2018年、2019年と、2年連続で訪問した想い出深いミャンマーのヤンゴン。
ニュースによると、想像していたよりは街の様子は安定しているようではあるが、それでもこれからどのようになっていくのかを見守りたいと思う。
2回目の訪問で、わずかこの1年で開発も進み、ある意味では残念であったが、発展途上にある新興国のパワーを実感し、街や社会が大きく変わりつつあることを目の当たりにしたヤンゴン。
再び訪問できることを願うばかりである。
*** 以下、2019年8月の投稿を再掲 ***
2019年8月11日(日) 前日夜に広島空港を出発し、東京で一泊して成田空港へ。
今年の夏休みは、昨年初訪問してとても印象的であった『ヤンゴン』を再訪問する旅となった。
アジア最貧国とも言われるミャンマーの最大都市であるヤンゴン。
一歩足を踏み入れた時から、その混沌とした中にも新興国ならではのパワーを感じ、一発で魅入られた街であった。
***
至る所で発生しており、合流や追い越しで常にクラクションが鳴り響く渋滞。
ダウンタウン以外では横断歩道や、ましては信号などはほとんどなく、そして歩行者優先なんて概念はない複数車線道路での命掛けでの横断。
街を走っているタクシーの多くは中古の日本車であり、右側通行なのに右ハンドル車が主流。
一周が20円程と激安の環状線鉄道の傍では、片方はスラム街、もう片方では高層ビルが建築中。
列車内では、子供達が様々な物を売る姿があり、そうかと思えば、綺麗な制服を着た高校生が通学のために乗っているという格差。
踏切の遮断機は人力で動かしているし、工事現場でも重たい建築資材を複数の人がサンダル履きのまま棒で担いで運んでいるという、人力社会。
ダウンタウンの建築現場ではさすがに重機を使っているが、郊外の10階立て高層ビル建築で使っている足場は竹。
美味しいミャンマービールと、シャン麺料理。
→ 昨年は、5日間の滞在で、様々な生活を垣間見る事ができ、生きるということについて改めて考えさせられた旅であった。
***
そのミャンマーだが、俺が旅を終えた翌月から今年の9月まで、特別にビザなし渡航が認められたのである。
せっかくお気に入りとなったヤンゴン。
定点観測のために、再訪してみる事としたのである。
***
今年も荷物はこんな感じ。
バックパックとペリカンケースという、いつもの旅姿。
成田空港から、ANAの直航便があるのが便利である。
スズキは既に進出しており、最近ではトヨタも進出するというニュースが流れるなど、様々な日本企業がミャンマーでビジネスしている影響もあるのか、機内はほぼ満席。
***
ホテルに到着。
昨年もお世話になったホテルである。
部屋は綺麗で、
こんな眺望が楽しめる。
***
部屋に荷物をおくと、早速街へ。
雨季のヤンゴンだが、今日は雨も降っておらず、昨年行けなかったルーフトップバーでまずは一杯楽しむことにする。
サクラタワーにある『ヤンゴンヤンゴン』
ハッピーアワーのチケットを5,000チャット、約350円で購入すると、一杯のドリンクが付いてくる。
もちろん俺は、ミャンマービール。
セキュリティーに聞くと、写真を撮っても構わないというので、ここからの眺望を記念撮影。
有名なマーケットの横では、新たな建築工事が進められている。
ビルとビルとの間からは、古い街並みが見える。
そして黄金色のバヤーも見る事ができた。
『ここは良い場所だなあ!』
***
しばし、英語が話せる若いバーテンダーのお兄さんと四方山話。
『昨年ヤンゴンに来て気に入ったんで、今年も来てみたんだ。 ここも気になっていたんでね。 眺めも良いし来てよかったよ。 今年は雨が多いと聞いていたけどどう?』
『先日も大雨になって、途中で営業が出来なくなって閉店したんだ。 ここは高いから風も強くて』
『それは大変だったね』
『ここは外国人のお客さんが多いの?』
『ええ、外国人の人が多いですよ。 また、このビルは日本人がオーナーで、幾つかの日本企業が入っているから、日本人のお客さんもいますよ』
『なるほど、だからサクラタワーという名前なんだね』
『君はクルマは持っているの?』
『いいえ、残念ながら』
『もし買うとしたらどこのクルマが欲しい?』
『スズキですかね』
やはり日本車は人気のようである。
『もう一杯ビールを注文できるかな』
『5,000チャットで一杯飲むと、もう一杯がフリーで付いてきますよ』
『じゃあ、頼むよ』
というわけで、合計10,000チャット、約700円で生ビールを3杯も楽しむ事ができた。
***
初日の晩御飯は、昨年お気に入りとなったシャンヌードルのお店、アウンミンガラー。
今日はお客さんで満杯である。
なんとかカウンターの席を確保し、美味しい麺料理。
『ごちそうさまでした』
***
2019年8月12日(月) 朝起きると、外は曇り。
今年の旅は、ある使命を担っている。 それは、慰霊。
俺のオフクロのお父さんが、太平洋戦争でビルマに行かされ、そこで亡くなっているのである。
実は先日、戦争中にビルマから、まだ小さかったオフクロ宛に届いたという軍事郵便のハガキも見た。
小さな字で、子供にも読めるようにとの配慮からカタカナで、暑いビルマで頑張っている様子と、遠く離れたまだ5歳くらいの小さな娘への思いをしたためたハガキ。
それを読み、まだ会ったことが無かったのであまり実感が無かった祖父に対する親近感が湧いたのである。
『遠く離れたビルマで、しかも悲惨なインパール作戦で戦死なんて、大変だっただろうなあ』
今年もヤンゴンに行くと聞いたオフクロから、花を買って街のどこでも良いから供えて欲しいとの依頼を受けた。
『じゃあ、せっかくだから日本人墓地に行って、お参りして来るよ。 任せておいて』
昨年も街を歩いたのだが、花を買おうなんて意識がなかったから、どこで花を買えるのか分からない。
昨日も、夕方に街を歩きながら屋台やお店で売っていないか見ていたのだが、残念ながら花を買える屋台は見つからなかった。
じゃあ、昨年気になったマーケットへ行ってみよう!
朝起きると、パンで朝食を済ませ、中央駅へ。
昨年も乗った環状線に乗る予定。
『環状線のチケットをください』
すると窓口の人が、『今は環状線は動いていない』
『イエローラインの往復だけだ』
事情は分からないが、残念ながら一周は出来ないようだが、俺が行きたいマーケットまでは行けそうである。
『じゃあそれで良いのでお願いします』
イエローライン往復でも、一周と同じ200チャット。 激安である。
後日乗ったタクシーの運転手さんによると、環状線は現在改修工事中とのこと。
確かに、途中の駅でも様々な工事が行われていた。
昨年2回も乗ってお気に入りになった環状線。 数年後には、どんな路線に生まれ変わるのであろうか。
***
照明も消された暗い車内。
途中の駅では、3人の子供を連れたお母さんが乗ってくる。
子供達は、それぞれバッテリーを手に乗り込んできた。
ヤンゴンのスラムでは、電気が来ていないので、夜はバッテリーで明かりを灯していると聞いている。
朝にはバッテリーを回収して、再び充電し、再配達するビジネスがあるということなので、おそらくこれがそうなのであろう。
その中の子供の一人が、まだ小学生の低学年くらいの小さな女の子。
その子も一つのバッテリーを持っていたが、それを床に置いてシートに座っていた。
『バタン』という音がしたので顔を上げると、その子のバッテリーが横倒しに!
さすがに女の子も慌ててバッテリーを起こしたのだが、その後の行動が。。。
バッテリー液を補充する栓が緩んでいないか、一つ一つ、その細くて小さな手で、締め直して確かめているのである。
液漏れがないように、というプロとしての意識の高さに驚くとともに、小さな女の子が、こんな意識を持たざるを得ない状況に、改めて胸が締め付けられる想いがした。
***
車内では、様々な食べ物を売りに来る。
ミャンマーの人たちは買い食いが好きなようで、思った以上に売れているのだ。
ダニンゴン駅に到着。
昨年、駅のところで見たマーケットの姿が見当たらないが、列車を降りてみる。
遠くにマーケットのような建物が見えるので、そこに向かうが、途中はこんな凸凹道。
駅構内で開かれていた市場は、どうやらこちらに移動した模様。
ちなみに、下が昨年のダニンゴン駅構内の市場の様子。
一年でだいぶ様子が変わっているなあ。 やっぱり、定点観測は重要である。
***
新しい市場で、こちらが魚や肉を売っているエリア。
野菜や果物を売っているエリア。
とにかく、広い面積に大量の野菜や果物が。。。
ようやく花屋さんを見つけ、菊を購入することができた。
***
再びダニンゴン駅へ。
土砂降りである。
プラットフォームへの移動は、線路から立て掛けられたハシゴを踏み台にして登るという、日本では考えられない対応。
やってきた列車に乗ると、雨なので、開きっぱなしのドアの横に乗っている人は、なんと傘をさしていた。
『いやあ、さすがヤンゴン』
***
お昼ご飯は、ガイドブックに乗っている有名店で、ミャンマーカレーにトライ。
カレーは全ていただいたが、
『うーん、俺はミャンマーカレーはもうこれでいいかな』 ごちそうさまでした。
***
一旦ホテルに戻り、荷物を整理してから、ホテル前に待機しているタクシー乗り場へ。
ミャンマー語も併記してあるガイドブックを指差しながら、『日本人墓地へ行きたいんだけど。 行って、待ってもらって、ホテルへ戻ってくる』
金額を決めて、タクシーに乗り込んだ。
すると、なんとそのタクシーには『ドライブレコーダー』が!
