ここのところ期末で色々と忙しく、週末は家に籠って仕事の資料を作ったり、少し息抜きに山陰に蟹と海老を買い出しに行ってみたりという休みが続いていた。
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先週末は、金曜日の午後から家を出て島根半島に行っても、風が強くて漕ぐことができず、

海沿いではキャンプもできないので、前から目をつけていた場所に移動し、

久しぶりに外での晩御飯を楽しみ、

朝食時も股火鉢状態のヒーターが大活躍。

結局、境港でカニと海老を買い出して帰り、家で家族とゆっくり楽しんだ。
日曜日は、これまた家に籠って資料作り。
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今週末は、さすがに仕事も落ち着いたので、日曜日は法事があるものの、車中泊での地元旅を楽しむことにした。
今回は、久しぶりにあるお気に入りのお店を訪ねてみようというプラン。
まずは、いつもの浜へ。

曇りで少し肌寒くはあるが、風もなく波も穏やかで、冬のツーリング日和。
ドライスーツを着て、海に漕ぎ出す。

久しぶりのパドリングの感触。

『ああ、やっぱり海はいいなあ』
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冬の芸予諸島は、海も澄んで快適なツーリング。

自然海岸が続き、箱庭のような景色の中を、独り静かに漕ぎ進む。

今は満潮なので、洞窟も潜れそうである。

幅はシーカヤックがギリギリで、漕ぐことはできないのでグローブをした手で壁を押しながら進む。

時々、カヤックの側面が壁を擦りながらの洞窟潜り。
これも、傷に強いポリ艇ならでは!
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穏やかな海を、ペタリ、ペタリと漕ぎ進む。

今日は岬を越えて、いつもより少し奥へと足を伸ばしてみた。

休憩場所としては、あまり触手が動かないので、Uターン。

様々な表情を見せてくれる海岸の景色を楽しみながらのパドリング。
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今日の休憩場所は、ここに決定!

浜にシーカヤックを引き揚げると、

最初にやることは、ベンチの設定。

大きな切り株の上に、発泡スチロールの蓋をセットして、準備完了。
これがあると無いとでは、浜での快適性が全く違うのである。
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ベンチに腰掛け、海を眺めながら、お弁当を頂いた。

ビールはなくとも、美味しいランチ。
浜にはワカメが流れ着いており、春が近いことを感じさせる。

さあ、戻るとしようか。

今日は、1時間半ほどの、のんびりツーリングを楽しんだ。
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シーカヤックの後は、倉橋の温泉へ。

温泉に浸かり、潮を抜き、体を伸ばし、サウナでたっぷりと汗を流す。
『いやあ、爽快、爽快』
少しだけ、浜を散策。

晴れならば、もっと綺麗な景色が楽しめるのだが、これも冬らしくて悪くはないか。

ここで、お店に電話。 一人で予約も取れて、料理も注文しておいた。
楽しみだなあ。
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生活バスに乗るため、バス停へ。

少し待つと、小さなバスがやってきた。

『このバスは、室尾は行きますか?』 『うん、行くよ』という訳で、バスに乗り込む。

ICカードも使えるようになっている生活バス。
かなり以前はマイクロバスで、運転手さん以外に車掌さんも乗っていたことを思い出す。
その車掌さんは、アジア系外国人の女性であったことも、印象的であった。
時代はだいぶ変わったのだなあ。
車窓から海を眺め、

室尾に到着。
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一本早いバスで来たので、久しぶりに少し町を散策。
まずは、バス停に貼ってある写真を眺める。

大正13年の写真を見ると、室尾には家が犇めき合っている。
『やはり、海路が主流だった昔は、このあたりは賑わっていたんだなあ』
港を歩くと、一隻の船が。

これは、家船の系統じゃあないか!
これまで歩いたことがない路地も、いろいろと歩いてみる。

階段の上にあるお地蔵さん。
春が近いことを感じさせる、梅の花。

メインストリートのY字路。

お寺の門。

屋根の造形。
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狭い町だが、かつてはタバコ屋さんだったお店が多くある。

人が多く住んでいたのだなあ。

手押しポンプも、あちらこちらに残っている。
こんな峠があったとは知らなかった。

登ってみると、

北側には、海が見える。
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島ならではの、狭い路地。

尾道に行かなくても、こんな路地は地元にいくらでもある。
懐かしい、ファンタの広告。

そろそろ、お店に行く時間。
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今日のメインイベントは、ここ『北吉鮮魚店』、通称、北吉さしみ。

以前は時々訪れて、美味しい刺身を頂いたり、持ち帰りしていたのだが、ここ数年訪問するチャンスがなかったのである。
お店に入り、『予約していたシーカッカーです』と言うと、俺を見た奥さんが、『あ、前に来られていましたよね』
『はい、以前は時々お邪魔していました』 『もう数年前ですかねえ。 でもあの頃から変わっていませんね』と、覚えていただいていた様子。
とても嬉しいものである。
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『クルマですか?』 『いいえ、バスです』
『じゃあ、何か飲まれますか?』 『はい、生ビールをお願いします』

まずはビールで独り乾杯!

久しぶりに訪れたお気に入りのお店で、独り静かに飲むビール。
『ああ、これは心に沁みるなあ!』
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まず運ばれてきたのは、湯びき。

これが、スーパーマーケットなどで売られている湯びきとは、全く別物で美味しいのである。
店内に貼ってある、呉でロケされた映画『孤狼の血』のポスターを眺めながら、ビールをグビリ。

どうやら、広島限定のスペシャルチケットがあるようだ。
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いよいよ、メインの刺身!

見よ、この断面の美しさを。
これが美味しくない訳がない。

美味しい刺身をパクリ、冷えた生ビールをグビリ。
『いやあ、幸せやなあ』
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ここで食べる刺身には、地元の甘口醤油が合うのだ。

うちは、ここで倉橋の甘口醤油を知って以来、ずっとこの醤油を使っている。
奥さんが、帰りのバスの時間を調べてきてくださった。

まだまだゆっくり飲めるなあ。
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さらに次のメイン料理。

魚の内臓の煮込み。
これを楽しみに、ここに通ったこともあるほどである。
瓶ビールを飲み、次は地元の三谷春の熱燗をいただいた。

魚のモツ煮込みが、日本酒にぴったりである。
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『ごちそうさまでした。 いくらですか?』
『え、それって間違っていないですよね』 『ええ、合ってますよ』
これだけたっぷりと、美味しい魚料理をいただき、お酒も楽で、この料金! なんとリーズナブルな!!!
『久し振りでしたけど、本当に美味しかったです。 今度は、妻と一緒に来ます』 『はい、待ってますよ』
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北吉鮮魚店を後にし、

バスで戻る。
今日は、車中泊である。
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夜は冷え込むこともなく、快適に眠ることができた。
車内でパンと缶コーヒーで朝食を済ませ、家路に。
途中、音戸大橋のあたりで日が昇ってきた。

ああ、この週末は、シーカヤックを漕ぎ、温泉でのんびりまったりして、島の町を散策し、懐かしいお店でゆっくりと美味しい魚料理とお酒を楽しむことができた。
久し振りに、俺らしい旅が楽しめたなあ!
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生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、来週はどこ行こう?