名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
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大山将棋研究(32); 位取り拒否

2016-01-12 | 大山将棋研究
昭和47年4月、高島弘光先生との第20回王座戦です。

大山先生の四間飛車に高島先生の玉頭位取り。これを位取り拒否に。
74歩を嫌って、77銀の前に75歩とする将棋のほうが多いのですが、たまにあります。若いころに内藤米長戦の名局集を並べたことがあります。端攻めから居飛車の内藤先生が作戦勝ちで快勝というもの。

大山先生は早めに84歩で備えたので、高島先生は窮屈な駒組みです。

後手の形がいいですね。作戦勝ちなので後手番ですが大山先生から動きます。

飛と角のさばき合いに。

この馬引きが気分いいです。ということは、最初の55歩に同歩のほうがよかったか。そのほうが55馬が安定しないので。

高島先生もどうにか手を作ろうと必死ですがもちろん大山先生は相手にせず。

それでもどうにか玉頭から手がかりができました。

これで勝負の形になりました。

でもこの底歩は本当に堅く見えます。

端攻めで寄せるのですか。これがよい感覚ですね。

高島先生の最後の突撃で

これが投了図です。

高島先生は攻め将棋なのに玉頭位取りで、大山先生相手では勝てる可能性が少ないように思います。流行だったのでしょう。相手が無意味に粘ることをしないので、形を作らせて端だけで寄せてしまうやりとりは、大山先生としてはどこまで意識していたのでしょうか。心理状態まで読み取っていたのでしょうか。恐ろしさを感じます。
これは先後逆にして並べてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=UTF-8
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
開始日時:2016/01/10 16:47:28
手合割:平手  
先手:高島弘光7段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 6八銀(79)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5八金(49)
18 7二銀(71)
19 5七銀(48)
20 4三銀(32)
21 7七銀(68)
22 7四歩(73)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 6六銀(57)
26 7三銀(72)
27 7五歩(76)
28 同 歩(74)
29 同 銀(66)
30 7四歩打
31 8六銀(75)
32 8四歩(83)
33 7六銀(77)
34 6四歩(63)
35 3六歩(37)
36 7二金(61)
37 6六歩(67)
38 5二金(41)
39 7九角(88)
40 4五歩(44)
41 6七金(58)
42 5四銀(43)
43 7七桂(89)
44 6三銀(54)
45 8九玉(78)
46 5四歩(53)
47 7八金(69)
48 5五歩(54)
49 2四歩(25)
50 同 歩(23)
51 3五歩(36)
52 5六歩(55)
53 3四歩(35)
54 5五角(33)
55 2四飛(28)
56 1九角成(55)
57 2一飛成(24)
58 5五馬(19)
59 5三歩打
60 6二金(52)
61 3一龍(21)
62 4三飛(42)
63 3五角(79)
64 4六歩(45)
65 5二歩成(53)
66 同 銀(63)
67 7五歩打
68 5七歩成(56)
69 7四歩(75)
70 同 銀(73)
71 5七金(67)
72 5三歩打
73 7三歩打
74 同 金(62)
75 7五歩打
76 6三銀(74)
77 7四桂打
78 同 金(73)
79 同 歩(75)
80 4七歩成(46)
81 6七金(57)
82 4一歩打
83 7五銀(86)
84 5七と(47)
85 同 角(35)
86 4九飛成(43)
87 7九角(57)
88 9五歩(94)
89 8四銀(75)
90 8三香打
91 7三金打
92 同 桂(81)
93 同 歩成(74)
94 同 金(72)
95 同 銀成(84)
96 同 玉(82)
97 8五桂打
98 6二玉(73)
99 7三金打
100 6一玉(62)
101 4二歩打
102 9七桂打
103 投了
まで102手で後手の勝ち

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20160112今日の一手<その241>; 角の働きの差

2016-01-12 | 今日の一手
20160112今日の一手

11月29日の名南将棋大会から、IさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが、後手も持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さはやや後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は26角1枚。
後手の攻め駒はありません。
総合すれば互角です。

大局観として
矢倉の中盤では角の働きが重要です。26角と82角の違いで、問題図ではやや先手のほうが指しやすいです。でも後手から65歩が入れば82角が働いてきて、後手の角の方が働きがよくなります。
4手角よりも91~19のラインの角の方が働きがよいのです。角換わりでも角の打ちあいがあれば同じですね。相振り飛車なら11~99のラインの角の方が13~35角や97~75の角よりも働きがよいのです。これは覚えておくとよいです。
つまり、問題図で64歩と角筋が止まったのがチャンス。ここでリードしなくてはなりません。
攻め駒を増やす、つまり48飛46金37桂を使うのが本筋の手になるはずです。どう使いますか?


× 実戦では73歩成と指しました。

筋が悪いのですが、73同角71角成51飛72馬

一番働いている角を馬にしてもあまり効果はありません。桂馬を取れるのですが。少し前に後手が手待ちで93香としたのをとがめる意味もあってこの変化に飛び込んでしまいました。
65歩73馬同桂62角

61飛73角成66歩同銀左39角68飛66飛

66同銀57銀同銀同角成61飛成

先手優勢です。でもここからひるんでしまって逆転負け。去年の最後の対局に負けてしまいました。

後手は66飛が勇み足で、65銀が正しい手。

65同銀同飛66歩に57銀

飛車を取り合えば(65歩68銀成同金)38飛


また、69飛48角成65歩も66歩

どちらも後手が優勢です。


△ 24歩は自然な手です。

24同歩25歩同歩同桂24銀44角

こうなれば先手も指せるのですが、どこかで手抜きされて65歩なら

互角かやや後手もちです。玉の堅さの差、角の働きの差が出てくるでしょう。


△ 35歩も自然な手ですが

35同歩同金34歩44金となれば先手好調。

でも35歩に手抜いて65歩で

34歩同銀35歩43銀左36金46歩

これが一例ですが、やはり互角かやや後手もちです。24歩の変化よりいいような気がします。


△ 44歩も有力です。

65歩45金46歩

先の変化はいろいろ考えられますが、これはほぼ互角だと思います。


○ 55歩がありました。

55同銀には53歩

U君に指摘されるまで気が付かず。64歩の前に後手から55歩と合わせてくる筋を考えていたので、私から55歩は盲点になりました。その時は角で銀にひもが付いているので53歩もないですし。

55歩が取れないなら63銀で、44歩。

次に45桂があります。71角45金43歩35歩

これで好調です。先手有利。攻め駒がみんな働きそうです。

☆ まとめ

問題図で73歩成が見えて、筋が悪いけれどとやってしまいました。55歩は考えなかったというか、後手から55歩と合わせる筋をそれまでに考えていたので見えなかったです。
後手から見れば、64歩は危険な手です。その前の42金引(43から)と備えたのがしっかりした手で、感心していたのですが。
角の働きの差について、もっと意識を持てば矢倉の中盤感覚がわかるでしょう。角換わりや相振り飛車でも応用できるときがあります。











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