『わが心、高原にあり』野里 征彦著
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災を大船渡で経験したあと山中で自殺を図ったものの、不様に転げ落ちて負傷した僕(新沼久男)は、通りかかった老人(耕さん)に助けられ手当てを受けて共に暮らすようになり徐々に生きる術を見出していきます。
山での暮らしは自給自足で昔ながらの慎ましい暮らしではありますが、心豊かなものでした。 過疎となっている気仙の住田にある耕さんの家での出会いはとても貴重なもので、何が大切なのか・・・考えさせられるわぁ~~~
話の中には国への辛辣な言葉が端々に出てきて、筆者自らも被災者であるからこその本音のようなものが見え隠れしていました。
日本は「山国」、山の樹々を大切にすることで災害を防ぎ、水を蓄え洪水を防ぎ、水をきれいに酸素をつくる。 そして生き物たちの住処となるのですね。 ところが近頃は地球温暖化、山崩れに大洪水、住宅街に出没するようになった生き物たち、と自然を蔑ろにしてきた私たちに思い知らされている気がします。 「そろそろ気付きなさいよ、大変なことにならないうちに・・・」と言われているような気になります。
「種山高原」で耕さん、娘の佳乃、佳乃の息子・圭祐と「スターウォッチング」に出かけ、草原で「鹿踊り」の輪をつくる姿が浮かんでいました。