嗚呼、いつの間にか7月だ。今年がもう半分過ぎてしまった。
「武士道無惨伝」(平田弘史)という漫画を読んだ。以前、プレゼントされた「切腹」や「白虎隊」に関係する書籍のうちの一冊だ(一覧はこちら⇒)。著者平田弘史については説明する必要もないと思う。本物の戦国時代・江戸時代はこんなんだったんじゃないだろうか、と思えるほど実写時代劇よりも重厚で迫力のある絵を描く御仁。
このハードカバーの本の表紙には上半身もろ肌脱ぎになった壮年の武士が両手で掴んだ大刀で立腹を切っている姿が描かれている(凄い表紙^^;)。
9話の短編が収録されており、どの話も武士の生きざま(というか死にざま)の凄まじさを感じさせる。そして必ずと言っていいほど腹を切る場面がある。少年が切腹する場面のある話も3話あるが、その中の一つのあらすじを紹介する。
「悲愴の父」
病床の若君鶴千代の傍に仕える市之丞は、「若君が他界あそばされたならば追い腹を切る覚悟」と父新九郎に告げる。新九郎は一計を案じ、市之丞が心労から発狂したことにして、抵抗する息子を無理矢理座敷牢に閉じ込める。
「市之丞、発狂」の報告に不審を抱いた家老松倉民部は、篠宮小四郎に確かめてくるように命じる。切れ者の小四郎は新九郎の嘘を即刻見抜き、新九郎は老いてから授かった一粒だねを失いたくないと白状する。小四郎は新九郎に同情し、市之丞は確かに発狂していたと報告。さらに、鶴千代が十四歳の若さで他界すると、「追い腹無用である」と藩主右京太夫に宣言させる。
しかしそれを快く思わない家老松倉民部はその触れを握り潰す。そのせいで追い腹を切る者が出てしまう。小四郎は自ら馬を走らせて「追い腹無用!」と各家を触れて回るが、臆病者呼ばわりされるばかりで追い腹を切る者が続出。鶴千代に仕えた息子に無理矢理腹を切らせる父親まで現れる。
そんな中、市之丞発狂は嘘ではないかと新九郎への風当たりは強くなる。新九郎は小四郎に伴われて藩主右京太夫に全てを打ち明けるが、右京太夫は新九郎を責めることはなかった。新九郎が家に帰ると市之丞が座敷牢を抜け出し刀を振り回す騒ぎを起こしていた。「市之丞発狂は真であった」という噂が広まり、新九郎を責める者はいなくなる。
追い腹騒動は鎮静化し、新九郎、市之丞父子に静かな日々が訪れたのだが…、市之丞はいつか鶴千代が来てくれると信じ庭を掃き続ける。
物語はまさに“無惨”といった感じだ。市之丞は鶴千代に会えぬ苦しみにとうとう精神を病んでしまった。
この話には前髪を落とす前の少年の切腹が二場面描かれている。この少年の髪型は角前髪と呼ばれるものなんだろうか?この髪形の生首というのは、すぐに「=少年」と断定できるだけに凄惨さを増幅させる。
介錯を受けて転がる小さな首や、倒れた華奢な体が何とも言えず萌える。
※戴いた切腹・白虎隊関係の書籍の一覧を掲載した記事「切腹100年史」は、☆プロフィールのカテゴリーに移動しました。
「武士道無惨伝」(平田弘史)という漫画を読んだ。以前、プレゼントされた「切腹」や「白虎隊」に関係する書籍のうちの一冊だ(一覧はこちら⇒)。著者平田弘史については説明する必要もないと思う。本物の戦国時代・江戸時代はこんなんだったんじゃないだろうか、と思えるほど実写時代劇よりも重厚で迫力のある絵を描く御仁。
このハードカバーの本の表紙には上半身もろ肌脱ぎになった壮年の武士が両手で掴んだ大刀で立腹を切っている姿が描かれている(凄い表紙^^;)。
9話の短編が収録されており、どの話も武士の生きざま(というか死にざま)の凄まじさを感じさせる。そして必ずと言っていいほど腹を切る場面がある。少年が切腹する場面のある話も3話あるが、その中の一つのあらすじを紹介する。
「悲愴の父」
病床の若君鶴千代の傍に仕える市之丞は、「若君が他界あそばされたならば追い腹を切る覚悟」と父新九郎に告げる。新九郎は一計を案じ、市之丞が心労から発狂したことにして、抵抗する息子を無理矢理座敷牢に閉じ込める。
「市之丞、発狂」の報告に不審を抱いた家老松倉民部は、篠宮小四郎に確かめてくるように命じる。切れ者の小四郎は新九郎の嘘を即刻見抜き、新九郎は老いてから授かった一粒だねを失いたくないと白状する。小四郎は新九郎に同情し、市之丞は確かに発狂していたと報告。さらに、鶴千代が十四歳の若さで他界すると、「追い腹無用である」と藩主右京太夫に宣言させる。
しかしそれを快く思わない家老松倉民部はその触れを握り潰す。そのせいで追い腹を切る者が出てしまう。小四郎は自ら馬を走らせて「追い腹無用!」と各家を触れて回るが、臆病者呼ばわりされるばかりで追い腹を切る者が続出。鶴千代に仕えた息子に無理矢理腹を切らせる父親まで現れる。
そんな中、市之丞発狂は嘘ではないかと新九郎への風当たりは強くなる。新九郎は小四郎に伴われて藩主右京太夫に全てを打ち明けるが、右京太夫は新九郎を責めることはなかった。新九郎が家に帰ると市之丞が座敷牢を抜け出し刀を振り回す騒ぎを起こしていた。「市之丞発狂は真であった」という噂が広まり、新九郎を責める者はいなくなる。
追い腹騒動は鎮静化し、新九郎、市之丞父子に静かな日々が訪れたのだが…、市之丞はいつか鶴千代が来てくれると信じ庭を掃き続ける。
物語はまさに“無惨”といった感じだ。市之丞は鶴千代に会えぬ苦しみにとうとう精神を病んでしまった。
この話には前髪を落とす前の少年の切腹が二場面描かれている。この少年の髪型は角前髪と呼ばれるものなんだろうか?この髪形の生首というのは、すぐに「=少年」と断定できるだけに凄惨さを増幅させる。
介錯を受けて転がる小さな首や、倒れた華奢な体が何とも言えず萌える。
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