名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(43);穴熊に右46銀急戦

2016-01-23 | 大山将棋研究
昭和47年7月、桐山先生との第11期十段戦です。桐山先生は六段ですからまだ20代のころ。十段リーグ入りしたのはさすがです。


桐山先生は玉頭位取りのつもりだったのでしょう。多分このころ流行していました。位取り対策の意味もあって振り飛車穴熊も流行り始めて、大山先生はこのリーグ戦で多用しています。名人戦で負けて気分転換かも。

桐山先生は46右銀急戦です。若いのですからこうでなくては。

38飛と指してほしかったのですが、準急戦に。

大山先生は強気に歩を合わせます。これは居飛車がよいという定跡ですが、穴熊なのでどうでしょうか。

最初の35歩に同歩同銀とやったのと同じようなことになりました。振り飛車が1手余計に指しているので少しは得ですが、これなら居飛車十分のはず。

34歩同銀44銀32飛として、24歩は43銀が嫌なのですが、41角の強攻もありそうで、42飛51角成同飛24歩は居飛車がやれるような気がします。この36歩は妥協した手。

左銀の急戦ならこうならないのですが(37角と合わせられる)、角の打ちあいから34歩で銀を追い返せます。

これでさばき合いですが

飛車をぶつける意味の33桂に34歩が好手。

互いに と金の作り合い

銀をこちらにかわすのでは少し桐山先生が苦しいか。48銀は と金に当たってきます。

こういうところの受け、大山先生はしっかりしています。

桂香を取り合って、と金を引いて使います。

34と で銀の交換かと思ったら、取らずに攻めるのですね。大山先生は有利と思って攻め合いにしています。

と金つくり。これで大山先生が有利です。

香の打ちあいですが、囲いを薄くする56香のほうが厳しい手です。

68銀打に角を取らずに金を置くのですね。65角の筋を気にしています。

69角も投入して、香打ち。どこまで迫られるかですが

ここでは桐山先生有望に見えます。途中で61銀の割打ちのチャンスはあったのですが、これで金を取れれば効率がいいです。反面、1手途中下車する必要があるともいえるのですが

守りに打った角を使います。

竜に寄り付かれて受け無しですが、

84角が詰めろ。攻防なのですが、大山先生が62銀と打ったのが詰めろ逃れ。取ればゼットです。

62銀は取らざるを得なく、これで投了図。

穴熊に急戦の将棋でしたが、右46銀なら攻め足が速い(多分大山先生の43銀が早かったため)ので、72金というのが臨機の囲いです。割打ちの傷があるので堅くありません。強く踏み込んで居飛車が指せる気がします。
中盤で大山先生から38歩とか32歩とかよい手筋が見れました。寄せ合いは穴熊のペースに見えたのですが、桐山先生が終盤に力を見せました。最後に62銀とすてる格好いい手があり、大山先生の勝ちになりました。これも好局です。振り飛車党なら先後逆にして並べるとよいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山6段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 6八銀(79)
14 8二玉(72)
15 5六歩(57)
16 4三銀(32)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 9六歩(97)
20 9二香(91)
21 3六歩(37)
22 9一玉(82)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 4六銀(57)
26 3二飛(42)
27 3五歩(36)
28 7二金(61)
29 3四歩(35)
30 同 銀(43)
31 3五歩打
32 4三銀(34)
33 3七銀(46)
34 3四歩打
35 3六銀(37)
36 3五歩(34)
37 同 銀(36)
38 4五歩(44)
39 3三角成(88)
40 同 飛(32)
41 3六歩打
42 6四角打
43 5五角打
44 同 角(64)
45 同 歩(56)
46 6四角打
47 7七角打
48 3四歩打
49 2六銀(35)
50 5四歩(53)
51 3七銀(26)
52 3五歩(34)
53 同 歩(36)
54 同 飛(33)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 同 飛(28)
58 3三桂(21)
59 3四歩打
60 同 飛(35)
61 2二飛成(24)
62 3八歩打
63 2四歩打
64 2五桂(33)
65 2六銀(37)
66 3九歩成(38)
67 2三歩成(24)
68 3二歩打
69 1一龍(22)
70 3八飛成(34)
71 2五銀(26)
72 2九と(39)
73 2四と(23)
74 1九と(29)
75 3四と(24)
76 同 銀(43)
77 同 銀(25)
78 5六香打
79 5九香打
80 4六歩(45)
81 同 歩(47)
82 4七歩打
83 9五桂打
84 8二銀(71)
85 4七金(58)
86 5九香成(56)
87 同 金(69)
88 4七龍(38)
89 6五香打
90 5六香打
91 6四香(65)
92 5九香成(56)
93 同 銀(68)
94 6五桂打
95 6八銀打
96 5六金打
97 6九角打
98 3八龍(47)
99 8五香打
100 6四歩(63)
101 8三桂(95)
102 同 金(72)
103 同 香成(85)
104 同 銀(82)
105 9五角(77)
106 8四歩打
107 7一金打
108 8二金打
109 6一龍(11)
110 5七香打
111 3九歩打
112 2八龍(38)
113 3六角(69)
114 5九香成(57)
115 5四角(36)
116 7二香打
117 5二龍(61)
118 5八龍(28)
119 8八玉(78)
120 6七金(56)
121 9七玉(88)
122 6八金(67)
123 6一龍(52)
124 8五桂打
125 8六玉(97)
126 7七桂成(65)
127 8四角(95)
128 6二銀打
129 同 龍(61)
130 6七龍(58)
131 7七桂(89)
132 同 桂成(85)
133 投了
まで132手で後手の勝ち