『ヤンゴンで、ドライブレコーダーが付いている車があるなんて驚いたよ』
『街は危ないし、郊外に出るとバイクが危険だからね。 これを付けました』
『ところで、ダッシュボードに敷いてあるマットは何? 昨日空港から乗ったタクシーにもあったんだが』
『ヤンゴンでは春の日差しが強くて、ダッシュボードからの照り返しが酷いんです。 これがないと、暑くて運転していられない』
『なるほど』 納得である。
やがて、日本人墓地に到着。
閑静な場所で、清掃も行き届いている。
オフクロから預かった供え物と、マーケットで購入した花を添えて、お参りさせていただいた。
管理していただいている方が、線香を持ってきていただいたので、心付けを渡し、記帳させていただいた。
『孫の私が母の代理で参りました。 安らかにお休み下さい』
***
タクシーに乗り込み、『ありがとう。 これで、使命を果たせたよ』
それにしても、ドライブレコーダーを搭載するほど安全意識が高いタクシードライバーが居ることには驚いた。
話をしてみると、彼はかつてはバスの運転手もしていた経歴もあり、タクシーを始めてからは外国人のみをお客さんの対象としているとの事。
車内も、シートクロスがオリジナルのものに変えられており、清掃も行き届いているので、彼ならツアーを頼んでも安心そうである。
『明日、チャウタンの水中寺院に行ってみたいんだけど、対応してくれないか』
『チャウタンなら、今からでも行けるよ』
『日本人墓地と合わせていくらになる?』
『OK。 じゃあ、それでお願いするよ』
***
タクシーツアーには興味もあったが、ネットで調べると結構な料金でもあり、交通状況も心配だったので、今回も街中散策と環状線一周を楽しむ予定であったのだが、このタクシードライバーとの出会いにより、急遽予定を変更することにしたのである。
『これも、おじいちゃんがくれた縁であるかもしれないなあ』
初めて向かう、ヤンゴン郊外。
市内では禁止されているバイクが徐々に増えてくる。
バックミラーがないものもあり、3人乗りもよく見かける。
ナンバーが無いものも。
『バイクは免許がいらないんです。 そして、市内に入らないのなら、ナンバーも不要』
『それにしても、これは凄いねえ』
『そう、アブナイ』と、ここは日本語で話すドライバー。
雨季なので、こんな傘が搭載されたバイクもある。
幅は広いが、車線で区切られていないので、本当にカオス状態。
クラクションを駆使しながら追い越しする意思を伝え、街を駆け抜けていく。
***
ようやく、チャウタンの水中寺院に到着。
こちらは、ネイティブ用の渡船。
そして、外国人と僧侶用の渡船。
本当は、俺はネイティブ用の渡船が好いのだが。。。
***
タクシーに戻り、『うん、ここはなかなか良かったよ』
帰路、俺がタウンウオッチングに関心があることを知った彼は、工業団地にも立ち寄ってくれるというサービス。
スズキの工場。
広い工業団地には、他にも様々な日本企業が進出していた。
でも、工業団地のすぐそばには、貧しい家が立ち並んでおり、牛も歩いている。
このコントラストが、新興国。
ドライバーに、『俺は、この道中が最高に興味深いねえ。 旅では、タウンウオッチングや、そこに暮らす人々の生活を感じることが好きなんだよ』
夜のディスコにも興味はなく、帰りの空港までは時間に余裕もあるし街の雰囲気を楽しみたいためバスを使うので、申し訳ないがこのタクシーには乗れないことを伝える。
そんな俺の話を聞いて、彼も『変な日本人観光客だなあ』と思っていることであろう。
郊外ドライブが、望外の面白さだったので、これまた予定に無かった企画を思いつき、『明日、バゴーに行ってみたいんだけど、空いているかな?』と聞くと、
『空いているよ。 10時からでどう?』
『10時からだったら、何時頃ホテルに戻れる?』
『そうね、だいたい17時頃かな』
『じゃあ、それでお願いするよ』
今日の夕食も、アウンミンガラー。
***
2019年8月13日(火) 朝起きると、コンビニに買い出しに行き、
街を歩くと、朝は花を売る屋台も出ていた。
どうやら、朝と夕方とでは、出ている屋台の種類が変わるようだ。
これまた新たな発見。
コーヒーとヨーグルト、そしてパンの朝食。
10時にタクシーに乗り込み、バゴーへ出発。
さて、どんな旅になるのか、楽しみだ!
***
街を抜ける途中、電気自動車を発見。
昨年は赤い車両を見たので、それとは違う車である。
『電気自動車はどうなの?』
『充電施設がないから、家で充電しないといけない。 とても不便だ』
『値段はどう? 高いの、それとも安いの』
『普通のガソリン車と同じくらい』
ということは、中古の電気自動車が輸入されているということなのであろう。
『タクシーにはどうかな?』
すると彼は笑いながら、『無理無理。 いつも充電していないといけない』
***
『ところで、ヤンゴンのタクシーはプロボックスとフィールダーが二大勢力だけど、なぜあなたはフィールダーを選んだの?』
『プロボックスは商用車で、フィールダーは乗用車だから、事故の時の安全性が違うと思って、フィールダーを選んだんだ』
『韓国車や中国車はどう?』
『パトカーは中国車が多いね。 韓国車はバスが多いよ』
『なぜトヨタ車が人気があるの?』
『スペアパーツが豊富で値段も安いんだ。 新品は高いけど、中古部品は安く手に入るよ』
ヤンゴン市内はまだましだが、郊外に出ると凸凹道が多く、また加減速やブレーキの頻度が高いので、様々な部品への負担が大きいのは納得である。
車も決して安い買い物ではないので、部品を交換しながら大事に使い続けて行くのであろう。
***
『サイクロンのNARGISって知っているか?』と彼。
『いや、聞いたことがない』
『2008年のNARGISというサイクロンでは、大きな被害が出た。 その時に、周辺からヤンゴンに多くの人が避難してきて人口が増えたし、その後から渋滞も酷くなってきたんだ』
『へえ、それは知らなかったよ』
その街の状況や変化を知るには、自然災害も含めた様々な歴史を理解しないといけないんだなあ。 納得。
***
ナンバープレートの上に、花や草を飾っている車も時折見かける。
郊外では、昔のバタンコのような3輪トラックも大活躍。
***
バゴーに到着すると、しばし寺院巡り。
幸い天気にも恵まれ、寺院内での静かな時間をゆっくりと堪能することができた。
***
寝仏は、その表情や足裏の装飾が印象的であった。
そして、4面の顔を持つ仏様にも。
***
帰り道は、行きとは別のルートを走ってくれた。
街では多くのバイクが走っており、3人乗りから、スマホを操作しながらのバイク運転、大量の荷物を運ぶバイクなどなど、本当にカオス状態。
それぞれの集落には、驚くほど多くの小規模なガソリンスタンドが存在する。
大きなガソリンスタンドもあるが、ディスペンサーが一つだけの本当に小さなスタンドも多く、一番印象的だったのは大きなガラス容器に入っているガソリンが丸見えなディスペンサーが一基だけの小さなスタンド。
これで商売になるんだなあ!
ガソリンスタンドが減り続ける日本とは、だいぶ様相が異なっている。
ガソリンは、96ロンと92ロンの二種類があるようで、車の給油口には、どちらのガソリンを注ぐのかを示すステッカーを貼ってあるクルマも多く見かけた。
また、軽油も2種類あるようだ。
たまに警察官が立っているので、『あれは何をチェックしているの?』と聞くと、
『ナンバープレート。 ナンバーが付いていない車を取り締まっているんだ』との事。
『スピード違反や、バイクの3人乗りは?』
『それはアブナイけど、取り締まりの対象じゃあない』
市内に入ると、大渋滞。
17時半頃、ようやくホテルに戻ってきた。
彼は名刺をくれ、ここにアドレスもあるから、と教えてくれた。
『二日間安全運転でありがとう。 俺は本当に郊外のドライブを楽しむ事ができたよ。 またヤンゴンに来たら、連絡するから』
***
2019年8月14日(水) 今日は、徒歩で動物園とマーケットの予定。
途中の建築現場の様子。
アパートの横にある電線は、こんなパイプを縛り付けて電線間の距離を確保。
日本の四国からワザワザバスツアー、な訳はなく、中古のバスが活躍している模様。
ミャンマーでも、生物多様性が叫ばれるようになりつつある。
言葉は読めないが、さすがに街中のゴミ問題は議論されつつあるようだ。
でも、昨日乗った列車では、乗客が雨で閉められている窓を開けるので、さすがに蒸し暑いから空気を入れるのかと思いきや、窓からプラスチック袋のゴミを捨てて、窓を閉めていた。。。
ポイ捨ては、列車内でよく見かける日常である。
また、昨年は見かけなかったが、列車内での喫煙も今年は多く見かけた。
それは、一般の乗客だけでなく、最後尾に乗っている車掌さんも、列車の中でタバコを吸い、お茶を飲み、間食をしていたので、これも驚きの光景。。。
5年後、10年後のヤンゴンがどうなっているのか、それはそれで楽しみではあるし、これから変わっていく前の、2018年〜2019年のヤンゴンを訪問できた事をとても嬉しく思っている。
***
動物園に到着。
開園直後なので、静かな雰囲気。
ホワイトタイガー。
東南アジアっぽい、ファニーな雰囲気の水飲み場。
象。
イノシシは、こんなに目の前で見る事ができる。
『おい、低い塀を飛び越えて来るなよ』
カバは、大欠伸。
***
動物園を後にすると、湖のある公園へ。
禁止事項の注意書きが、なかなか興味深い。
平日の朝なので、人も少なく閑静な雰囲気である。
今日は蒸し暑いが、涼しい季節なら散策には良い場所であろう。
ここから歩いてマーケットへと向かう。
ただ、歩道が雨で濡れてとてもスリッピーなので気を使う。
気をつけて歩いていても、時々ツルリ。
倒けはしないものの、危なっかしくて仕方がない。
小学校では、子供達がペットボトルでサッカーを楽しんでいた。
ようやくマーケットに到着し、地元の風景が描かれたハガキや、安いバッグなどのお土産を購入。
後でよく見ると、バッグの装飾の一部が、ミシンの縫い目が外れている。。。
さすがに250円程度のバッグなので、これも良い思い出だなあと笑って済ませ、家に戻ってから縫えばいいかと思ったのだが、さすがヤンゴン品質ではある。
お昼は、KFCで東京ライスボックスをテイクアウトし、ホテルに戻ってからいただいた。
***
夕方には、マッサージへ。
タイ式マッサージが、2時間で10,000チャット、約700円。
激安である。
初めてのタイ式マッサージは、結構タフであった。
アウンミンガラーで軽い夕食を済ませ、ホテルに戻ると寒気がしたので、そのままベッドに潜り込む。
熱があるわけでも、お腹が痛いわけでもなく、これはリンパの流れが活発になった影響であろうと感じる。
実際、朝起きると体は絶好調であった!
***
2019年8月15日(木) やんごん滞在最終日。
いつものようにコンビニに行き、パンとコーヒーを購入。
ヤンゴンで面白いのは、硬貨がないので少額のお釣りが飴で渡されること。
ホテルでテレビを見ていると、料理を作る番組が。
目をつけたのは、調理器具。
なんと、カセットボンベを使うコンロで調理しているようである。
おそらくではあるが、IHヒーターは普及しておらず、ガス配管も整備されていないので、カセットコンロが活躍しているのであろう。
テレビの料理番組一つとっても、その国のエネルギーインフラ状況が垣間見えて興味深い。
また、細かいことだが、卵を割るのにスプーンで叩いていた。
日本では、ボウルの角にぶつけて割ることが多いと思うのだが、それぞれの国でそれぞれのやり方があるのだろう。
いやあ、面白いなあ!
***
昼前には再びマーケットに行き、お土産を買い足す。
1時間ほどチェックアウト時刻を伸ばしてもらったホテルを、午後1時にチェックアウト。
すると、ホテルの前には先日お世話になったタクシーの運転手さんが。
『どこへいくのか?』
『空港へ』
『じゃあ、この前言っていたように、バスで行くんだね』
『うん、そうなんだ。 申し訳ない。 また会えるのを楽しみにしているよ』
ヤンゴン中央駅からバスを捕まえる。
車内は、ネイティブの乗客ばかりで、空港に行く観光客は俺だけである。
道端に座り込み、ティッシュペーパーの箱を売っている人。
1日に何箱売れて、いくらの収入があるのだろうか?
それでも人は、ここで商売し、ここで生きていくのである。
貧富の差は大きく、アジア最貧国と言われる国で、スラムに住んでいる人や、本当にささやかな商売で食べている人も多く見かけるが、屈託がなく明るく前向きに生きている様を目の当たりにし、本当にこの国にはパワーがあることを昨年に続き実感した。
5年後のヤンゴンを、再び見てみたいものである。
***
風の吹くまま気の向くまま、ふらり風来坊の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、次はどこの国で『あるくみるきく』を楽しもうか?
