tyakoの茶の湯往来

日常生活の中から茶道の事を中心に、花の事、旅の事、そして、本や写真の事など、気ままに書いて見ようと思ってます。

初風炉の茶事~続き3~

2011-05-05 17:34:06 | 茶の湯
お茶事もそろそろお仕舞いに近づいて来ました。

亭主は頃合いを見計らって小吸物碗を運び出します。小吸物碗は少量の季節の物を碗に入れ客に差し上げますが、頂く側の客は何が入っているのか碗の中を探ります。この時、箸が綺麗に洗えるので、「箸洗」とも云われております。



小吸物を吸いきる頃を見計らって、海の物と山の物を盛り込んだ八寸を持ち出します。

昔からお客様をもてなすのに「山海の珍味を出す」と表現いたしますが、その名残というものかも知れません。今回はそれ程珍しいものは盛ってありませんでしたが、実際、珍しいものが盛られているをよく見かけます。



八寸を持ち出して再びお酒を勧めますが、ここで初めて亭主と客とが盃のやり取りを行います。これを「千鳥の盃」といいます。

「千鳥の盃」が終ると、湯斗と香物に湯の子掬いを添えて持ち出します。
湯斗の中には、おこげが入っております。「皆さんのために炊いたご飯を最後まで召し上がっていただきました。」こんな気持ちが込められております。



湯の子掬いでおこげを碗に取り、お湯を注ぎ、たくわんで飯碗・汁碗と清めて行きます。これは禅寺の食事の作法そのものです。
利休さんが食事に作法を取り入れた意味を私達はよく考えて見なくては成りません。
それぞれの食器が清め終わったら、正客の合図で箸を折敷の中に落とします。この音が「終りました」の合図です。

長い食事がようやく終りました。

正午から始めてすでに3時を過ぎております。もう足も限界です。
でも、これからお炭手前・そしてお菓子を頂き、仲立の後、濃茶・薄茶と頂きますのでまだまだ時間がかかります。

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初風炉の茶事 ~続き~2

2011-05-04 15:43:55 | 茶の湯
初風炉の茶事続編です。

前回飯器まで出しましたので、煮物碗から運び出して行きます。煮物碗は茶懐石の主役ともいえる料理で、料理を作る人の最も力が入るところだそうです。



亭主が運び出し終えると、「お熱いうちにどうぞ」と挨拶をします。
一同一斉にお碗の蓋を取りお碗の中の景色を拝見し箸をつけます。この煮物碗は一見地味に見えますが、鯛を道明寺粉と桜の葉に包み蒸しあげたものに、コゴミが添えられたお碗で、口に入れると鯛の味が口いっぱいに広がりとても美味しい料理でした。

続いて焼き物が運びだされます。
魚は「鰆の幽庵」で、一切れずつ取り分けて器は末客まで送られます。



再び「飯器」が持ち出されますが、今回はご飯がいっぱい盛られております。
最初に出された「一文字のご飯」は、炊き上がって直ぐのものを、釜の端をすくいあげたものでグシャとしたご飯です。(あなたのために炊いたご飯です。を無言で現しております)

持ち出されたご飯は、炊き上がりから時間が経っているので一番美味しいところですので、たくさん食べて頂く為に十分過ぎるほど盛って出します。客は好きなだけ取り回していただきます。

ご飯を取り回していると、亭主が「強肴」又は(進肴」「預け鉢とも云う)を持ち出します。



強肴は旬の食材を炊き合わせた煮物で、今回は、若筍煮にわかめと木の芽が盛ってあります。
写真を見ると分かると思いますが、鉢に添えてある箸が節のところで切ってありますが、「元節」といって、この箸が器に添えられてきたら、「料理はこれでおしまいです」のサインです。

茶懐石は一汁三菜が基本で、すでに全部出し終わっておりますが、最後の煮物は亭主の心入れとも言うべきもので、もてなしの心の現われです。

すでに2時間は過ぎておりますが、初風炉の茶事はまだ続きます。




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大型連休だというのに

2011-05-03 15:02:07 | 日常雑感
暦どおりの人でも今日はお休み。なのに何処へも行かずにいる方に、里山の綺麗な桜というより、孤高の美しさを感じさせる桜を紹介いたします。



この桜は「水中のしだれ桜」で、樹高22m・幹周4m・樹冠12m・樹齢250年といわれております。誰が植えたものなのかも解らず、歳月を重ねること250年、畑の中に威風堂々とそびえ立っておりました。



「黒部のエドヒガン桜」で、樹高13m・幹周7m・樹冠15m・樹齢500年といわれております。この桜も畑の中に菜の花を従えるように、「一人悠然と」と云うに値する堂々たる桜でした。菜の花と桜のベストマッチでありました。



「坪井のしだれ桜」で、樹高10m・幹周8m・樹冠16m・樹齢600年といわれております。

この桜だけは畑ではなく、お墓の桜でした。この大きな桜の幹を囲むように墓石が無造作に建てられており、また違った存在感がありました。
綺麗な桜の下で眠りたいという願望がそうさせたのでしょうか。写真を撮りながら、西行法師の『願はくは花のもとにて春死なむ その如月(きさらぎ)の望月の頃』が頭の中をよぎり、「きっと西行法師にあこがれていた人」が願って植えさせたのだろうと思いました。

如月の望月とは2月15日でお釈迦の命日のことです。実際西行法師が、死へ旅立ったのは2月16日でお釈迦様の後を一日遅れてついて行ったという凄いお方です。

初風呂の茶事は後日に
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初風炉の茶事~続き~1

2011-05-01 19:04:36 | 茶の湯
お茶事では、四つ碗の蓋を同時に取り、合わせて折敷の隣に置きます。そして、味噌汁や一文字のご飯を頂いていると、亭主が燗鍋と引盃を持ち出し酒を勧めてくれます。


これでお造りがやっと食べたれます。

盃台から引盃を取るのにも約束があります。覚えて置くと「イザ」という時に役に立ちます。

正客からお酒を注ぎながら一巡すると亭主は退席して、今度は、飯器にご飯をたくさん入れて持って来ます。客はそのご飯を均等に自分の飯碗に取ります。



紛らわしいのは、料理屋さんの看板にある「会席料理」と「懐石料理」との違いです。

遥か昔、禅寺の修行僧たちはお腹が空くと石を温めて、これを布に包んで懐に入れて空腹をしのいだと云われております。(これを温石というそうです)利休さんがこの事をヒントに茶懐石料理として確立て以来、その作法は今も変わること無く連綿と続いております。

茶席で出す「懐石料理」は一時の空腹しのぎの軽い料理で、お茶を美味しく頂くための腹慣らしといった程度であり、または、お客様に「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに」という、おもてなしの心を料理に込めてそう呼んだという説もあります。

お茶事はまだまだ続きます。
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