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20160123今日の一手<その252>; 堂々と受ける

2016-01-23 | 今日の一手
20160123今日の一手

11月29日の名南将棋大会からIさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありませんが、先手だけ馬を作っているので少し得です。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は63馬1枚。
後手の攻め駒は55銀1枚。
総合すれば互角かやや後手が指せる局面です。

大局観として
後手がやや指せるというのは、玉が堅いことと64角と84飛はすぐに攻め駒になりそうなので3枚の攻め駒になるということからです。
ここで先手も攻め合いにして駒を渡すと後手の攻撃力が増すので危険です。後手玉が堅いのであまり有効な攻めがないのです。
ということは馬を作ったのですし、受けに回ってしまうのが正しいでしょう。後手の攻め駒を増やさないように、かつ馬を使える展開を目指します。


× 実戦は25歩でした。攻めるならここからですが

25同歩同桂56銀64馬

勢いで駒を取り合いましたが馬が消えてはうまくはないです。64同飛56歩76歩68銀86歩同歩87歩

後手からだけ好調な攻めが続きます。87同金66歩同歩38角

駒損はしていないのですが、馬を作られ後手有利の局面が続きます。順当に押し切られました。後手は25桂を取って攻め駒がふやせるのも大きなことで、つまりは桂馬を渡す25歩は疑問手だということです。

途中の64馬は指しすぎですが、56同歩としたら

46角88玉25桂と補充。

25同銀24歩16銀64桂

68桂76歩同桂同桂同銀64桂

桂馬を使う攻めが厳しいのです。頑張って75銀とかわすと76桂77玉57角成

76玉74歩

75銀が移動すると66金で詰んでしまいます。これは一変化ですが、4枚目の攻め駒を渡してはいけません。


△ 桂馬を渡さないように35歩のほうがましです。

56銀同歩46角88玉

76歩同銀86歩同歩同飛87銀打

これくらいなら戦えます。


× 45歩も攻める手ですが

45同歩の時45同桂では

あとで桂馬を渡すことになるのでまずいというのは25歩と同じです。45桂ではない手を指せますが、1歩渡しているのはマイナスです。


× 46角が嫌だからと49飛は

56銀同歩58金

58金では27金というのも嫌な筋です。47飛57金同飛46角

これも困ります。


× 結局は受けるほうがいいのですが、64馬は同銀で

銀は引かせても7筋に手が付いていますし、後手から38角で馬を作られる手もあります。


○ 受けるなら75歩が自然です。

56銀同歩86歩同歩46角

88玉76歩同銀86飛87銀打

前の35歩より1歩得で、後手の持ち歩が少ないので受けるならこちらのほうがいいでしょう。
82飛に74歩86歩98銀でどうか。

後手が歩切れなので87金と打ち込まれるのはまだ怖くないです。73歩成が実現すれば先手がよくなります。

74歩で普通は86歩なのですが52金96馬25歩

これが嫌な筋で、84桂を狙われます。(前の35歩なら36馬と引けるので84桂はないのですが。)


△ 同じようでも55金と取ると

55同角75歩46角88玉55角

歩の位置が違うので55角があります。これは案外うるさくて、77桂なら86歩同歩同飛87銀打76飛

後手玉が堅いので強攻されます。76同銀86金には56飛くらいか。

76金同飛(55飛には86歩)54銀と角にひもを付けて

96馬でも85銀

馬はどこに逃げても85銀から76歩の筋があります。受けにくい上に一つ間違えれば敗勢になりますね。55角に98玉は25歩から桂馬を手に入れて86歩同歩94桂の筋があり、77銀と打っても64桂の筋はあります。うまく受けてやっと互角なので55角と指せないように後手から金を取らせる方が正しいようです。


先手のMさんは攻め将棋なので、受けても面倒だと攻め合いの25歩を選ぶのはよくわかります。でも攻めるのが狙いなら馬を作らないですぐに25歩と行くほうがいいでしょう。方針が分裂してしまいました。
相手の攻め駒のそばに馬を作ったのなら攻めをけん制できるのですから、動いて来たら相手をして受けるべきです。
受けるなら堂々と75同歩が一番有力で、35歩も候補になります。後手からは76歩同銀75歩という筋もある(同銀同角73馬があるので大きな手ではないが、実戦で64馬としたのはこの筋が嫌に見えたためか)ので、75同歩が自然な手に見えます。74歩と突きだすのが楽しみです。


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