンプで肺の代替を行う装置)を使用しなければならないこともあります」
この記事に記載されていない治療としては点滴、血圧、検温、投薬(アビガンやレムデシベルなど)くらいだろう。感染リスクと闘いながら治療に当たっていただいている医師、看護師の方たちを侮蔑するつもりは毛頭ないが、ほとんどの医療行為はインターンの学生でもできるような範囲の医療行為だ。専門医たちが既得権益を放棄して、専門医にしかできない医療行為に専念できるようにしたら、日本で医療崩壊など生じるわけがない。
菅総理は訪米したとき、バイデン大統領から「東京オリンピック開催を支持する」という発言を取り付けて大喜びし、さらに訪米中の17日、ファイザー社のブーラCEOに電話で交渉した結果として「16歳以上の国民全員分のワクチンが9月末までに供給されるめどが立った」と胸を張ったが、口約束どころか空手形になりそうな気配だ。おそらく「努力してみましょう」くらいの返答だったのではないか。菅総理は国民の信頼を回復したい一念で、つい口が滑ったのかもしれないが、結果的に返って国民の間で不信感が募ったようだ。
いずれにしても、コロナ禍を短期に終息させるには、医師会や歯科医師会、看護師協会などの業界団体への「配慮」とか、全国民平等にといった形式にとらわれるのではなく、感染者が急増している地域にまず集団免疫状況を作り出すことだ。
今回の緊急事態宣言では従来より厳しい規制が敷かれるようだが、酒類を提供した店の調理師免許はすべて取り消すなどの厳しい罰則も課すべきだ。一方、前回のブログで提案したように、企業や役所は午後7時以降10時まで会議室を会食用に開放するよう要請すべきだ。大学生には学食室を同様に開放したらいい。その一方、路上や公園会食は徹底的に取り締まり、浮浪者とみなして一晩留置所に放り込むくらいのことをすべきだ。
専門家が主張するように、集団免疫が最も有効であるならば、感染者多発地域で重点的にワクチン接種を行い、集団免疫状況を作り出すような対策を講じるべきであろう。

●日本はなぜロックダウンしないのか?
実はかなり前から、ちょっと嫌な気がしている。欧米ではコロナ化対策として大都市部をロックダウン(都市封鎖)してコロナ・パンデミック(大流行)を抑え込もうとしてきた。日本が第1波に襲われたとき、安倍総理は強制力がない緊急事態宣言の発令にとどめた。多くの国民や専門家は、なぜ欧米のようにロックダウンに踏み切らないのかという疑問を抱いた。私もその一人である。
緊急事態宣言では、国民に「不要不急の外出は極力避けてください」といったお願いしかできない。が、ロックダウンに踏み切った諸外国では食品など生活必需品購入や医療機関に行く以外の外出を罰則付きで禁止するという強制力が強い対策を取った。公共交通機関を運行停止したり、道路封鎖したりした都市もある。コロナ発祥の地と言われた1000万人都市の中国・武漢もロックダウンでコロナパンデミックを抑え込んだ。
日本がロックダウン政策をとらない理由について、当時の安倍総理は昨年4月1日の参院決算委で「日本ではロックダウンはできない」と述べただけで、その根拠は示さなかった。野党議員のだれも、その理由を質さなかった。野党議員も聞くまでもなく、「私権の制限」を意味するロックダウンは、憲法の制約によって実施できないと理解したのだろう。
確かに現行憲法には非常事態での「私権の一時停止」を可能にする条項がない。先の戦争への反省から国家権力の発動を厳しく規制したと思われる。それは現行憲法がコロナパンデミックのような異常事態が発生する可能性を考慮に入れていなかった欠陥と言えなくもない。
が、特措法を改正して、コロナ禍を封じ込めるための、ある程度の強制力を持てるようにすることは可能だったし、現に今年に入って一定程度の強制力を有する特措法改正も行われた。
そう考えると、なぜ安倍氏は特措法の改正をしようとしなかったのか、が疑問として残る。「うがちすぎ」と言われるかもしれないが、国民を犠牲にしてコロナウイルスに日本中を蹂躙させ、「ほら見たことか」と憲法改正への機運を高めようと考えていたのではないか。
安倍氏は自衛隊を憲法9条に書き込むための憲法改正をいきなり行うことはさすがに無理と分かり、とりあえず非常時における私権の制限と憲法の一時停止を可能にする非常事態条項を憲法に追加することで、憲法改正への道筋を付けようと考えていたのではないか。
そう考えると、安倍氏の唐突な総理辞任も、コロナパンデミックが終息した後、後継者の菅総理にコロナ禍による経済混乱などの責任を取らせて辞任させ、三度総理の座に返り咲いて自らの手で憲法改正を断行しようと考えたのではないかという疑念が生じる。それが杞憂で済めばいいのだが…。

【追記】28日、政府の高齢者向けワクチンの配布方針が判明した。26日以前は東京都・大阪府・神奈川県の1都1府・1県には他の道府県の倍の量のワクチンを配布する計画だったが、26日、急遽配布方法を変更、全国すべての市町村単位に1万回分(一人に2回接種するとして5000人分)の接種ワクチン量を配布することに変更、実施している。つまり都内(23区)、横浜市、大阪市も、過疎地の寒村もすべて同じ量のワクチンが配布されているのだ。この配布方法はメディアに公開されていなかったため、メディアは入手量が圧倒的に少ないワクチンをどのように配布しているのかが分からず、そのため、このような無茶苦茶な配布方法を報道していない。(29日)


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