名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
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大山将棋研究(36); 位取り左美濃

2016-01-16 | 大山将棋研究
昭和47年4月、升田先生と第11期十段戦です。

大山先生が四間飛車、升田先生が左美濃に。

升田先生は6筋の位を取り少し指しやすいようですが、手を作るのは難しいです。

升田先生は7筋から手を付けました。やはり左側の戦いならよくなるはず。大山先生は5筋から反撃です。
どうもここで2筋を突き捨てなかったのが敗因のように思います。飛車が遊んでしまうことに。

升田先生は馬を作って桂馬を取れるのですが、5筋の取り込みも大きいです。58歩の我慢もあったと思います。

7筋は抑えて桂馬を取りましたが、大山先生の57歩成も大きな手です。

銀打で先手陣の姿がよいです。ここから大山先生の銀の繰り替え。

桂馬を打って升田先生の駒得ではありますが

銀桂と歩3枚+と金の交換です。2筋の突き捨てがあれば先手優勢ですが。

歩を入手している間に大山先生は馬を作り、急所に手が付きました。

金を取り合ってみると先手玉のほうが薄く見えます。この銀打ちは攻防なのですが

格好良く飛車をさばかれてしまいました。

馬を外す金打。

馬を抜いても と金を寄られて升田先生投了です。少し早いですが、後手玉を攻める手段が乏しいので仕方ないですか。


位を取ったところは升田先生の作戦勝ちでしょう。どうやって手を作るかと思ったら、48角から75歩でよいと答えを出すのが、升田先生の序盤感覚の良さです。その好調さから、24歩の突き捨てを忘れました。
失敗したからと58歩とは指さないのも升田先生らしい。駒得で指せそうにも見えるのですが、大山先生は と金を作ってまだまだと思っていたのでしょう。19角成としたところで逆転模様です。玉の堅さについての大山先生の感覚が光りました。

手の良し悪しよりは、二人の感覚の良さを感じたい一局です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:升田9段
後手:大山名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八銀(79)
12 6二玉(51)
13 7九玉(68)
14 7二銀(71)
15 5七銀(48)
16 7一玉(62)
17 6六歩(67)
18 4五歩(44)
19 5八金(49)
20 5二金(41)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 6五歩(66)
26 4四銀(43)
27 3六歩(37)
28 5四歩(53)
29 7七角(88)
30 8二玉(71)
31 8八玉(79)
32 5三金(52)
33 6七金(58)
34 7四歩(73)
35 6六銀(57)
36 8四歩(83)
37 5九角(77)
38 8三銀(72)
39 7七桂(89)
40 7二金(61)
41 1六歩(17)
42 1四歩(13)
43 8六歩(87)
44 7三桂(81)
45 2六角(59)
46 5二金(53)
47 3七角(26)
48 3五歩(34)
49 2六飛(28)
50 6二金(52)
51 4八角(37)
52 5二飛(42)
53 7五歩(76)
54 5五歩(54)
55 7四歩(75)
56 同 銀(83)
57 7五銀(66)
58 同 銀(74)
59 同 角(48)
60 7四銀打
61 3一角成(75)
62 5六歩(55)
63 7五歩打
64 8三銀(74)
65 2一馬(31)
66 5七歩成(56)
67 7六金(67)
68 5六飛(52)
69 6四歩(65)
70 5四歩打
71 8七銀打
72 5三銀(44)
73 4三馬(21)
74 5五角(33)
75 7四桂打
76 同 銀(83)
77 同 歩(75)
78 6四銀(53)
79 7三歩成(74)
80 同 金(62)
81 5四馬(43)
82 1九角成(55)
83 4五馬(54)
84 7五歩打
85 7四歩打
86 7六歩(75)
87 7三歩成(74)
88 同 銀(64)
89 6五銀打
90 7七歩成(76)
91 同 銀(78)
92 7五桂打
93 7六歩打
94 5五飛(56)
95 同 馬(45)
96 8七桂成(75)
97 同 玉(88)
98 5五馬(19)
99 8一金打
100 同 玉(82)
101 5一飛打
102 7一歩打
103 5五飛成(51)
104 6七と(57)
105 投了
まで104手で後手の勝ち
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20160116今日の一手<その245>; 歩の価値が高い局面

2016-01-16 | 今日の一手
20160116今日の一手

11月29日の名南将棋大会からAさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と銀歩3の交換で、互角の駒割りです。後手は歩切れなのでカウントします。73の桂馬も取れそうではありますが、それはこれから。
玉の堅さは先手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒銀1枚
後手の攻め駒は49角64角15銀で3枚。81飛も先手陣(先手玉の囲いではない)に届いているのでこれも入れて4枚です。
総合すれば後手が有利です。

大局観として
4枚換えなので駒の枚数は少なくても、後手の駒のほうが働きがよいのがわかりますね。81飛が21にまわるとか、持ち歩があるとか、であれば後手が優勢です。どうにか受けて形勢互角に持っていきたいです。後手が歩切れなのでうまく攻められにくいのと、73歩成が楽しみなのと、角を持てば王手のラインがあるので、そんなに悲観する局面ではありません。


だめなものからやっておきます。
× 58銀は

58同角成同飛26歩

これは銀損になりそうです。


× 28金は

27角成同金26歩28金21飛

これは2筋が受からなくなります。


× 73歩成は

26歩同銀同銀74と

それなりに見えますが、46角同金57銀

先手陣がバラバラなのでもちません。


△ 実戦は25同歩でした。

25同桂に26歩は手筋の受けですが

37桂成同金寄76歩

歩を手に入れられると飛角をさばかれてまずいです。

途中26歩と謝るところで堂々と25同桂として

26歩に39玉

27歩成49玉38と同玉

この局面、33銀と打ちこむのが強烈な筋なので、24銀26歩というくらいか。先手玉は薄くても形勢はそんなに悪くありません。46角同金57銀も実戦的に嫌な順ではありますが。


○ 25同桂が有力です。

25同桂に39玉と催促します。

85桂同歩同角成くらい。

ここで86歩が微妙な手なのですが、同角は82歩から73歩成もあるので、75馬(74馬は65銀が両取り)65銀82角85桂

72歩と受ければ歩切れになるので25歩と取り返せます。64歩73歩成65歩82と同飛76歩

これなら互角以上でしょう。なかなか25歩と取り返せないのですが、左側を制圧して逃げ出す感じです。


☆ まとめ

歩の価値が高い局面があります。攻めるのに歩が必要だから、あるいは歩を合駒などに使って相手に駒を渡さない、という攻防両方の局面であり得ます。問題図は後手が歩切れです。歩の代わりに桂馬を差し出してもおつりがくることがあるのです。26歩と打たれたり76歩と打たれたりするので渡したくない駒です。銀冠で25歩に同桂というのは頻出する手筋ですね。また、変化では不発でしたが、73桂が死んでいるので、取られる前に85桂と捨てるのも類似する手筋です。
相手の意表を突く意味もありますし、好手になる場合もあります。一度は可能性を考えるとよい手筋です。










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