ニュースによると、想像していたよりは街の様子は安定しているようではあるが、それでもこれからどのようになっていくのかを見守りたいと思う。
2回目の訪問で、わずかこの1年で開発も進み、ある意味では残念であったが、発展途上にある新興国のパワーを実感し、街や社会が大きく変わりつつあることを目の当たりにしたヤンゴン。
再び訪問できることを願うばかりである。
*** 以下、2019年8月の投稿を再掲 ***
2019年8月11日(日) 前日夜に広島空港を出発し、東京で一泊して成田空港へ。
今年の夏休みは、昨年初訪問してとても印象的であった『ヤンゴン』を再訪問する旅となった。
アジア最貧国とも言われるミャンマーの最大都市であるヤンゴン。
一歩足を踏み入れた時から、その混沌とした中にも新興国ならではのパワーを感じ、一発で魅入られた街であった。
***
至る所で発生しており、合流や追い越しで常にクラクションが鳴り響く渋滞。
ダウンタウン以外では横断歩道や、ましては信号などはほとんどなく、そして歩行者優先なんて概念はない複数車線道路での命掛けでの横断。
街を走っているタクシーの多くは中古の日本車であり、右側通行なのに右ハンドル車が主流。
一周が20円程と激安の環状線鉄道の傍では、片方はスラム街、もう片方では高層ビルが建築中。
列車内では、子供達が様々な物を売る姿があり、そうかと思えば、綺麗な制服を着た高校生が通学のために乗っているという格差。
踏切の遮断機は人力で動かしているし、工事現場でも重たい建築資材を複数の人がサンダル履きのまま棒で担いで運んでいるという、人力社会。
ダウンタウンの建築現場ではさすがに重機を使っているが、郊外の10階立て高層ビル建築で使っている足場は竹。
美味しいミャンマービールと、シャン麺料理。
→ 昨年は、5日間の滞在で、様々な生活を垣間見る事ができ、生きるということについて改めて考えさせられた旅であった。
***
そのミャンマーだが、俺が旅を終えた翌月から今年の9月まで、特別にビザなし渡航が認められたのである。
せっかくお気に入りとなったヤンゴン。
定点観測のために、再訪してみる事としたのである。
***
今年も荷物はこんな感じ。
バックパックとペリカンケースという、いつもの旅姿。
成田空港から、ANAの直航便があるのが便利である。
スズキは既に進出しており、最近ではトヨタも進出するというニュースが流れるなど、様々な日本企業がミャンマーでビジネスしている影響もあるのか、機内はほぼ満席。
***
ホテルに到着。
昨年もお世話になったホテルである。
部屋は綺麗で、
こんな眺望が楽しめる。
***
部屋に荷物をおくと、早速街へ。
雨季のヤンゴンだが、今日は雨も降っておらず、昨年行けなかったルーフトップバーでまずは一杯楽しむことにする。
サクラタワーにある『ヤンゴンヤンゴン』
ハッピーアワーのチケットを5,000チャット、約350円で購入すると、一杯のドリンクが付いてくる。
もちろん俺は、ミャンマービール。
セキュリティーに聞くと、写真を撮っても構わないというので、ここからの眺望を記念撮影。
有名なマーケットの横では、新たな建築工事が進められている。
ビルとビルとの間からは、古い街並みが見える。
そして黄金色のバヤーも見る事ができた。
『ここは良い場所だなあ!』
***
しばし、英語が話せる若いバーテンダーのお兄さんと四方山話。
『昨年ヤンゴンに来て気に入ったんで、今年も来てみたんだ。 ここも気になっていたんでね。 眺めも良いし来てよかったよ。 今年は雨が多いと聞いていたけどどう?』
『先日も大雨になって、途中で営業が出来なくなって閉店したんだ。 ここは高いから風も強くて』
『それは大変だったね』
『ここは外国人のお客さんが多いの?』
『ええ、外国人の人が多いですよ。 また、このビルは日本人がオーナーで、幾つかの日本企業が入っているから、日本人のお客さんもいますよ』
『なるほど、だからサクラタワーという名前なんだね』
『君はクルマは持っているの?』
『いいえ、残念ながら』
『もし買うとしたらどこのクルマが欲しい?』
『スズキですかね』
やはり日本車は人気のようである。
『もう一杯ビールを注文できるかな』
『5,000チャットで一杯飲むと、もう一杯がフリーで付いてきますよ』
『じゃあ、頼むよ』
というわけで、合計10,000チャット、約700円で生ビールを3杯も楽しむ事ができた。
***
初日の晩御飯は、昨年お気に入りとなったシャンヌードルのお店、アウンミンガラー。
今日はお客さんで満杯である。
なんとかカウンターの席を確保し、美味しい麺料理。
『ごちそうさまでした』
***
2019年8月12日(月) 朝起きると、外は曇り。
今年の旅は、ある使命を担っている。 それは、慰霊。
俺のオフクロのお父さんが、太平洋戦争でビルマに行かされ、そこで亡くなっているのである。
実は先日、戦争中にビルマから、まだ小さかったオフクロ宛に届いたという軍事郵便のハガキも見た。
小さな字で、子供にも読めるようにとの配慮からカタカナで、暑いビルマで頑張っている様子と、遠く離れたまだ5歳くらいの小さな娘への思いをしたためたハガキ。
それを読み、まだ会ったことが無かったのであまり実感が無かった祖父に対する親近感が湧いたのである。
『遠く離れたビルマで、しかも悲惨なインパール作戦で戦死なんて、大変だっただろうなあ』
今年もヤンゴンに行くと聞いたオフクロから、花を買って街のどこでも良いから供えて欲しいとの依頼を受けた。
『じゃあ、せっかくだから日本人墓地に行って、お参りして来るよ。 任せておいて』
昨年も街を歩いたのだが、花を買おうなんて意識がなかったから、どこで花を買えるのか分からない。
昨日も、夕方に街を歩きながら屋台やお店で売っていないか見ていたのだが、残念ながら花を買える屋台は見つからなかった。
じゃあ、昨年気になったマーケットへ行ってみよう!
朝起きると、パンで朝食を済ませ、中央駅へ。
昨年も乗った環状線に乗る予定。
『環状線のチケットをください』
すると窓口の人が、『今は環状線は動いていない』
『イエローラインの往復だけだ』
事情は分からないが、残念ながら一周は出来ないようだが、俺が行きたいマーケットまでは行けそうである。
『じゃあそれで良いのでお願いします』
イエローライン往復でも、一周と同じ200チャット。 激安である。
後日乗ったタクシーの運転手さんによると、環状線は現在改修工事中とのこと。
確かに、途中の駅でも様々な工事が行われていた。
昨年2回も乗ってお気に入りになった環状線。 数年後には、どんな路線に生まれ変わるのであろうか。
***
照明も消された暗い車内。
途中の駅では、3人の子供を連れたお母さんが乗ってくる。
子供達は、それぞれバッテリーを手に乗り込んできた。
ヤンゴンのスラムでは、電気が来ていないので、夜はバッテリーで明かりを灯していると聞いている。
朝にはバッテリーを回収して、再び充電し、再配達するビジネスがあるということなので、おそらくこれがそうなのであろう。
その中の子供の一人が、まだ小学生の低学年くらいの小さな女の子。
その子も一つのバッテリーを持っていたが、それを床に置いてシートに座っていた。
『バタン』という音がしたので顔を上げると、その子のバッテリーが横倒しに!
さすがに女の子も慌ててバッテリーを起こしたのだが、その後の行動が。。。
バッテリー液を補充する栓が緩んでいないか、一つ一つ、その細くて小さな手で、締め直して確かめているのである。
液漏れがないように、というプロとしての意識の高さに驚くとともに、小さな女の子が、こんな意識を持たざるを得ない状況に、改めて胸が締め付けられる想いがした。
***
車内では、様々な食べ物を売りに来る。
ミャンマーの人たちは買い食いが好きなようで、思った以上に売れているのだ。
ダニンゴン駅に到着。
昨年、駅のところで見たマーケットの姿が見当たらないが、列車を降りてみる。
遠くにマーケットのような建物が見えるので、そこに向かうが、途中はこんな凸凹道。
駅構内で開かれていた市場は、どうやらこちらに移動した模様。
ちなみに、下が昨年のダニンゴン駅構内の市場の様子。
一年でだいぶ様子が変わっているなあ。 やっぱり、定点観測は重要である。
***
新しい市場で、こちらが魚や肉を売っているエリア。
野菜や果物を売っているエリア。
とにかく、広い面積に大量の野菜や果物が。。。
ようやく花屋さんを見つけ、菊を購入することができた。
***
再びダニンゴン駅へ。
土砂降りである。
プラットフォームへの移動は、線路から立て掛けられたハシゴを踏み台にして登るという、日本では考えられない対応。
やってきた列車に乗ると、雨なので、開きっぱなしのドアの横に乗っている人は、なんと傘をさしていた。
『いやあ、さすがヤンゴン』
***
お昼ご飯は、ガイドブックに乗っている有名店で、ミャンマーカレーにトライ。
カレーは全ていただいたが、
『うーん、俺はミャンマーカレーはもうこれでいいかな』 ごちそうさまでした。
***
一旦ホテルに戻り、荷物を整理してから、ホテル前に待機しているタクシー乗り場へ。
ミャンマー語も併記してあるガイドブックを指差しながら、『日本人墓地へ行きたいんだけど。 行って、待ってもらって、ホテルへ戻ってくる』
金額を決めて、タクシーに乗り込んだ。
すると、なんとそのタクシーには『ドライブレコーダー』が!
