名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(38); 棒銀から飛車交換

2016-01-18 | 大山将棋研究
昭和47年5月、中原先生との第31期名人戦第5局です。


大山先生の先手三間飛車に、64歩を先についてどうなるかと思いましたが、結局中原先生の棒銀に。

大山先生はおとなしい対策です。

大山先生は47に金を上がったので、56金と出ていく作戦。途中55歩同角としておくのが手筋です。
56金22角から67銀も見ますが、先に銀を引いて飛車をぶつけます。75銀かと思ったら飛車交換に。

78の銀を逃げておくのは、当たり前のようで指しにくい手ではないでしょうか。ほかの手は58飛くらい。
この銀が56に使えるので、大山先生が好調です。84銀が残っていますね。中原先生はこれをうっかりしていたとしか考えられないのですが、名人戦ですし、どういう研究をしていたのでしょうか。

端に手を付けて、これが取れないから後手よしと思っていたのでしょうか。

中原先生の24桂は予定変更のような気がします。16歩18歩で後がないから、16に桂馬を跳ねるほうがいいと。でも大山先生の25桂がカウンターで、この桂馬の打ちあいは先手が得です。

この竜が敗着ということにはなるのでしょう。でも42金寄とか粘ってもあまり見通しがないし、開き直ったのでしょう。先手三間飛車に棒銀なので、後手の手が遅れていて、42金左としていないのがたたりました。

33角44角同角成同銀45歩35銀としてから22角の手筋。これで決まりました。

投了図。大山先生の快勝です。


先手三間飛車に棒銀ではうまくいくとは思えません。飛車交換は乱暴でしょう。素朴に67銀と逃げるあたりが、当たり前のようで見所かと思います。あとは桂馬の打ちあいのあたり。振り飛車党なら気持ちよく棋譜並べできそうです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:中原十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 6二銀(71)
5 6八銀(79)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 6四歩(63)
15 2八玉(38)
16 5二金(61)
17 3八銀(39)
18 8五歩(84)
19 7七角(88)
20 7四歩(73)
21 5八金(69)
22 5四歩(53)
23 5六歩(57)
24 4二銀(31)
25 4六歩(47)
26 9四歩(93)
27 9六歩(97)
28 7三銀(62)
29 9七香(99)
30 8四銀(73)
31 6七銀(68)
32 7二飛(82)
33 5九角(77)
34 7五歩(74)
35 4八角(59)
36 5三銀(42)
37 4七金(58)
38 7六歩(75)
39 同 銀(67)
40 6五歩(64)
41 5五歩(56)
42 同 角(22)
43 6七銀(76)
44 7八飛成(72)
45 同 銀(67)
46 7九飛打
47 6七銀(78)
48 8九飛成(79)
49 5六銀(67)
50 6六角(55)
51 8二飛打
52 1五歩(14)
53 8一飛成(82)
54 2四桂打
55 6六角(48)
56 同 歩(65)
57 2五桂打
58 1六歩(15)
59 1八歩打
60 7八龍(89)
61 3三角打
62 4四角打
63 同 角成(33)
64 同 銀(53)
65 4五歩(46)
66 3五銀(44)
67 2二角打
68 1四角打
69 1一角成(22)
70 2五角(14)
71 2一馬(11)
72 4二玉(32)
73 4四歩(45)
74 4六桂打
75 同 金(47)
76 同 銀(35)
77 4八香打
78 投了
まで77手で先手の勝ち
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20160118今日の一手<その247>; 棒金をさばく

2016-01-18 | 今日の一手
20160118今日の一手

11月29日の名南将棋大会からIさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒はなし。
後手の攻め駒は34飛13角45桂で3枚。
総合すれば後手が有利です。


大局観として
よくある局面のように見えますが、先手がひどい作戦負けです。要因は2つあって、66歩と止めていることと、26金(棒金戦法の金)を使う前に4筋から仕掛けられてしまったことです。
この戦型で後手の54銀に66歩では勝てません。角が参加していないのに攻めようという方針がおかしいのです。76銀まで許してはいけないので、55歩と突いて、65銀なら77金で殺せるかどうかです。66歩と止めざるを得ないのなら、26金と出てはいけなくて、38の位置で手待ちして千日手狙いくらいしかないでしょう。

石田流が流行しているので、対策としての棒金の将棋をよく見るのですが、あまりうまくいくイメージがありません。よほど石田流が不用意な駒組みをしていないと成功しません。それが私が対三間飛車を苦手としている理由でもあるのですが。

さて、この局面を迎えてしまったら、つぶれないように読むしかありません。常識的な応手を読んで、うまくいかないならひねった受けを考えます。
少し落ち着けば35歩で後手の飛角を止められます。そのあとは22角から65歩を狙われるでしょう。角交換してしまえば後手が有利になるので、22角のラインを止めなければいけません。そして26の金を中央にもっていけるか。課題は多いです。


× 実戦は46銀左でした。

一番常識的な手、自然な手です。
しかし、46同角同銀47銀

食いつかれてしまいました。一目つぶれています。39飛56銀成45銀同銀57歩

ここで黙って48銀もありましたが、57同成銀同金48銀で両取り。逃げるべからずで86桂に65歩

後手の65歩がやや危険で、普通に63金でしょうか。強く57銀成でも勝っているかもしれませんが。この後65同歩から角を使われて少しまぎれてしまい、後手は悪手はないものの次善手のような手を重ねて負けてしまいました。後手の残念譜です。

× 35歩は守備を重視した手。46歩と打つのもこの変化に合流します。

57桂成同金31飛46歩

放置すると34歩や37歩同飛48銀の筋があり、46歩と謝って13角の利きを二重に止めておくのは仕方ないでしょう。
22角の転戦に55桂(これしかうまく止める筋がない)と角筋を止めます。

55同銀同歩同角56銀22角55歩63金

これくらいでしょうか。駒損は消えたのですが54歩があるし、36金と使いたいけれど44桂があり、34歩には37歩がある、という具合で、この局面でパッとした手がありません。
後手はどこかで食いつければ勝てるのです。やはり後手有利は変わりません。


○残りは48銀です。

先手から46歩と打たれてはいけないので、46歩58銀までは必然、角筋を止めてしまったので22角。

35歩31飛36金と使います。

65歩46金66歩77金

先ほどの変化と違い、68に金がいるので77金で角筋を止めます。この後は47金から46歩が狙いです。37歩にはもちろん28飛。これなら互角になったのかという気がします。

また、77金では44歩が手筋です。

44同角に55歩。

55同角同金同銀が普通なのですが、22角で

55角成が王手になるのでこれは先手よしです。

55歩には37歩28飛65銀か。

45金35角同金同飛37銀

この局面が不安なのですが、どうなんでしょうか。67金からの攻めの応対も難しいような、駒得が大きいようなで、よくわかりません。これでやって来いというのはあるでしょう。


問題図ではまず最初に、形勢不利だと気が付かなければいけません。互角だとか有利だとか思っていると、自然な46銀左でつぶされます。形勢不利にならないように序盤研究をするのです。作戦勝ちでうまく仕掛けられれば、自然な手で有利になっていきます。その裏で、作戦負けならどこかで不自然な手(ひねった手順)を考えねばなりません。
その不自然な手というのが48銀で、46歩と打たせて角筋を止めさせるのです。後手に3~5筋で後続手段がないという確認が必要ですが、22角の転換に角交換を防いで、棒金を中央に寄せていく手順を得れば形勢は互角に近くなります。
68金を77金として角交換を防ぐ、47銀を58銀と引いて耐える、という金銀の動きは記憶にとどめておいてください。どこかで役に立つかもしれません。









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