大山将棋研究（787）；中飛車に加藤流袖飛車急戦（前田祐司）

今日の棋譜20180206
昭和59年10月、前田祐司先生と第45期棋聖戦です。前局と間があいたのは最初のガンの手術だったはず。この年の順位戦は休場です。

大山先生の中飛車に前田先生が46歩を突くのは

加藤流の袖飛車急戦です。大山先生は42金～53金の対策。入院している時に考えていたのでしょう。

金を移動した後なので飛車には飛車で対抗できます。

前田先生は飛車交換を避けたのですが、飛車を交換して45歩あるいは37桂～45桂というのも考えられるところです。

34歩のあわせには2筋に飛車をまわって45歩、

右桂を跳ねてまずまずと言いたいのですが、53金の守備力があるので攻めが軽すぎる感じです。

中央に手を広げましたが飛車をまわられました。自然なのは46銀か56銀ですが、55歩同銀45歩というのが自信なし。すでに後手よしかもしれません。

44歩から攻めを続けますが、角を出ても追われてしまい

角交換には応じられず、これでは攻め駒が機能していません。

互いに角を違う筋に向けるのですが

22歩が利いて前田先生が棋勢を取り戻しました。

銀を捨てても桂

香をとればまずまずです。さてここが問題で、16飛14歩を利かせることができます。ならば54歩と突きだせば54同金に46桂が生じます。あるいは75歩65銀77桂打とか。前田先生としては考えどころですが

77角と引いて65銀、これで動きにくくなってしまいました。

銀は殺しましたが今一つ。

大山先生は桂頭を攻めます。前田先生は16歩を利かせたいですし、25桂と逃げておくか、33歩と叩いてからか。

あっさり56金から玉頭を目指したのですが

たいした手がなくて早めの投了図。

おそらく大山先生の病み上がりをおもんばかって、前田先生は早指しであっさり負けたのでしょう。
対中飛車加藤流の急戦はかなり優秀なのですが、42金のまま45歩とさばくとか、本譜のように53金と使うというのがかなり有力な対抗策です。飛角桂だけで手が作れないと戦力が足りなくなります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割：平手　　
先手：前田祐司6段
後手：大山十五世名人
手数----指手--
1 ２六歩(27)
2 ３四歩(33)
3 ７六歩(77)
4 ４四歩(43)
5 ４八銀(39)
6 ４二銀(31)
7 ５六歩(57)
8 ５二飛(82)
9 ６八玉(59)
10 ６二玉(51)
11 ７八玉(68)
12 ７二玉(62)
13 ５八金(49)
14 ５四歩(53)
15 ６八銀(79)
16 ８二玉(72)
17 ９六歩(97)
18 ９四歩(93)
19 ５七銀(48)
20 ７二銀(71)
21 ３六歩(37)
22 ４三銀(42)
23 ２五歩(26)
24 ３三角(22)
25 ４六歩(47)
26 ４二金(41)
27 ３八飛(28)
28 ５三金(42)
29 ３五歩(36)
30 同　歩(34)
31 同　飛(38)
32 ３二飛(52)
33 ３六飛(35)
34 ２二角(33)
35 ３五歩打
36 ３四歩打
37 ２四歩(25)
38 同　歩(23)
39 ２六飛(36)
40 ３三角(22)
41 ４五歩(46)
42 ３五歩(34)
43 ３七桂(29)
44 ３四銀(43)
45 ５五歩(56)
46 ５二飛(32)
47 ４四歩(45)
48 ５五歩(54)
49 同　角(88)
50 ４四金(53)
51 ７七角(55)
52 ４三金(44)
53 ６六銀(57)
54 ６四歩(63)
55 ５五歩打
56 ２五歩(24)
57 ４六飛(26)
58 ４四歩打
59 ８六角(77)
60 １五角(33)
61 ４七金(58)
62 ６三銀(72)
63 ７五銀(66)
64 ６二飛(52)
65 ２二歩打
66 ７四歩(73)
67 同　銀(75)
68 同　銀(63)
69 ２一歩成(22)
70 ７三歩打
71 １一と(21)
72 ７二金(61)
73 ７七角(86)
74 ６五銀(74)
75 ５九香打
76 ５三歩打
77 ７五歩(76)
78 ３二飛(62)
79 ５七桂打
80 ３六歩(35)
81 同　飛(46)
82 ３五銀(34)
83 ８六飛(36)
84 ３六歩打
85 ６五桂(57)
86 同　歩(64)
87 ５六金(47)
88 ３七角成(15)
89 ６五金(56)
90 １九馬(37)
91 ７四歩(75)
92 同　歩(73)
93 ７三歩打
94 同　桂(81)
95 ７四金(65)
96 ６二桂打
97 投了
まで96手で後手の勝ち