2008年10月5日(日) 3連休の後半二日を利用して、3週間振りとなるキャンプツーリングに出掛ける事にした。

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朝6時に起床。 シーカヤックは昨日のうちにカートップしてあり、あとは食材を積み込むだけだ。
いつものようにMacBookを立ち上げ、天気予報をチェック。 今日は少し曇りがちではあるが、基本的に今日明日共に天気は良く、風も弱いとの予報。 波の予想も0.5m。 いいじゃん。
だがしかし、家の外からはカラカラ、ビューッという、なんともいやーな音が聞こえてくる。 カーテンを開け、窓を開いて外を見ると、けっこう強い風が吹いている。
PCで目的地付近の風を確認すると、6-9m/sの強風だ。 うーん、これは。。。 天気予報では穏やかなはずなのだが、実際には風が強い日が時々ある。
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様子見モードに切り替え、2時間ほど家で待っていると、風が落ちてきた。 でもPCで確認すると、目的地付近の風はまだ9m/sのまま。 『一応行ってみるよ。 出せそうもなかったら帰ってくるから』と妻に言い、家を出発。
いつもの浜に到着。 だが、やはり風はピューピュー吹いている。 気温も低く、長袖シャツ一枚では肌寒いくらい。
どんよりとした雲と、鉛色の海。 うーん。。。 もうしばらく様子を見てみよう。
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防潮堤に腰掛け、海を眺めていると、向こうから二人連れの方が歩いて来られた。 いつも散歩しておられる、地元の方々である。
立ち上がり、『おはようございます』と挨拶すると、『おはよう。 今日は今から出すん?』と返ってきた。
『ええ、いつものように渡ってキャンプしようと思ってるんですが、風が強くて様子を見てるんですよ』 『おお、今日は予報より風が強いなあ』
その方達も私の横に座られ、しばし歓談。
『今日は、この裏の山にある神社の祭りじゃ』 『そうなんですか。 屋台とか出るんですか?』
『なあに、小さい神社じゃから、掃除して、地元の人が集まって、お祈りをしてもろうて、それだけ』 するともう一人の方が、『じゃが、昔は賑やかじゃったよ。 ここに小屋を立てて、芝居をやりよった』
『芸人さんが来てたんですか?』と私。 すると、『なあに、自分らでやりよったんよ。 鬘をかぶって、化粧も自分らでして。 そうじゃなきゃおもしろうないよ』
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『昔は、一ヶ月くらい前から練習を始めて、地元の上手い人に教えてもらいよった』 『この時期には、あちこちで芝居をやりよったよ。 そして、あそこの芝居が良かった、いやここが一番じゃ、いうて競いよったもんじゃ』
『芝居が上手かったら、他のとこから芝居をやりに来てくれいうて声がかかるんよ』 『それにな、贔屓の人には客から”はな”が出よった。 芝居小屋じゃあ、○○さんから△△さんへ、はなが出ました、いうて、しょっちゅうマイクで放送しよったのう』
『それに昔は、櫂伝馬競漕もやりよった』 思わぬ展開に、『えー、櫂伝馬はここらでもあったんですか!』
『そうよ、昔は港のとこがもっと広かったけえ、あそこで競漕しよったよ』 すると、もう一人の方が、『何年か前まで、たしか小屋に置いてあったよのう』
『櫂伝馬競漕は、大崎上島が有名じゃ言うて聞いとるんですが』と私。 すると、『そりゃあ、大崎上島は本場じゃけえ』
『昔は、大崎上島から櫂伝馬を借りて競漕した事もあったよ』 『櫂伝馬ゆうても作ったら高いけえ、その時は借りたんじゃ』
『その時は、わしが舟を出して借りに行ったんよ。 のう、覚えとろうが』
『いやあ、ここにも櫂伝馬があったんですねえ。 それに芝居のことも面白い。 今日はええ話しを聞かせてもらえて良かったですよ!』
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『じゃあ、もうちょっと様子を見てみます。 フネを出しても、途中で風が強うなったら帰ってきます』
『うん、気をつけての』 『ありがとうございます』
様々な状況を勘案し、直感や嗅覚も含めて、今日はしばらく待てば風が落ちる予感がしている。
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浜に着いてから待つ事2時間。 クルマの中でお昼ご飯を済ませ、12時過ぎにようやく風が落ちてきた。
空も明るくなり、気温も上がって来た。 ようし、これなら行けるぞ!
まさに、”待てば海路の日和あり”

シーカヤックを浜に降ろし、荷物をパッキングして出発準備完了。
今日は大潮。 この辺りは潮流が早くて複雑な上に、船の行き来も多く、漕ぐのに経験が必要な海域である。
今は引き潮。 潮止まりは14時頃。 風や潮流、航路を勘案して、今日のルートを決める。 さあ、出発だ。
周囲をしっかりワッチしながら漕ぎ進む。 まだ下げ潮が残っているので快調に進んで行く。 風も落ち、おだやかな秋の瀬戸内。

途中、渡った島の北岸では、東から抜けて来る風と潮流の影響で、少し荒れている。
横波を受けながら、向かい風の中を、一漕ぎ一漕ぎしっかりとキャッチしながら漕ぎ進む。 こういう時に頼れるパドル、アークティックウインドの本領発揮である。

岬を越え、少し東寄りの風の影響は残っている波の中を南下し、いつもの浜に無事到着。
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フネを引き揚げると、すぐにケータイを取り出し妻に電話。 『2時間待ったら風が落ちたんで、海に出たよ。 今、無事に着いたから』

いつもの眺めだが、やはりすばらしい! ここは、私の一番のお気に入りの島である。 これぞ『しまなみ』

寝転んで空を眺めると、これは羊雲?

さあて、上陸した後はやっぱりこれでしょう! でも今日はエビスでなく発泡酒。
プシュッ。 トクトクトク、シュワワワー。 グビリ、ゴクゴクゴク。 いやあ、たまらんネ!

どんどん晴れ間は広がり、気温も上がって来た。 最高の景色と、冷えたビール(実は発泡酒だけど)。
これ以上なにが要る?
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ベンチに腰掛け、本を開く。 今日は久し振りに、『羊をめぐる冒険(村上春樹)』
この本も、何度読んだ事だろう。 でも、何度読んでもやっぱり良い。
夕方まで、まだまだ時間はある。 のんびりまったり、島時間をたっぷりと堪能するとするか。