『ヤンゴンで、ドライブレコーダーが付いている車があるなんて驚いたよ』
『街は危ないし、郊外に出るとバイクが危険だからね。 これを付けました』
『ところで、ダッシュボードに敷いてあるマットは何? 昨日空港から乗ったタクシーにもあったんだが』
『ヤンゴンでは春の日差しが強くて、ダッシュボードからの照り返しが酷いんです。 これがないと、暑くて運転していられない』
『なるほど』 納得である。
やがて、日本人墓地に到着。
閑静な場所で、清掃も行き届いている。
オフクロから預かった供え物と、マーケットで購入した花を添えて、お参りさせていただいた。
管理していただいている方が、線香を持ってきていただいたので、心付けを渡し、記帳させていただいた。
『孫の私が母の代理で参りました。 安らかにお休み下さい』
***
タクシーに乗り込み、『ありがとう。 これで、使命を果たせたよ』
それにしても、ドライブレコーダーを搭載するほど安全意識が高いタクシードライバーが居ることには驚いた。
話をしてみると、彼はかつてはバスの運転手もしていた経歴もあり、タクシーを始めてからは外国人のみをお客さんの対象としているとの事。
車内も、シートクロスがオリジナルのものに変えられており、清掃も行き届いているので、彼ならツアーを頼んでも安心そうである。
『明日、チャウタンの水中寺院に行ってみたいんだけど、対応してくれないか』
『チャウタンなら、今からでも行けるよ』
『日本人墓地と合わせていくらになる?』
『OK。 じゃあ、それでお願いするよ』
***
タクシーツアーには興味もあったが、ネットで調べると結構な料金でもあり、交通状況も心配だったので、今回も街中散策と環状線一周を楽しむ予定であったのだが、このタクシードライバーとの出会いにより、急遽予定を変更することにしたのである。
『これも、おじいちゃんがくれた縁であるかもしれないなあ』
初めて向かう、ヤンゴン郊外。
市内では禁止されているバイクが徐々に増えてくる。
バックミラーがないものもあり、3人乗りもよく見かける。
ナンバーが無いものも。
『バイクは免許がいらないんです。 そして、市内に入らないのなら、ナンバーも不要』
『それにしても、これは凄いねえ』
『そう、アブナイ』と、ここは日本語で話すドライバー。
雨季なので、こんな傘が搭載されたバイクもある。
幅は広いが、車線で区切られていないので、本当にカオス状態。
クラクションを駆使しながら追い越しする意思を伝え、街を駆け抜けていく。
***
ようやく、チャウタンの水中寺院に到着。
こちらは、ネイティブ用の渡船。
そして、外国人と僧侶用の渡船。
本当は、俺はネイティブ用の渡船が好いのだが。。。
***
タクシーに戻り、『うん、ここはなかなか良かったよ』
帰路、俺がタウンウオッチングに関心があることを知った彼は、工業団地にも立ち寄ってくれるというサービス。
スズキの工場。
広い工業団地には、他にも様々な日本企業が進出していた。
でも、工業団地のすぐそばには、貧しい家が立ち並んでおり、牛も歩いている。
このコントラストが、新興国。
ドライバーに、『俺は、この道中が最高に興味深いねえ。 旅では、タウンウオッチングや、そこに暮らす人々の生活を感じることが好きなんだよ』
夜のディスコにも興味はなく、帰りの空港までは時間に余裕もあるし街の雰囲気を楽しみたいためバスを使うので、申し訳ないがこのタクシーには乗れないことを伝える。
そんな俺の話を聞いて、彼も『変な日本人観光客だなあ』と思っていることであろう。
郊外ドライブが、望外の面白さだったので、これまた予定に無かった企画を思いつき、『明日、バゴーに行ってみたいんだけど、空いているかな?』と聞くと、
『空いているよ。 10時からでどう?』
『10時からだったら、何時頃ホテルに戻れる?』
『そうね、だいたい17時頃かな』
『じゃあ、それでお願いするよ』
今日の夕食も、アウンミンガラー。
***
2019年8月13日(火) 朝起きると、コンビニに買い出しに行き、
街を歩くと、朝は花を売る屋台も出ていた。
どうやら、朝と夕方とでは、出ている屋台の種類が変わるようだ。
これまた新たな発見。
コーヒーとヨーグルト、そしてパンの朝食。
10時にタクシーに乗り込み、バゴーへ出発。
さて、どんな旅になるのか、楽しみだ!
***
街を抜ける途中、電気自動車を発見。
昨年は赤い車両を見たので、それとは違う車である。
『電気自動車はどうなの?』
『充電施設がないから、家で充電しないといけない。 とても不便だ』
『値段はどう? 高いの、それとも安いの』
『普通のガソリン車と同じくらい』
ということは、中古の電気自動車が輸入されているということなのであろう。
『タクシーにはどうかな?』
すると彼は笑いながら、『無理無理。 いつも充電していないといけない』
***
『ところで、ヤンゴンのタクシーはプロボックスとフィールダーが二大勢力だけど、なぜあなたはフィールダーを選んだの?』
『プロボックスは商用車で、フィールダーは乗用車だから、事故の時の安全性が違うと思って、フィールダーを選んだんだ』
『韓国車や中国車はどう?』
『パトカーは中国車が多いね。 韓国車はバスが多いよ』
『なぜトヨタ車が人気があるの?』
『スペアパーツが豊富で値段も安いんだ。 新品は高いけど、中古部品は安く手に入るよ』
ヤンゴン市内はまだましだが、郊外に出ると凸凹道が多く、また加減速やブレーキの頻度が高いので、様々な部品への負担が大きいのは納得である。
車も決して安い買い物ではないので、部品を交換しながら大事に使い続けて行くのであろう。
***
『サイクロンのNARGISって知っているか?』と彼。
『いや、聞いたことがない』
『2008年のNARGISというサイクロンでは、大きな被害が出た。 その時に、周辺からヤンゴンに多くの人が避難してきて人口が増えたし、その後から渋滞も酷くなってきたんだ』
『へえ、それは知らなかったよ』
その街の状況や変化を知るには、自然災害も含めた様々な歴史を理解しないといけないんだなあ。 納得。
***
ナンバープレートの上に、花や草を飾っている車も時折見かける。
郊外では、昔のバタンコのような3輪トラックも大活躍。
***
バゴーに到着すると、しばし寺院巡り。
幸い天気にも恵まれ、寺院内での静かな時間をゆっくりと堪能することができた。
***
寝仏は、その表情や足裏の装飾が印象的であった。
そして、4面の顔を持つ仏様にも。
***
帰り道は、行きとは別のルートを走ってくれた。
街では多くのバイクが走っており、3人乗りから、スマホを操作しながらのバイク運転、大量の荷物を運ぶバイクなどなど、本当にカオス状態。
それぞれの集落には、驚くほど多くの小規模なガソリンスタンドが存在する。
大きなガソリンスタンドもあるが、ディスペンサーが一つだけの本当に小さなスタンドも多く、一番印象的だったのは大きなガラス容器に入っているガソリンが丸見えなディスペンサーが一基だけの小さなスタンド。
これで商売になるんだなあ!
ガソリンスタンドが減り続ける日本とは、だいぶ様相が異なっている。
ガソリンは、96ロンと92ロンの二種類があるようで、車の給油口には、どちらのガソリンを注ぐのかを示すステッカーを貼ってあるクルマも多く見かけた。
また、軽油も2種類あるようだ。
たまに警察官が立っているので、『あれは何をチェックしているの?』と聞くと、
『ナンバープレート。 ナンバーが付いていない車を取り締まっているんだ』との事。
『スピード違反や、バイクの3人乗りは?』
『それはアブナイけど、取り締まりの対象じゃあない』
市内に入ると、大渋滞。
17時半頃、ようやくホテルに戻ってきた。
彼は名刺をくれ、ここにアドレスもあるから、と教えてくれた。
『二日間安全運転でありがとう。 俺は本当に郊外のドライブを楽しむ事ができたよ。 またヤンゴンに来たら、連絡するから』
***
2019年8月14日(水) 今日は、徒歩で動物園とマーケットの予定。
途中の建築現場の様子。
アパートの横にある電線は、こんなパイプを縛り付けて電線間の距離を確保。
日本の四国からワザワザバスツアー、な訳はなく、中古のバスが活躍している模様。
ミャンマーでも、生物多様性が叫ばれるようになりつつある。
言葉は読めないが、さすがに街中のゴミ問題は議論されつつあるようだ。
でも、昨日乗った列車では、乗客が雨で閉められている窓を開けるので、さすがに蒸し暑いから空気を入れるのかと思いきや、窓からプラスチック袋のゴミを捨てて、窓を閉めていた。。。
ポイ捨ては、列車内でよく見かける日常である。
また、昨年は見かけなかったが、列車内での喫煙も今年は多く見かけた。
それは、一般の乗客だけでなく、最後尾に乗っている車掌さんも、列車の中でタバコを吸い、お茶を飲み、間食をしていたので、これも驚きの光景。。。
5年後、10年後のヤンゴンがどうなっているのか、それはそれで楽しみではあるし、これから変わっていく前の、2018年〜2019年のヤンゴンを訪問できた事をとても嬉しく思っている。
***
動物園に到着。
開園直後なので、静かな雰囲気。
ホワイトタイガー。
東南アジアっぽい、ファニーな雰囲気の水飲み場。
象。
イノシシは、こんなに目の前で見る事ができる。
『おい、低い塀を飛び越えて来るなよ』
カバは、大欠伸。
***
動物園を後にすると、湖のある公園へ。
禁止事項の注意書きが、なかなか興味深い。
平日の朝なので、人も少なく閑静な雰囲気である。
今日は蒸し暑いが、涼しい季節なら散策には良い場所であろう。
ここから歩いてマーケットへと向かう。
ただ、歩道が雨で濡れてとてもスリッピーなので気を使う。
気をつけて歩いていても、時々ツルリ。
倒けはしないものの、危なっかしくて仕方がない。
小学校では、子供達がペットボトルでサッカーを楽しんでいた。
ようやくマーケットに到着し、地元の風景が描かれたハガキや、安いバッグなどのお土産を購入。
後でよく見ると、バッグの装飾の一部が、ミシンの縫い目が外れている。。。
さすがに250円程度のバッグなので、これも良い思い出だなあと笑って済ませ、家に戻ってから縫えばいいかと思ったのだが、さすがヤンゴン品質ではある。
お昼は、KFCで東京ライスボックスをテイクアウトし、ホテルに戻ってからいただいた。
***
夕方には、マッサージへ。
タイ式マッサージが、2時間で10,000チャット、約700円。
激安である。
初めてのタイ式マッサージは、結構タフであった。
アウンミンガラーで軽い夕食を済ませ、ホテルに戻ると寒気がしたので、そのままベッドに潜り込む。
熱があるわけでも、お腹が痛いわけでもなく、これはリンパの流れが活発になった影響であろうと感じる。
実際、朝起きると体は絶好調であった!
***
2019年8月15日(木) やんごん滞在最終日。
いつものようにコンビニに行き、パンとコーヒーを購入。
ヤンゴンで面白いのは、硬貨がないので少額のお釣りが飴で渡されること。
ホテルでテレビを見ていると、料理を作る番組が。
目をつけたのは、調理器具。
なんと、カセットボンベを使うコンロで調理しているようである。
おそらくではあるが、IHヒーターは普及しておらず、ガス配管も整備されていないので、カセットコンロが活躍しているのであろう。
テレビの料理番組一つとっても、その国のエネルギーインフラ状況が垣間見えて興味深い。
また、細かいことだが、卵を割るのにスプーンで叩いていた。
日本では、ボウルの角にぶつけて割ることが多いと思うのだが、それぞれの国でそれぞれのやり方があるのだろう。
いやあ、面白いなあ!
***
昼前には再びマーケットに行き、お土産を買い足す。
1時間ほどチェックアウト時刻を伸ばしてもらったホテルを、午後1時にチェックアウト。
すると、ホテルの前には先日お世話になったタクシーの運転手さんが。
『どこへいくのか?』
『空港へ』
『じゃあ、この前言っていたように、バスで行くんだね』
『うん、そうなんだ。 申し訳ない。 また会えるのを楽しみにしているよ』
ヤンゴン中央駅からバスを捕まえる。
車内は、ネイティブの乗客ばかりで、空港に行く観光客は俺だけである。
道端に座り込み、ティッシュペーパーの箱を売っている人。
1日に何箱売れて、いくらの収入があるのだろうか?
それでも人は、ここで商売し、ここで生きていくのである。
貧富の差は大きく、アジア最貧国と言われる国で、スラムに住んでいる人や、本当にささやかな商売で食べている人も多く見かけるが、屈託がなく明るく前向きに生きている様を目の当たりにし、本当にこの国にはパワーがあることを昨年に続き実感した。
5年後のヤンゴンを、再び見てみたいものである。
***
風の吹くまま気の向くまま、ふらり風来坊の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、次はどこの国で『あるくみるきく』を楽しもうか?
