
駅舎はなんかJRの貨物車両を改造したものと思われる可愛くて小さな駅舎です。ホームも一本だけ。列車の入れ替えはありませんからそれでいいんです。ちょっとわびしい小さなローカル線の駅なんです。
JR会津坂本駅といううんです。

駅前通りは静かで平和です。

「可愛いワンちゃんみたいなニャンコちゃんですね」とワンちゃんもニャンコちゃんも大好きな私が声をかけると、「おかしな爺いがカメラ持ってキョロキョロしてるよ。怖いね」と可愛いニャンコちゃんをしっかり抱いたおばさんが急ぎ足で通り過ぎて行きました。集落のおばさんはよそ者を厳しく警戒なさっていました。ごめんなさい。

この駅のある集落は朝立ち区という40戸ほどの集落なんですね。

朝立ち区って、私はなんだか「朝早く遠い旅への出発するところ」そんな思いを持ちました。
そうです、ここは奥会津への入口の場所なんですよね。

この集落の近くで道は越後街道(49号線)から別れて奥会津への道沼田街道(国道401号線)になるんです。
今は国道401号線沼田街道は立派なトンネル・スノーシェット・橋梁のある国道で冬期も除雪車で除雪がしっかりなされ通常は少々の豪雪でも車の通行が途絶することはありません。
でも、70年ほど昔は大変な道でした。トンネルやスノーシェットなどはありませんし険しいへつりや峠道のある曲がりくねった細い砂利道でした。冬期は除雪などされませんからわら靴をはいて(わら靴は滑らないし雪道でもぬからないんです。ゴム長靴、ましてや皮靴などでは雪道の歩きは滑ってぬかって歩くのが困難です)歩きました。いまでは私の古里只見から昔駅のあった宮下まで冬の豪雪でも車で1時間30分もかかりませんけど、当時の冬は途中一泊して二日がかりの道でした。夏でも満員で押すな押なの小さなボンネットバスで半日5時間近くかかりました。
わたしは子どもの頃学校が冬休みや春休みになるとこの沼田街道の雪道を歩って家に帰り、休みが終わるとあるって学校に帰らなければなりませんでした。細い雪道を一歩一歩歩くんです。途中怖い場所、難所がいくつもあるんです。冬の表層雪崩や、春の残雪の底雪崩が怖かったり、急な斜面の雪道を踏み外せば激しい流れの只見川に落ちてしまうへつり道をしっかり踏みしめて歩かなければならないところなどがいく箇所もあったんです。だから今、車やJRで通る沼田街道の道々には懐かしい思い出でがいっぱいあるんです。
かつて古い時代には沼田街道は朝立ちから宮下・川口・只見・を通り檜枝岐村から標高1770mの険しい沼山峠を越えて標高1660mの尾瀬沼を通って群馬県の沼田へ達する道で奥会津から上州への大事な交流の道だったといわれております。
でも今は、私の子どもの頃、夢のまた夢だったJRは途中代行バスの乗り換えもありますけど会津若松から奥会津を通って新潟県の小出までゆけるようになりました。
豪雪の只見川沿線の冬も趣がありますし。春のブナの若葉も美しいですし、秋の紅葉も絶景です。このローカル会津只見線の旅をほっとくことなど出来ません。残る命がどれだけあるかは分かりませんけど、私は一週間に一度ずつこのローカル線のポイントを尋ねて少なくても小出までの旅は全うしたいと思っています。
楽しい夢の旅を楽しめる上りの列車が坂本駅に着きました。

下りの列車が警笛を鳴らして坂本駅に向かってきていました。

昨日の坂本駅の2時間30分いろんな思いを追っての充実した時を持ちました。そしてこれからの楽しい夢が広がりました。嬉しかったんです。