ここ最近で、一番ショックだったのが、ミャンマーに関するニュース。
2018年に初めて訪れ、あまりに印象に残る楽しい旅だったので、翌年2019年にも再訪した、思い出深い国であるミャンマー。
今、ヤンゴンに住む人たちがどのような思いで日々を過ごしているのかは知る由も無いが、政情が安定し、再び訪問できることを願っている。
以下、まずは、2018年の旅の記録を再掲。
*** (2018年8月19日に投稿) ***
今年のお盆休みは、久し振りにバックパック一つを背負い、飛行機と宿だけを確保して、特に予定も決めない旅を楽しむことにした。
行き先は、ヤンゴン。
***
この春には、お盆休みはアジアへの旅をしてみたいと画策を始めていた。
妻には、『また下見の旅をしてくるからね』と、苦笑いしながら許可をいただいている。
ANAの特典チケットを利用しようと、ネットで検索してみるも、タイやベトナム、香港、台湾など、一度は行ってみたいと思っている都市では、さすがにお盆休みだけあり既に特典チケットの予約はできない状態であった。
『どこか空いている路線はないだろうか?』と探していると。。。
『お、まだここはあるじゃん』
出てきたのは、『YANGON』
YANGON/ヤンゴンって、一体どこなんだ?
恥ずかしながら、ヤンゴンと聞いても、どこの国の都市なのか、頭に全く浮かんでこなかったのである。
『まっ、いいか。 どうせ韓国以外では始めてとなるアジア旅。 知らない方が面白いじゃあないか』
というわけで、お盆休みの前後1日づつを家で過ごす休養日として確保し、広島〜成田、成田前泊、成田〜ヤンゴンの航空チケットの予約を『ポチッ』
***
『はてさて、予約はしてみたものの、ヤンゴンってどこの国なんだろう?』
調べてみると、ミャンマーだとの事。
ミャンマーって、アウン=サン=スーチーさんで有名な、元のビルマじゃあないか。
またビルマといえば、オフクロのお父さんが太平洋戦争の時に戦死した場所だとも聞いており、これは何かの縁であろう。
ネット情報では、仏教国であり治安は比較的良い事、昔は豊かだったが以前の政権の鎖国的な政策の影響もあって今ではアジアの最貧国とも言われている事、また政権交代した後は海外からの投資も盛んになって経済が発展しつつある事などの情報を得た。
『うん、これなら安心して旅はできそうだ』
ヤンゴンの街中にある、良さげな中級ホテルも無事に予約でき、これで旅の準備は完了である。
始めてのヤンゴン旅、特に予定も決めない旅になるが、これは楽しみだなあ!
***
2018年8月13日(月) 成田に前泊し、今日の午前中の直行便でヤンゴンに飛ぶ事になる。
今回の荷物はこれ。
機内持ち込みサイズのザック一つと、貴重品を入れたペリカンケース。
これが俺の旅のスタイル。
ヤンゴンは雨季で、毎日雨が降るらしいので、完全防水のペリカンケースが役に立ってくれる事であろう!
11:25発のヤンゴン直行便。
夕方にはヤンゴンに到着である。
機内は9割方埋まっている。
ヤンゴンは、こんなロケーション。
西はインドと、東側は中国やタイと国境を接している。
***
ヤンゴン空港に到着し、無事に入国審査を終え、ドルからチャットに両替してから、タクシーでホテルへと向かう。
タクシー代は事前交渉で、『地球の歩き方』に書いてあった空港から街中へのタクシー代に比べると少し高いが、値切る交渉も面倒なのでそのままタクシーに乗り込んだ。
このタクシーの運転手さんが、英語が話せる人だったようで、『日本から来たのか?』と聞かれたのを切っ掛けに、街までの移動の間、しばし会話を楽しむ。
『ここは日本車が多いね』 『ヤンゴンでは、韓国や中国の自動車もあるけど、日本の自動車が人気です。 トヨタ、日産、本田、マツダ、鈴木』
『へえ、そうなんだ』 『日本の自動車は信頼感があるし、メンテナンスもしやすくて良いよ。 このタクシーも日産』
***
ホテルに向かう道は、途中から大渋滞。 おかげで、ゆっくりと街の景色を楽しみながらの移動。
道は右側通行であるが、多くの日本車が走っているということは、右側通行なのに右ハンドル車が主流という不思議な状況。 新たな政策により、今年から右ハンドルの中古車輸入が禁止されたそうだが、今後どのようになっていくのかは関心がある。
また、混雑している中を、結構ギリギリの状態で無理やり車線変更したり、クラクションを鳴らしながら追い抜いたり、まさにアジアらしい混沌とした交通状況。
後ろに乗っていても、ぶつかるんじゃないかと心配になるシーンが多くあるのだが、ホテルまでの間で事故を見かけたことはなかった。
滞在していた5日間で、一度も交通事故を見なかったということは、まるで奇跡のようでもあり、その一方では、渋滞の中を車線変更をしながら走り抜けつつも、最後の最後では割り込んでくる車にスペースを譲るという、仏教国ならではの優しさも影響しているのではないかと感じた。
***
『こんな渋滞はいつもあるの?』 『日曜日以外は毎日渋滞。 特に朝と夕方が酷いよ』
『そう言えば、オートバイを見ないね』 『そう、ヤンゴンではオートバイは禁止されている。 警察官はOKだけど、それ以外は禁止』
俺としては、アジアの新興国は自転車とオートバイが多いイメージだったのだが、ヤンゴン市内ではそのどちらもほとんど見かけなかったので驚いた。
後で調べてみると、軍事政権時代に、反政権派が機動力の高いオートバイでテロを起こさないように禁止したとか、交通事故が多いので禁止したとか、大気汚染防止が目的だとか、様々な情報がネットには出ていた。
ただ何れにしても、新興国で重要な足となるであろうオートバイの利用を、市内限定(後日の郊外旅では、多くのオートバイが足となっている状況を見た)とは言え禁止するだけの社会主義的な雰囲気の残る、国の権力の強さは実感。
『あの、車線の真ん中を歩いている人は?』 『あれは道路を横断しようとしているんだ』
そう言われてみると、確かに片側4車線くらいの道なのだが横断歩道はなく、歩行者用の信号もほとんど見かけない。
『今回は何日ヤンゴンに居るのか?』 『4泊5日の予定』
『どこに観光に行くの?』 『ヤンゴン市内でのんびり過ごそうかと思っている』
『えー、5日間もヤンゴン市内だけ? みんないろいろ観光に行くよ』と行って、車内に準備してあったミャンマー国内の旅の参考プランが書かれたパンフレットを見せてくれる。
『うん、俺は訪れた街をディープに知りたいんだ。 だからヤンゴン市内をゆっくりと散策してみたい。 空港からホテルまでのこの交通状況と街の雰囲気を見ただけで、俺はヤンゴン市内だけで楽しめると確信したよ』
おそらく貸切タクシーでの観光や、観光地までの移動を営業したかったであろう、タクシーの運転手さんの期待があったと思われるが、俺はこの活気のあるヤンゴンの街を訪れたことは正解だったと、既にこの時、感じていた。
***
1時間弱で、ホテルに到着。
綺麗な外観で、室内も清潔な、予想を超えた良い宿である。
部屋から見える街は、こんな感じ。
エレベーターは、英国式表記で、1FがGである。
荷物を置くと、まずは晩御飯を食べる店を探しに散策へ。
バス停。
標識は、全く読むことができない。
ダウンタウンは、さすがに街の雰囲気。
KFCの横には、寺院らしき建物が。
映画館の看板。
裏通り。
アパート?
水商売。
***
特に事前に店は決めていなかったので、街を歩きながら、波長が合いそうな店をテキトーに決めるのが楽しみの一つ。
『うん、ここにしよう!』
通りの角にあり、オープンな感じで、地元の人らしきお客さんもそこそこ入っている。
この店の雰囲気が、カリフォルニアのロングビーチにある、オープンなハンバーガーショップの雰囲気に似ているのが、気に入った理由の一つ。
『一人だけど入れるかな?』と英語で聞き、空いた席に案内された。
メニューには英語表記はなく、写真の見た目で適当に選んでみる。
店員さんにメニューを指差し、『これとビールをください』と注文。
まずは、運ばれてきたミャンマービールで、独り乾杯!
瓶ビールを、冷えたグラスに『トクトクトクトク』 泡が治まるのを待ち、『グビリ、ぐびぐび』 『プハーッ、美味い』
これで、初めて訪れる国での、俺の実質的な旅が始まった!
運ばれてきた麺料理はこれ。
これがなんとも旨い。
麺をズルリ。 そしてビールをグビリ。
『最高の夜じゃあないか』
餃子も頼んでみた。
『えー、こんなにあるの?』
確かに美味しいのだが、さすがに独りでは食べきれないや。
チェックを頼み、残った餃子を持ち帰りたいと言うと、すぐにパックしてくれた。
料金も、ビール二本と麺、餃子で、なんと1,200円ほど。
安いなあ!
ホテルに戻り、シャワーを浴びると、持ち帰った餃子と、途中のコンビニで買い込んできた地元のビールで独りの宴。
ヤンゴン初日から、大満足であった。
***
2018年8月14日(火) 朝はホテルで、サービスの朝食をいただく。
まるで欧米のホテルのようだ。
まずはジュースとフルーツを。
選べるメニューの中から、地元の麺をセレクト。
『うん、これは美味しいな』 朝から大満足の地元料理を堪能。
***
ホテル前に停まっているタクシーに乗り、寝仏のある『チャウッタージー・バヤー』へ。
裸足になって寝仏を拝観し、その後は街を歩いて今日のメインである『シェダゴン・バヤー』へと向かう。
いたるところに野犬がたむろしており、舗装も十分されていない凸凹道。
ちょっとダウンタウンから離れると、こんな感じなのである。
いたるところに設置してある、非常用発電機。
ミャンマーでは電力事情が悪く、よく停電が発生すると聞いていたが、住んでいる人たちはこのようにして自衛しているようである。
世界定額サービスを使い、iphoneのマップを頼りに、シェダゴン・バヤーへと歩いていく。
自転車のサイドカー、『サイカー』
気を抜くと落ちそうな歩道。
洗濯物。
1時間弱で、寺院に到着。
ここからは、裸足になり、料金を支払って寺院を散策。
補修中の塔であるが、足場はなんと竹で組んである。
その後の郊外旅でも見かけたが、10階建てくらいのアパート建設では、やはり竹で足場を組んで作業していた。
恐るべし、かつ自然に優しいミャンマーの建築技術。
***
参拝を終えると、再び街へと向かう。
乗り込んだタクシーは、エアコンなし。
窓を開けようとしても、スイッチがない! 見ると、
なんと、懐かしのレギュレーター仕様。
日本でも、30年くらい前はまだまだこんな手動のウインドウが多く残っていたよなあ。
またこの運転手さんは、渋滞で信号に止まる度にエンジンを止めていた。
ヤンゴン版のアイドリングストップ!
これは、CO2削減のためではなく、ガソリン節約の為と思われるが、こんなタクシードライバーもいるのだと感心した。
まあ、エアコンなしで窓全開で走っているのだから、エンジン止めても室内の状況は変わらないからこれでよし!
***
タクシーで市場/マーケットに到着。
ここは、ヤンゴン市内で最大のマーケットであり、ここで家族へのお土産を調達。
土産も買ったし、これで後は散策をたっぷり堪能できるなあ。
***
昼ごはんは、美味しいと評判のカレー屋さんへ。 『203』
ここでは、店頭に並んでいるいくつもの鍋から、気に入った種類のカレーを選んで注文するスタイル。
今回は、2種類のカレーを選択。
『うん、これは旨い!』
***
街は相変わらずの渋滞。
ヤンゴン川を目指して歩く。
ようやく到着したヤンゴン川。
雨季のせいなのか、いつもそうなのか、泥色した大量の水が流れる大きな川であった。
陸橋から眺めてみると、混沌とした交通状況がよく分かる。
夜は、昨日夕食を食べたシャン麺料理の店を再訪し、店員さんオススメの地元麺料理をいただき、再びビールも日本堪能。
『ごちそうさまでした』
ホテルでの部屋飲みのつまみは、カルビーのスナック、
と、屋台で買ったバナナ。
***
2018年8月15日(水) ヤンゴン滞在3日目。
初めての街の雰囲気にも慣れてきて、今日は鉄道の旅を楽しむことにした。
幸いなことに、ホテルの近くにヤンゴン中央駅がある。
信号のない、自動車優先の横断歩道を命がけで渡り、凸凹の歩道を歩き、
わずか数分でヤンゴン中央駅に到着。
今日は、ヤンゴン環状線を一周してみるつもり。
ヤンゴン〜ヤンゴンの、ラウンドトリップチケットを購入。
一周約48kmを、約3時間かけて走るのだが、この料金がなんと200チャット=20円!!! 安いなあ。
***
乗る列車の行き先表示は、なんと『試運転』
乗車口は、こんなに高いギャップがある。
手すりを持って、『よっこらしょ』と登る感じだ。
車内の空調設備は、天井の扇風機だけ。
それも、一つだけしか動いていない。
当然、窓は全開。
車内には、日本との協力関係を記したステッカーも。
今後もぜひ、良い関係を保ってもらいたいものである。
***
07:45。 時刻通り列車は動き始めた。 車内はほぼ満席。
久し振りとなるディーゼル車での列車旅。 ワクワクするなあ!
駅。
弁当を持って、列車で通学する小学生。
タナカ、をつけた子供。
線路沿いのマーケット。
様々な車内販売。
卵、水、キンマやタバコ、ブドウ、バナナ、果物、新聞、ランチなどなど。
頭の上にお盆を載せて運ぶ叔母さん。
活気のある車内である。
***
線路でのんびりと過ごす地元民。
線路は道代わりに使われているらしい。
確かに凸凹道よりも歩きやすそうではある。
様々な場所に設けてある遮断機には、それぞれ人がついており、手動で遮断機を操作しているのには驚いた。
そして、遮断機にもいろいろな方式が。
これは、横にスライドさせるタイプ。
これは、スイングアーム式になっているタイプ。
他にも、振り子式で上に揚げる方式や、簡単なものでは大きな看板を道路の真ん中に人が運んでおくタイプもあった。
これでどのくらい給料をもらえるのか分からないが、鉄道料金は一周で20円ということから考えると、それほど高い給料とは思えない。
***
主要駅の大きなマーケット。
ものすごい活気である。
***
郊外に行くと、ヤンゴンのダウンタウンとは打って変わって、のんびりとした田園風景が広がる。
集落の畑の杭打ちも、人力作業。
のんびりした景色を眺めながら、昨日屋台で買ったバナナが俺のおやつ。
***
3時間ほどで環状鉄道の旅を終えた。
ヤンゴンで5日間過ごしたのだが、実は一番印象に残ったのがこの鉄道旅。
ホテルの近くのダウンタウンは、経済発展を感じさせる活気のある街なのだが、鉄道で1時間も走ると、かなり田舎町になる。
そして比較的ヤンゴンに近いエリアでは、高層ビルもあるのだが、線路沿いには掘っ建て小屋が集まったスラムがいくつもあるのだ。
簡単な柱にシートを張っただけの住まい、竹で編んだ壁で囲った住まいなどなど。
その多くはドブの横にあったり、水の上に高床式に組まれていたりするのだが、いずれもガスや電気などは来ていないようで、簡単な釜を使って焚き火で調理する煙が立ち昇っている。
スラムの横には、プラスチックを含む生活ゴミや生活排水が混じるすごい色の水で野菜が栽培されており、魚を獲るための網も準備してある。
こんな水で育てた野菜を食べ、魚を食べるのか。。。
これ以上ない赤貧の生活であり、このようなスラムが非常に多く存在しているので、経済発展が進んでいる一方でアジア最貧国とも言われるミャンマーの格差社会の現実を目の当たりにした感じ。
ゆっくりと走る列車の車窓から、生活感とリアルな生活臭のある景色を眺めながら、様々な事を考えさせられた。
実はこの鉄道旅が気に入り、翌日にももう一周してみた。
一度の滞在で、環状線を2周する日本人旅行客は珍しいのではないかと思うのだが、これは2日続けて乗ってみてよかったと思っている。
初日は、初めて目の当たりにするスラムを見てショックを受け、人生についていろいろ考えさせられた。
それが二日目になると、見方が少し変わったことに気づく。
この人たちは、贅沢な生活には縁がなく、相対的には不幸に見えるのかもしれないが、そんな生活を本人たちがどのように感じているのかは、少なくとも俺が推し量ることはできないのではないだろうか?
こんな見窄らしい住まいでも、お母さんは、釜に火を熾して調理をし、たらいで洗濯をし、仕事の合間には桶から水を汲んで水を浴びる。
何もすることがないのか、お父さんは小さな子供を抱いて通り過ぎる列車を眺め、キンマを噛み、タバコを吸う。
二日目に見えた光景では、初日に感じた悲壮感はそれほどなくなり、日々を一生懸命、あるいは、なるようになるままに生きている人々の姿が見えてきたように感じたのだ。
***
人生って何だ?
目標を持って生きていくことだけが、本当に人生なのか? お金があって贅沢ができることだけが、幸せな人生なのか?
まさに、人が、その日その日を生きて行くことそのものが人生であって、それは自分だけが価値を決めることができるもので、幸せかどうかを人から判断されるべきものではないのではないだろうか?
*初めての海外旅行先であったミクロネシアも、貧しくもあり、それでも視点を変えるととても豊かな国であった。 いずれ、ミクロネシアにも再訪したいものである!
50代も半ばになってアジアの新興国を初めて訪問し、再び人生について考えさせられる機会をいただくことができたのは、これも何かの縁であろう。
スラムの物干しにはたいてい小さな子供の服が干してあり、まだまだこの国の人口は増え続け、国全体としての経済は発展し続けて行くのであろう。
10年後にこの国が、どのように変わっているのか、変わっていないのか、楽しみである。
***
列車を降りると、国立博物館を見学し、
街を歩いて再びダウンタウンへ。
歩道では、様々な露店が。
ドブの臭いがするストリートで、地元の人たちは露店でのランチを楽しんでいる。
驚いたのは、この車のステッカー。
ヤンゴンにも、インサイト愛好家のクラブがあるんだなあ!
俺のランチは、KFCで、ミャンマー店だけのスペシャルメニューをいただいた。
ライスボックス。
チキンの横には、カレーが掛かったご飯。
これが美味しいのである。
ランチを食べていると、外はゲリラ豪雨。
これが雨季のヤンゴンなのか。
食事を終えて外に出ると、準備しておいたカッパを被り、途中では踝まで増水した歩道を歩いてホテルに戻る。
***
せっかく行きつけのレストランはできたのだが、今日の夜は別のレストランにトライしてみる。
途中の通りでは、夕方の帰宅児童を待ち受けるスクールバスやお迎えの車の列で大渋滞。
ここが、今日のレストラン。
静かな店内。
お茶の葉のサラダも、豆腐の唐揚げも美味しく、麺料理もいただきながら、今日もビールを堪能。
残ったサラダをテイクアウトし、ホテルで夜飲み。
ヤンゴンのウイスキーは、小瓶がわずか80円。
付けてくれた匙で食べようとしたら、唇が痛い!
見ると、角がこんな感じでギザギザしている。 さすがミャンマー品質。
諦めて、ホテル備え付けのスプーンでいただいた。
***
2018年8月16日(木) 朝から雨。
朝食を取ると、雨も上がり、そのまま駅へ。
今日は、昨日とは反対側の窓に陣取り、再び環状線の一周旅を楽しんだ。
感想は前述の通りだが、右側と左側では見える景色が大分違うので、のんびりまったり、ディープにヤンゴンを知りたい人には、環状線を2周してみることをお勧めしたい!
***
夜は、行きつけのシャン麺レストランへ。
『ミンガーバーラー』と言いながら店に入ると、顔なじみになった店員さんが笑顔で会釈してくれ、もう一人の娘は手を振ってくれた。
うん、馴染みの店もできて、俺も徐々にこの街に馴染んできつつあるなあ。
今日は、これまで2回とはまた違う麺を注文。
これまた美味しく、ビールが進む。
ここでの定番、麺料理一品と、ミャンマービール二本で、約800円也。
『ごちそうさまでした。 ここの料理は美味しかったよ。 またヤンゴンに来る時は、ここに来るね。 さようなら』と挨拶して店を辞す。
***
2018年8月17日(金) 今日はヤンゴン旅の最終日。
とはいえ、雨季のヤンゴンなので、大雨で空港までのアクセスができなくならないよう、早めに空港まで行く予定。
いつもよりゆっくりと起き出し、朝食を時間をかけて楽しむ。
部屋に戻ると、地元のニュース番組をチェック。
天気予報は雨だが、今日はそれほど強い雨にはならないようだ。
一安心。
***
昼前になると、チェックアウトして中央駅にあるバス停へ。
多くの観光客は、タクシーで空港に行くのだが、俺は時間がたっぷりとあるので今年できたという空港までのシャトルバスを利用してみることにしたのだ。
このバスだと、歩くことができなかったエリアも通るので、観光バス代わり思えば良いのである。
これがバスの車内。
空港まで様々なバス停に止まるので、ほとんどがそれを利用する地元の人。
初めて見る通りの眺めも楽しむことができる。
生活感溢れる街の風景。
やはり活気がある街だなあ。
横を走るバスに、なんとCNGバスを発見!
そして、驚いたことにEVも一台だけ見ることができた。
***
午前午後の二部制と言うミャンマーの学校で、午前中の部が終わった後の、帰校待ち渋滞。
子供の数が、本当に多い。
渋滞を抜け、1時間半ほどで空港に到着。
これで、料金が50円と超格安! タクシーなら、1,000円前後である。
ランチは空港のレストランで。
ここの麺料理も絶品であった。
本当にミャンマーは麺料理の国であるなあ。
コンビニで買っておいた、ココナッツクリームを挟んだおやつも、驚く美味しさ。
これは次回来たら、毎日食べたいなあ。
***
たっぷりある時間を、本を読んで過ごし、
ヤンゴン最後の晩御飯も麺料理。
***
チェックインを終えると、最後のミャンマービールで独り乾杯。
夜9:45発の飛行機で、ヤンゴンを出発した。
深夜のエコノミー席旅はキツかったが、本当に楽しい旅であった。
***
独特の街の臭いや、屋台での衛生管理、裸足での寺院散策、命がけでの道路横断など、人によっては合わないかもしれないが、俺は完全にはまったヤンゴン放浪旅。
これはまた再訪するな、と実感することができ、最高に充実したお盆休みとなった。
風の吹くまま気の向くまま、生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、来週はどこ行こう?
2018年に初めて訪れ、あまりに印象に残る楽しい旅だったので、翌年2019年にも再訪した、思い出深い国であるミャンマー。
今、ヤンゴンに住む人たちがどのような思いで日々を過ごしているのかは知る由も無いが、政情が安定し、再び訪問できることを願っている。
以下、まずは、2018年の旅の記録を再掲。
*** (2018年8月19日に投稿) ***
今年のお盆休みは、久し振りにバックパック一つを背負い、飛行機と宿だけを確保して、特に予定も決めない旅を楽しむことにした。
行き先は、ヤンゴン。
***
この春には、お盆休みはアジアへの旅をしてみたいと画策を始めていた。
妻には、『また下見の旅をしてくるからね』と、苦笑いしながら許可をいただいている。
ANAの特典チケットを利用しようと、ネットで検索してみるも、タイやベトナム、香港、台湾など、一度は行ってみたいと思っている都市では、さすがにお盆休みだけあり既に特典チケットの予約はできない状態であった。
『どこか空いている路線はないだろうか?』と探していると。。。
『お、まだここはあるじゃん』
出てきたのは、『YANGON』
YANGON/ヤンゴンって、一体どこなんだ?
恥ずかしながら、ヤンゴンと聞いても、どこの国の都市なのか、頭に全く浮かんでこなかったのである。
『まっ、いいか。 どうせ韓国以外では始めてとなるアジア旅。 知らない方が面白いじゃあないか』
というわけで、お盆休みの前後1日づつを家で過ごす休養日として確保し、広島〜成田、成田前泊、成田〜ヤンゴンの航空チケットの予約を『ポチッ』
***
『はてさて、予約はしてみたものの、ヤンゴンってどこの国なんだろう?』
調べてみると、ミャンマーだとの事。
ミャンマーって、アウン=サン=スーチーさんで有名な、元のビルマじゃあないか。
またビルマといえば、オフクロのお父さんが太平洋戦争の時に戦死した場所だとも聞いており、これは何かの縁であろう。
ネット情報では、仏教国であり治安は比較的良い事、昔は豊かだったが以前の政権の鎖国的な政策の影響もあって今ではアジアの最貧国とも言われている事、また政権交代した後は海外からの投資も盛んになって経済が発展しつつある事などの情報を得た。
『うん、これなら安心して旅はできそうだ』
ヤンゴンの街中にある、良さげな中級ホテルも無事に予約でき、これで旅の準備は完了である。
始めてのヤンゴン旅、特に予定も決めない旅になるが、これは楽しみだなあ!
***
2018年8月13日(月) 成田に前泊し、今日の午前中の直行便でヤンゴンに飛ぶ事になる。
今回の荷物はこれ。
機内持ち込みサイズのザック一つと、貴重品を入れたペリカンケース。
これが俺の旅のスタイル。
ヤンゴンは雨季で、毎日雨が降るらしいので、完全防水のペリカンケースが役に立ってくれる事であろう!
11:25発のヤンゴン直行便。
夕方にはヤンゴンに到着である。
機内は9割方埋まっている。
ヤンゴンは、こんなロケーション。
西はインドと、東側は中国やタイと国境を接している。
***
ヤンゴン空港に到着し、無事に入国審査を終え、ドルからチャットに両替してから、タクシーでホテルへと向かう。
タクシー代は事前交渉で、『地球の歩き方』に書いてあった空港から街中へのタクシー代に比べると少し高いが、値切る交渉も面倒なのでそのままタクシーに乗り込んだ。
このタクシーの運転手さんが、英語が話せる人だったようで、『日本から来たのか?』と聞かれたのを切っ掛けに、街までの移動の間、しばし会話を楽しむ。
『ここは日本車が多いね』 『ヤンゴンでは、韓国や中国の自動車もあるけど、日本の自動車が人気です。 トヨタ、日産、本田、マツダ、鈴木』
『へえ、そうなんだ』 『日本の自動車は信頼感があるし、メンテナンスもしやすくて良いよ。 このタクシーも日産』
***
ホテルに向かう道は、途中から大渋滞。 おかげで、ゆっくりと街の景色を楽しみながらの移動。
道は右側通行であるが、多くの日本車が走っているということは、右側通行なのに右ハンドル車が主流という不思議な状況。 新たな政策により、今年から右ハンドルの中古車輸入が禁止されたそうだが、今後どのようになっていくのかは関心がある。
また、混雑している中を、結構ギリギリの状態で無理やり車線変更したり、クラクションを鳴らしながら追い抜いたり、まさにアジアらしい混沌とした交通状況。
後ろに乗っていても、ぶつかるんじゃないかと心配になるシーンが多くあるのだが、ホテルまでの間で事故を見かけたことはなかった。
滞在していた5日間で、一度も交通事故を見なかったということは、まるで奇跡のようでもあり、その一方では、渋滞の中を車線変更をしながら走り抜けつつも、最後の最後では割り込んでくる車にスペースを譲るという、仏教国ならではの優しさも影響しているのではないかと感じた。
***
『こんな渋滞はいつもあるの?』 『日曜日以外は毎日渋滞。 特に朝と夕方が酷いよ』
『そう言えば、オートバイを見ないね』 『そう、ヤンゴンではオートバイは禁止されている。 警察官はOKだけど、それ以外は禁止』
俺としては、アジアの新興国は自転車とオートバイが多いイメージだったのだが、ヤンゴン市内ではそのどちらもほとんど見かけなかったので驚いた。
後で調べてみると、軍事政権時代に、反政権派が機動力の高いオートバイでテロを起こさないように禁止したとか、交通事故が多いので禁止したとか、大気汚染防止が目的だとか、様々な情報がネットには出ていた。
ただ何れにしても、新興国で重要な足となるであろうオートバイの利用を、市内限定(後日の郊外旅では、多くのオートバイが足となっている状況を見た)とは言え禁止するだけの社会主義的な雰囲気の残る、国の権力の強さは実感。
『あの、車線の真ん中を歩いている人は?』 『あれは道路を横断しようとしているんだ』
そう言われてみると、確かに片側4車線くらいの道なのだが横断歩道はなく、歩行者用の信号もほとんど見かけない。
『今回は何日ヤンゴンに居るのか?』 『4泊5日の予定』
『どこに観光に行くの?』 『ヤンゴン市内でのんびり過ごそうかと思っている』
『えー、5日間もヤンゴン市内だけ? みんないろいろ観光に行くよ』と行って、車内に準備してあったミャンマー国内の旅の参考プランが書かれたパンフレットを見せてくれる。
『うん、俺は訪れた街をディープに知りたいんだ。 だからヤンゴン市内をゆっくりと散策してみたい。 空港からホテルまでのこの交通状況と街の雰囲気を見ただけで、俺はヤンゴン市内だけで楽しめると確信したよ』
おそらく貸切タクシーでの観光や、観光地までの移動を営業したかったであろう、タクシーの運転手さんの期待があったと思われるが、俺はこの活気のあるヤンゴンの街を訪れたことは正解だったと、既にこの時、感じていた。
***
1時間弱で、ホテルに到着。
綺麗な外観で、室内も清潔な、予想を超えた良い宿である。
部屋から見える街は、こんな感じ。
エレベーターは、英国式表記で、1FがGである。
荷物を置くと、まずは晩御飯を食べる店を探しに散策へ。
バス停。
標識は、全く読むことができない。
ダウンタウンは、さすがに街の雰囲気。
KFCの横には、寺院らしき建物が。
映画館の看板。
裏通り。
アパート?
水商売。
***
特に事前に店は決めていなかったので、街を歩きながら、波長が合いそうな店をテキトーに決めるのが楽しみの一つ。
『うん、ここにしよう!』
通りの角にあり、オープンな感じで、地元の人らしきお客さんもそこそこ入っている。
この店の雰囲気が、カリフォルニアのロングビーチにある、オープンなハンバーガーショップの雰囲気に似ているのが、気に入った理由の一つ。
『一人だけど入れるかな?』と英語で聞き、空いた席に案内された。
メニューには英語表記はなく、写真の見た目で適当に選んでみる。
店員さんにメニューを指差し、『これとビールをください』と注文。
まずは、運ばれてきたミャンマービールで、独り乾杯!
瓶ビールを、冷えたグラスに『トクトクトクトク』 泡が治まるのを待ち、『グビリ、ぐびぐび』 『プハーッ、美味い』
これで、初めて訪れる国での、俺の実質的な旅が始まった!
運ばれてきた麺料理はこれ。
これがなんとも旨い。
麺をズルリ。 そしてビールをグビリ。
『最高の夜じゃあないか』
餃子も頼んでみた。
『えー、こんなにあるの?』
確かに美味しいのだが、さすがに独りでは食べきれないや。
チェックを頼み、残った餃子を持ち帰りたいと言うと、すぐにパックしてくれた。
料金も、ビール二本と麺、餃子で、なんと1,200円ほど。
安いなあ!
ホテルに戻り、シャワーを浴びると、持ち帰った餃子と、途中のコンビニで買い込んできた地元のビールで独りの宴。
ヤンゴン初日から、大満足であった。
***
2018年8月14日(火) 朝はホテルで、サービスの朝食をいただく。
まるで欧米のホテルのようだ。
まずはジュースとフルーツを。
選べるメニューの中から、地元の麺をセレクト。
『うん、これは美味しいな』 朝から大満足の地元料理を堪能。
***
ホテル前に停まっているタクシーに乗り、寝仏のある『チャウッタージー・バヤー』へ。
裸足になって寝仏を拝観し、その後は街を歩いて今日のメインである『シェダゴン・バヤー』へと向かう。
いたるところに野犬がたむろしており、舗装も十分されていない凸凹道。
ちょっとダウンタウンから離れると、こんな感じなのである。
いたるところに設置してある、非常用発電機。
ミャンマーでは電力事情が悪く、よく停電が発生すると聞いていたが、住んでいる人たちはこのようにして自衛しているようである。
世界定額サービスを使い、iphoneのマップを頼りに、シェダゴン・バヤーへと歩いていく。
自転車のサイドカー、『サイカー』
気を抜くと落ちそうな歩道。
洗濯物。
1時間弱で、寺院に到着。
ここからは、裸足になり、料金を支払って寺院を散策。
補修中の塔であるが、足場はなんと竹で組んである。
その後の郊外旅でも見かけたが、10階建てくらいのアパート建設では、やはり竹で足場を組んで作業していた。
恐るべし、かつ自然に優しいミャンマーの建築技術。
***
参拝を終えると、再び街へと向かう。
乗り込んだタクシーは、エアコンなし。
窓を開けようとしても、スイッチがない! 見ると、
なんと、懐かしのレギュレーター仕様。
日本でも、30年くらい前はまだまだこんな手動のウインドウが多く残っていたよなあ。
またこの運転手さんは、渋滞で信号に止まる度にエンジンを止めていた。
ヤンゴン版のアイドリングストップ!
これは、CO2削減のためではなく、ガソリン節約の為と思われるが、こんなタクシードライバーもいるのだと感心した。
まあ、エアコンなしで窓全開で走っているのだから、エンジン止めても室内の状況は変わらないからこれでよし!
***
タクシーで市場/マーケットに到着。
ここは、ヤンゴン市内で最大のマーケットであり、ここで家族へのお土産を調達。
土産も買ったし、これで後は散策をたっぷり堪能できるなあ。
***
昼ごはんは、美味しいと評判のカレー屋さんへ。 『203』
ここでは、店頭に並んでいるいくつもの鍋から、気に入った種類のカレーを選んで注文するスタイル。
今回は、2種類のカレーを選択。
『うん、これは旨い!』
***
街は相変わらずの渋滞。
ヤンゴン川を目指して歩く。
ようやく到着したヤンゴン川。
雨季のせいなのか、いつもそうなのか、泥色した大量の水が流れる大きな川であった。
陸橋から眺めてみると、混沌とした交通状況がよく分かる。
夜は、昨日夕食を食べたシャン麺料理の店を再訪し、店員さんオススメの地元麺料理をいただき、再びビールも日本堪能。
『ごちそうさまでした』
ホテルでの部屋飲みのつまみは、カルビーのスナック、
と、屋台で買ったバナナ。
***
2018年8月15日(水) ヤンゴン滞在3日目。
初めての街の雰囲気にも慣れてきて、今日は鉄道の旅を楽しむことにした。
幸いなことに、ホテルの近くにヤンゴン中央駅がある。
信号のない、自動車優先の横断歩道を命がけで渡り、凸凹の歩道を歩き、
わずか数分でヤンゴン中央駅に到着。
今日は、ヤンゴン環状線を一周してみるつもり。
ヤンゴン〜ヤンゴンの、ラウンドトリップチケットを購入。
一周約48kmを、約3時間かけて走るのだが、この料金がなんと200チャット=20円!!! 安いなあ。
***
乗る列車の行き先表示は、なんと『試運転』
乗車口は、こんなに高いギャップがある。
手すりを持って、『よっこらしょ』と登る感じだ。
車内の空調設備は、天井の扇風機だけ。
それも、一つだけしか動いていない。
当然、窓は全開。
車内には、日本との協力関係を記したステッカーも。
今後もぜひ、良い関係を保ってもらいたいものである。
***
07:45。 時刻通り列車は動き始めた。 車内はほぼ満席。
久し振りとなるディーゼル車での列車旅。 ワクワクするなあ!
駅。
弁当を持って、列車で通学する小学生。
タナカ、をつけた子供。
線路沿いのマーケット。
様々な車内販売。
卵、水、キンマやタバコ、ブドウ、バナナ、果物、新聞、ランチなどなど。
頭の上にお盆を載せて運ぶ叔母さん。
活気のある車内である。
***
線路でのんびりと過ごす地元民。
線路は道代わりに使われているらしい。
確かに凸凹道よりも歩きやすそうではある。
様々な場所に設けてある遮断機には、それぞれ人がついており、手動で遮断機を操作しているのには驚いた。
そして、遮断機にもいろいろな方式が。
これは、横にスライドさせるタイプ。
これは、スイングアーム式になっているタイプ。
他にも、振り子式で上に揚げる方式や、簡単なものでは大きな看板を道路の真ん中に人が運んでおくタイプもあった。
これでどのくらい給料をもらえるのか分からないが、鉄道料金は一周で20円ということから考えると、それほど高い給料とは思えない。
***
主要駅の大きなマーケット。
ものすごい活気である。
***
郊外に行くと、ヤンゴンのダウンタウンとは打って変わって、のんびりとした田園風景が広がる。
集落の畑の杭打ちも、人力作業。
のんびりした景色を眺めながら、昨日屋台で買ったバナナが俺のおやつ。
***
3時間ほどで環状鉄道の旅を終えた。
ヤンゴンで5日間過ごしたのだが、実は一番印象に残ったのがこの鉄道旅。
ホテルの近くのダウンタウンは、経済発展を感じさせる活気のある街なのだが、鉄道で1時間も走ると、かなり田舎町になる。
そして比較的ヤンゴンに近いエリアでは、高層ビルもあるのだが、線路沿いには掘っ建て小屋が集まったスラムがいくつもあるのだ。
簡単な柱にシートを張っただけの住まい、竹で編んだ壁で囲った住まいなどなど。
その多くはドブの横にあったり、水の上に高床式に組まれていたりするのだが、いずれもガスや電気などは来ていないようで、簡単な釜を使って焚き火で調理する煙が立ち昇っている。
スラムの横には、プラスチックを含む生活ゴミや生活排水が混じるすごい色の水で野菜が栽培されており、魚を獲るための網も準備してある。
こんな水で育てた野菜を食べ、魚を食べるのか。。。
これ以上ない赤貧の生活であり、このようなスラムが非常に多く存在しているので、経済発展が進んでいる一方でアジア最貧国とも言われるミャンマーの格差社会の現実を目の当たりにした感じ。
ゆっくりと走る列車の車窓から、生活感とリアルな生活臭のある景色を眺めながら、様々な事を考えさせられた。
実はこの鉄道旅が気に入り、翌日にももう一周してみた。
一度の滞在で、環状線を2周する日本人旅行客は珍しいのではないかと思うのだが、これは2日続けて乗ってみてよかったと思っている。
初日は、初めて目の当たりにするスラムを見てショックを受け、人生についていろいろ考えさせられた。
それが二日目になると、見方が少し変わったことに気づく。
この人たちは、贅沢な生活には縁がなく、相対的には不幸に見えるのかもしれないが、そんな生活を本人たちがどのように感じているのかは、少なくとも俺が推し量ることはできないのではないだろうか?
こんな見窄らしい住まいでも、お母さんは、釜に火を熾して調理をし、たらいで洗濯をし、仕事の合間には桶から水を汲んで水を浴びる。
何もすることがないのか、お父さんは小さな子供を抱いて通り過ぎる列車を眺め、キンマを噛み、タバコを吸う。
二日目に見えた光景では、初日に感じた悲壮感はそれほどなくなり、日々を一生懸命、あるいは、なるようになるままに生きている人々の姿が見えてきたように感じたのだ。
***
人生って何だ?
目標を持って生きていくことだけが、本当に人生なのか? お金があって贅沢ができることだけが、幸せな人生なのか?
まさに、人が、その日その日を生きて行くことそのものが人生であって、それは自分だけが価値を決めることができるもので、幸せかどうかを人から判断されるべきものではないのではないだろうか?
*初めての海外旅行先であったミクロネシアも、貧しくもあり、それでも視点を変えるととても豊かな国であった。 いずれ、ミクロネシアにも再訪したいものである!
50代も半ばになってアジアの新興国を初めて訪問し、再び人生について考えさせられる機会をいただくことができたのは、これも何かの縁であろう。
スラムの物干しにはたいてい小さな子供の服が干してあり、まだまだこの国の人口は増え続け、国全体としての経済は発展し続けて行くのであろう。
10年後にこの国が、どのように変わっているのか、変わっていないのか、楽しみである。
***
列車を降りると、国立博物館を見学し、
街を歩いて再びダウンタウンへ。
歩道では、様々な露店が。
ドブの臭いがするストリートで、地元の人たちは露店でのランチを楽しんでいる。
驚いたのは、この車のステッカー。
ヤンゴンにも、インサイト愛好家のクラブがあるんだなあ!
俺のランチは、KFCで、ミャンマー店だけのスペシャルメニューをいただいた。
ライスボックス。
チキンの横には、カレーが掛かったご飯。
これが美味しいのである。
ランチを食べていると、外はゲリラ豪雨。
これが雨季のヤンゴンなのか。
食事を終えて外に出ると、準備しておいたカッパを被り、途中では踝まで増水した歩道を歩いてホテルに戻る。
***
せっかく行きつけのレストランはできたのだが、今日の夜は別のレストランにトライしてみる。
途中の通りでは、夕方の帰宅児童を待ち受けるスクールバスやお迎えの車の列で大渋滞。
ここが、今日のレストラン。
静かな店内。
お茶の葉のサラダも、豆腐の唐揚げも美味しく、麺料理もいただきながら、今日もビールを堪能。
残ったサラダをテイクアウトし、ホテルで夜飲み。
ヤンゴンのウイスキーは、小瓶がわずか80円。
付けてくれた匙で食べようとしたら、唇が痛い!
見ると、角がこんな感じでギザギザしている。 さすがミャンマー品質。
諦めて、ホテル備え付けのスプーンでいただいた。
***
2018年8月16日(木) 朝から雨。
朝食を取ると、雨も上がり、そのまま駅へ。
今日は、昨日とは反対側の窓に陣取り、再び環状線の一周旅を楽しんだ。
感想は前述の通りだが、右側と左側では見える景色が大分違うので、のんびりまったり、ディープにヤンゴンを知りたい人には、環状線を2周してみることをお勧めしたい!
***
夜は、行きつけのシャン麺レストランへ。
『ミンガーバーラー』と言いながら店に入ると、顔なじみになった店員さんが笑顔で会釈してくれ、もう一人の娘は手を振ってくれた。
うん、馴染みの店もできて、俺も徐々にこの街に馴染んできつつあるなあ。
今日は、これまで2回とはまた違う麺を注文。
これまた美味しく、ビールが進む。
ここでの定番、麺料理一品と、ミャンマービール二本で、約800円也。
『ごちそうさまでした。 ここの料理は美味しかったよ。 またヤンゴンに来る時は、ここに来るね。 さようなら』と挨拶して店を辞す。
***
2018年8月17日(金) 今日はヤンゴン旅の最終日。
とはいえ、雨季のヤンゴンなので、大雨で空港までのアクセスができなくならないよう、早めに空港まで行く予定。
いつもよりゆっくりと起き出し、朝食を時間をかけて楽しむ。
部屋に戻ると、地元のニュース番組をチェック。
天気予報は雨だが、今日はそれほど強い雨にはならないようだ。
一安心。
***
昼前になると、チェックアウトして中央駅にあるバス停へ。
多くの観光客は、タクシーで空港に行くのだが、俺は時間がたっぷりとあるので今年できたという空港までのシャトルバスを利用してみることにしたのだ。
このバスだと、歩くことができなかったエリアも通るので、観光バス代わり思えば良いのである。
これがバスの車内。
空港まで様々なバス停に止まるので、ほとんどがそれを利用する地元の人。
初めて見る通りの眺めも楽しむことができる。
生活感溢れる街の風景。
やはり活気がある街だなあ。
横を走るバスに、なんとCNGバスを発見!
そして、驚いたことにEVも一台だけ見ることができた。
***
午前午後の二部制と言うミャンマーの学校で、午前中の部が終わった後の、帰校待ち渋滞。
子供の数が、本当に多い。
渋滞を抜け、1時間半ほどで空港に到着。
これで、料金が50円と超格安! タクシーなら、1,000円前後である。
ランチは空港のレストランで。
ここの麺料理も絶品であった。
本当にミャンマーは麺料理の国であるなあ。
コンビニで買っておいた、ココナッツクリームを挟んだおやつも、驚く美味しさ。
これは次回来たら、毎日食べたいなあ。
***
たっぷりある時間を、本を読んで過ごし、
ヤンゴン最後の晩御飯も麺料理。
***
チェックインを終えると、最後のミャンマービールで独り乾杯。
夜9:45発の飛行機で、ヤンゴンを出発した。
深夜のエコノミー席旅はキツかったが、本当に楽しい旅であった。
***
独特の街の臭いや、屋台での衛生管理、裸足での寺院散策、命がけでの道路横断など、人によっては合わないかもしれないが、俺は完全にはまったヤンゴン放浪旅。
これはまた再訪するな、と実感することができ、最高に充実したお盆休みとなった。
風の吹くまま気の向くまま、生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、来週はどこ行こう?